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四人目は大きい

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『私は、いつでもヒカルを待ってるから』

そう告げてから、次にヒカルと身体の関係を持ったのは10日ほど経った頃だった。

それまでは二人きりになる度に、誘ってくれるのではないかと期待しては肩透かしを食らっていた。もう次はないのだろうかと考え、何故待ってるなどと告げたのだろうかと後悔し始めていた時、夜更けに私の部屋のドアがノックされた。
ヒカルは少しばつが悪そうな顔をしながら『アンタが、溜まってる頃だと思って』と言った。
もちろんヒカルを抱きたい欲求が溜まりに溜まりまくっていた私は、喜んで彼を抱いた。何度も。

正常位で交わり結合部を見せつけながら『どこに誰の何が入っているのか』を言わせた。

『ッア、…俺のッ、ック、いやらしいケツ穴にッ、ンアァ、アッ、ミツコの、ヒッ、か、固いペニスがッ、ズボズボ、ッ、奥まで入ってるッ。ウアアアッ、きもち、いいッ』
『そう。私のペニス、好き?』
『ファ、ア、アアッ、ッ。』
『答えて、ヒカル。じゃないと止めるわよ』
『イヤッ、だ。…す、好きッ!アンタのベニス、好きだからッ。やめないで、くれッ。……もっとッ、アッ、ヒ、アアアーーーッ!!』


でも、どんなによがり狂おうとヒカルは、朝を待たずに私の部屋から出ていった。去り際、少し辛そうな顔をして。
ヒカルが胸に感じているのは自己嫌悪なのか罪悪感なのか。
それは、私を好きになれば持たなくてもいい感情なのに、とはさすがに本人には言えなかった。


爛れているといわれれば爛れた関係。でも私にとってはあくまで純愛の行為は、週に一度くらいの割合で行われている。現在まで何度も秘密の逢瀬を重ねたが、やはりヒカルは一度も私の部屋に泊まらなかった。


発展はないが淫らな日々を過ごしていると、日常生活の方では少し変化があった。

ヒカルは前よりも頻繁に、ほぼ毎日と言っていいくらい、エンリとの朝の打ち合わせに参加しだしたのだ。
エンリの顔を見るたびに、身体を重ねることによって芽生えた私への情がリセットされているのかもしれないと焦り、胸がヒリヒリするが、ヒカルがしたいことに制限をかけたくはない。なので何気ない風を装っているが内心穏やかではない。
変化とはこれだけではなくて、打ち合わせの場でヒカルは、自分の意見を言うようになった。こちらから『どう思う?』と聞いた時に限るが。

例えば『オスの為の学園・寮・養老院』の図面を見せた時などには、ハッとさせられた。

将来的にメスも受け入れられるような間取りにしておいた方がいいのではないか、と言われたのだ。

メスはオスよりは差別されていない。
その理由として、メスがフタナリ好みの美人ということ、加えて、魔力がないことに逆に庇護欲をそそられる人間が少なからず存在するという点がある。自分がいなくては生きていけないか弱いメスを甲斐甲斐しくお世話したい人間にとても人気があるのだ。オスが魔力が無いことは『役立たず』だの『ゴミ』と言って蔑むが、メスのことは『かわいい』『守ってあげたい』と思ってしまうらしいのだから呆れる。刷り込みなのか本能なのかは私には分からないが、熱狂的な支持者がいることは確かだ。

もう一点、オスよりも差別されにくい点がある。
メスとフタナリは外見が似ていて、見分けがつかないのだ。
メスがいくらフタナリ好みの美人だといってもフタナリにだって同程度の美人はいる。だから見た目だけでは区別できないので、結果として差別されようがない。
身体が汚れていれば、メスだと判別がつくかもしれないが、大抵の場合はそれなりの暮らしをしている。そういったメスたちは、魔法が使えなくとも毎日身体を清める手段があるのだ。
例えば高級娼館のナンバー1だとか、金持ちの愛人、オペラ歌手などにもメスがいるらしい。美しい高音の歌声はメスであれば苦労せずとも出せるのだそうだ。
周りが気がついていないだけで、学歴を必要としない職業についているメスもいるだろうし、結婚して家庭に入っている場合もあるかもしれない。

メスはメスであることを売りにすれば苦労せずとも大金を稼げるし、そうでなくとも信奉者を頼れば囲い支えてくれる。そんな生活をするメスの中でも、それを不本意だと思い学びたいと思う人間もいるだろうが、もしそうならとっくに財力や信奉者に頼り学ぶ機会を得ているだろう。それ以外の、自分がメスであることを隠したい人間は、バレるリスクを冒してまでは学びに来ないと思われる。また、幼いメスは、オス同様家族に隠されている場合があるが、それでも見た目からはバレる心配がないので、オスよりは自由がある。学校へ通わない理由を病弱だとか、家の都合などで誤魔化しさえすれば隠し通せなくはないのだから、家庭の中でもあまり虐げられない。
オスよりはまだマシな生活をしているという背景及び推測もあり、メスのことは後回し、というか正直オスのことで手一杯だったので、学園の構想を練る時にメスのことは想定から外していた。

しかし、ヒカルの考えは違った。今すぐメスを受け入れるという話は現実的ではないのかもしれないが、学園で学ぶオスに『ゆくゆくはここにメスも受け入れる用意がある』ことを認識させた方がいいのではないか。
そのことは将来、この学園を出て一人立ち出来たオスが子を成そうかどうしようかと迷った時に、背中を押してもらえる要因の一つになる、と。

もしメスが生まれても学びの機会を等しく与えられるという事実が、彼らの未来の希望になる。
とてもいい考えだと思った。
さっそくこの意見を採用することにし、設計士に図面を書き直してもらうようにエンリに指示をした。
ヒカルはそんなに簡単に決めていいのかと焦っていたが、敷地にも予算にも制限はないので問題ない。屋敷の裏にある広大な土地は私の個人資産だし、上物代も私のポケットマネーから出るからだ。

ヒカルが、先のことをそこまで考えていたことに驚いた。そして嬉しくなった。だからといって勢いで決めたというわけではない。オスにとって、それがより良いことだと思ったから採用するのだ。
そうヒカルに説明すると、瞳をうるませながら『ありがとう』と言われてしまった。

こちらこそありがとうを言いたい。『学園を出て一人立ちしたオスが子を成す』という発想は、私の思い描く未来をヒカルが信じていなければ出てこない。

感極まり『ヒカル、いい子!』と頭を撫で回そうとしたが『人前だから』と断られてしまった。
そういえばエンリの目の前だったことを思い出した。
私と触れ合うところをエンリに見せたくないのかと考えてしまって、高揚した気分が少しだけ萎んだ。

ヒカルは、エンリとの未来を夢見て、自分の子を持つことを想像したのだろうか。


しかし、たとえそうだとしても、ヒカルが自分の意見を持つことはとてもいいことだし、私がやることにも変わりはない。オスの地位向上の為に尽くすつもりだし、ヒカルも抱き続ける。彼が、私の身体を求めてくる限りは。




そんな毎日を過ごしていく中、私の元に新しいオスの情報が入ってきた。

連絡をくれたのは病院の看護師だった。怪我や病気をしたオスが病院に来た場合、直ちに連絡をもらえるようにしていたのだ。その際、金を持っていなくても私が全額負担するので治療してほしいことも伝えてあった。

オスが血まみれで病院の近くで倒れていたところを、看護師が偶然発見したのだという。
私はエンリからその旨の連絡をもらい、一緒に病院に駆けつけた。

そこで出会った四人目のオスは脇腹に痛々しく包帯を巻かれていた。その怪我の状態も気になるが、私たちは違うことで呆気に取られた。

彼が物凄く筋骨隆々だったからだ。
前世でもあまり見ないくらい――ヘビー級の外国人プロレスラー並み――の巨体だった。
それはエンリが珍しく『ヒッ』っと悲鳴を漏らしてしまうほどで、この世界ではあり得ない体格だった。
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