41 / 42
番外編①理想のシチュエーション
しおりを挟むはぁはぁと息を切らせた爽子さんは、僕の上に倒れ込むように抱きついてきた。
僕は腰を掴んでいた手を背中に回して抱き留め、華奢な体と豊満な胸の感触を楽しむ。
いい匂いがする。
爽やかなミントみたいな香りと汗が混じった匂い。汗の匂いの中には僕の魔力の香りも含まれていて、お腹の底がくすぐったくなるような幸せを感じる。
「はぁっ…、もうっ、だめ…。アザリ君っ、さすが、十代だねっ…。はぁ、…ああ、はぁ…。…しまった、また、今日もっ、する前に…っふぅ…聞き、忘れた。」
爽子さんの中にまだ入っていたいけど、僕の愛しい人はもう限界みたいだった。
「えっと、何を忘れちゃったの?」
聡子さんの息が整うのを待って、詳しく聞いてみた。
爽子さんは、僕が出会った頃に言った『理想の筆おろしのシチュエーション』のことをずっと気にしていたようだった。
「私は、アザリ君の筆おろしを、台無しにしちゃったから。」
そう言った爽子さんはとても申し訳なさそうだ。
理想のシチュエーションなんてなかった。
それはデリヘル嬢さんとやらを呼ばれるのを防ぐ為の方便だった。
そう真実を言おうとしたのだけれど、僕はぽろっと別のことを言ってしまった。
「はだか、エプロン。」
「……え?」
爽子さんは戸惑いを隠しきれない顔をしていた。僕も、しまったと思った。
声に出して言うつもりじゃなかったのに、つい語呂が良いその言葉を口にしてしまった。
ディルに、教えられたのだ。
昨日、爽子さんに『兄弟仲を深めてきたら』と言われディルと会ってきた。
ディルは僕にやたらと新婚生活のことを聞いてきた。
なんで妻なのに『さん』付けで呼んでるのかとか、本当にどうでもいい話ばかり聞いてきたディルだったけれど、急に小さい声で言ってきた。
『新婚と言えば人間界では、裸エプロンらしいわね』と。
一度も聞いたことがない言葉だった。
裸、エプロン?
エプロンが裸?
裸のエプロン?
僕は頭の中が『?』でいっぱいになった。なんとなく響きが色っぽいこと以外はよく分からない。
ディルに詳しく聞いても『そういう交接らしいわよ。…アタシに詳しくなんて分かるわけないじゃないの!』と逆ギレをされた。
でも、爽子はさんの反応からすると、あまり良くないことだったのかもしれない。
「爽子さん、ごめんなさい。」
変なことを言って困らせてしまった。
「理想のシチュ――」
理想のシチュエーションなんてなかった、と言おうとしたけれど爽子さんに遮られた。
「あっ、アザリ君がしたいなら、いいよ。明日しよう。」
恥ずかしそうにそう言った爽子さんの顔は頬がピンク色でとっても可愛い。思わず見とれてしまった。
「じゃあ、明日お豆腐、買ってきてくれる?」
豆腐?
よく分からないけれど、コクコクと頷いた。
*********
僕は買い物を終え『爽子さんを閉じ込める為の幻覚』を解いた。それで僕が帰ってきたことに気づいた聡子さんは、ほんわかとした笑顔で『おかえりー』と迎えてくれた。
テレビドラマのような『新婚家庭』っぽい雰囲気は、何度体験しても心がウキウキする。
「ただいま。お豆腐、買ってきたよ。」
「ありがと。」
僕から豆腐と、ただいまのキスを受け取った爽子さんは『準備するから、呼んだら来て』と頬を染めて言った。
僕は胸をドキドキさせながら、正座をして待っていた。
そして、ついに『いいよ』と呼ばれ、キッチンに恐る恐る入った。
「っ…。」
――ああ、これが、裸エプロン。破壊力が凄すぎる。
爽子さんは、料理する時にいつもつけていたエプロンを裸体の上に着てキッチンに立っていた。
エプロンの隙間から丸い裸のお尻が見えている。
凄い。
やたらと僕の性欲を刺激してくる姿だ。
エプロンが中途半端に爽子さんの体を隠しているのが、より艶かしくて、下半身に血が集まってしまった。
「アザリ君、早く。」
爽子さんは、豆腐を包丁で切っていた。
早くと言われても、お尻に目が釘付けで動けない。
「もうっ!後ろから、抱き締めてよっ。」
急かされて、僕は夢遊病のようにふらふらと爽子さんに近付き、言われた通り抱き締めた。
「もうー、アザリ君たら、包丁使ってるんだから危ないでしょー。」
「???」
爽子さんが抱き締めてと言ってきたのに、だめだったのだろうか。でも、いくら困ったように言ってきても、腕を離したくなかった。
爽子さんの髪の毛に顔を埋め、『やだ』と、さらに強く抱き締めた。
柔らかい。
爽子さんの体は抱き心地が良くて、一度触れてしまうと離れることが出来なくなる。
「爽子さん、……好き。」
溢れてきた想いをそのまま口に出せる喜びを噛み締めながら、ほっそりとした首に唇を這わせた。
この体勢になると爽子さんの盛り上がっている胸も見えた。薄い布を押し上げるゴージャスな膨らみは手に余る。それをむにゅむにゅと揉みしだきたいし、中心にあるツンと尖った突起も食べたい。
限界だった。
腕を掴んで、布団のある部屋の方に、爽子さんを連れて行こうとした。
「あっ、だめ、アザリ君、待って。」
爽子さんに止められて振り向くと、逆に手を引かれてキッチンのシンクのところまで戻された。
「爽子さん、僕、我慢できない。布団に行こ?」
「だめだよ。裸エプロンプレイはキッチンじゃないと成立しないの。」
爽子さんは僕から手を離して、その手でシンクの縁を掴むように置いて、上半身を下げた。
お尻を僕の方に突き出すような格好になった。
「っ。」
お尻の割れ目の間から桃色の性器が見えた。
それは僕を今すぐ受け入れられるくらいに、濡れて光っている。
僕は堪らず、そこに舌を這わせた。
滴るほどに溢れた蜜を啜ると、爽子さんの艶かしい声がした。
甘い。
声も、体液も。
陰茎は痛いくらいガチガチに勃起している。爽子さんも、こんなに濡れるほど興奮している。
早く一つになりたい。
そう思ったのは自分だけではなくて、爽子さんも切なそうに声を上げた。
「あんっ、もう、だいじょぶ、だから、早く、入れてっ。」
ありがたい誘惑を、断腸の思いで無視をして、彼女の一番感じる突起を舌で刺激した。
早く爽子さんを、僕の魔力でいっぱいにしたい。
けど僕の愛撫によって達する爽子さんも見たい。
「ア、ザリ君…、もう、…んっ…いくぅ。あ、うあああっんっ。」
愛しい人は獣のような声を上げ、あっけなく達した。
僕は彼女の痙攣が治まらないうちにカチカチになった自身を突き入れた。
ぐちゅり、と音がして蜜が飛び散った。
爽子さんの中は、ぎゅうぎゅうと僕を締め付けてきた。
それは『早く魔力を寄越せ』と言われているみたいだった。
その幸福感を長く味わっていたいのに、下半身は言うことを聞いてくれそうになかった。
「っ、爽子さんっ、エプロンっ、すごく、いいっ……えっちで、すきっ。」
「あんっ。よ、良かった。アザリ君っ、に、喜んでもらえ……っ、あ、あ、だめっ、激しっ。」
「ごめっ、でも僕もう、いきそうでっ。」
「っ、わたし、もっ。」
「じゃ、ぼくと、一緒にっ…、いこっ。……く、…は、あ、そう、こ、さんっ。好き、大好きっ、……い、いく、っ。」
裸エプロンは最高だった。
***********
「お味噌汁、ちょっと失敗しちゃったね。」
爽子さんは、豆腐の味噌汁を食べながら、恥ずかしそうに笑った。
失敗しちゃったのは僕のせいだ。自制が効かなかったのだ。
爽子さんを何度も貪った後、そう言えばと味噌汁を温め直したのだけれど、お玉を持ってキッチンに立つ爽子さんが可愛くて、もう一度襲ってしまったのだ。
途中で気づいたものの味噌汁は煮詰まっていた。
「ごめん。我慢ができなくって。」
せっかく料理をしてくれたのに申し訳ない。
「ううん。私も、アザリ君がいっぱい欲しかった、から。いいの。」
そう言って微笑んだ爽子さんは、綺麗で色っぽくて。
そんな人が僕と一緒にいてくれる奇跡と幸運に感謝したい。
でも、神には感謝できないから、取り敢えずあの人に心の中でお礼を言うことにした。
――お兄ちゃん、ありがとう。僕はとっても幸せです。
0
お気に入りに追加
271
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる