言霊の國

渡辺 佐倉

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責任4

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「そんなん、技術が違う」

ほとんどのものが言霊がある前提で作られていた社会だった。
魂が削られないための技術、摩耗した魂を回復させる技術、代理の形代を魂と見立てるもの、そういったものが動いている前提の世界ではアラタは単独で蜘蛛退治をすることができた。


「その状況で、同じことができるか試すって事の意味分かってんの?」

アラタがリツを見据える。

「トライアンドエラーをしないといけないってことや。
特に人に溶け込んだ蜘蛛を引きはがすのが今準備できる道具と機材で可能かは人を使って試すしかない」

アンタにその覚悟、あるん?

アラタの顔つきは驚く位無表情だった。
けれど、リツは驚かなかった。

それがいつものアラタだと知っているから。

「それがどうした。
道具や機材を使うのは医者の仕事だろう。
なら、俺がやる。俺だって一応言霊は使えるんだ」

リツの言葉に、アラタはニヤリと人の悪い笑顔を浮かべた。

「なら、ええ」

一つ、ここまでの研究成果を今日持ってきた。
そう言ってアラタはあらかじめ用意しておいた包みを渡す。

「増幅器は多分つくれた。
ほぼ使い捨てみたいなもんやけど、多分動く」

あれは仕組み自体は簡単なもんやから。とアラタはいくつかのインカムの様な部品を手渡す。

「まあ、俺の声では実験よう出来なかったから、試してもらうしかないんやけど」

最初からそのつもりだったのかとリツは大きくため息をつく。
それであれば、自分にとっての大事な人を激昂させる必要も無かったのではないか。

リツにはアラタの考えていることがよく分からなかった。

「最初の実験台は、まあ、俺がなるのがええやろな」

きばって、切り刻でな。とアラタは面白そうにリツに言った。
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