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濡れる

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「春日部、もしかして、おしっこ?」

    切羽詰まっているのか、顔を強張らせて春日部は頷いた。

    酒を飲むと尿意は突然やって来て、意識し出すと途端に我慢できなくなる。

    トイレに行く為、春日部は床に座った状態から手を着いて起き上がろうとしたが、腰がなかなか持ち上がらない。
    力がうまく入らないのと、泡のせいで少し滑っている為だ。

    転んだら危険なのですぐさま腕を掴んで止める。

「危ないよ。まだ泡も流してないし……ここでしちゃったら?」
「っ、無理……いや、だ。」

    喋るのも辛そうな春日部だが、僕の腕を支えにして立ち上がろうとする。しかしやはり泡で滑ってうまくいかない。
    かなり緊迫した状況のようなのに、ここでするのは嫌らしい。

「待って、体、シャワーで流すから。」
「たのむ。」

    上半身にシャワーでお湯をかけ、手で撫でながら泡を落とした。
    シャワーから流れる水の音に反応したのか、更に尿意は高まってしまったようで足は貧乏ゆすりをするように揺れている。

    もうちょっとだからね、と語りかけながら手を這わす。首、肩、背中、そして胸に。

「ア、……ふ。」

    春日部の体がビクンと揺れた。
    ちょうど乳首を手が掠めた時に。
    尿意を我慢しながらも乳首で快感を拾ってしまったようだ。

    小さな艶かしい吐息が僕の耳に届いてチンポが反応した。

    尿意と快感で身悶える春日部は頭から食べてしまいたい程可愛い。
    ムラムラと支配欲のようなものが湧いてきてしまった。

「ねぇ、春日部、やっぱりここでしたら?」
「い、やだ。」

    シャワーを止め、両方の乳首を摘まんでクリクリと弄りながら耳元で囁くと、春日部はふるふると首を振った。

「だってもう限界でしょ? トイレに行く途中で漏らしちゃうかもよ?」

    そう言いながら、つんと起ってしまった乳首を指でクリクリと押し潰した。

「ア、ンンッ、だめ、だっ、っ、トイレっ。」

    しかし、何故ここまで頑ななのか。
    もっと恥ずかしいことを色々僕にされているのにと少し疑問に思った。

「どうして? 恥ずかしいから?」
「……町屋が、汚れる、から、やだ。」
「僕におしっこがかかっちゃうから、ここでしたくないの?」
「ア、乳首ダメッ、ンァッ、お前を、汚したく、ねぇ。」

    僕をおしっこで汚したくないからトイレに行きたい、そんな可愛らしい理由に胸がキュンとした。
    春日部は潔癖性気味だが、それは自分自身に対してだけだ。
    自分が汚れていたら僕にフェラはさせないけど、僕がシャワーを浴びる前でも平気でしゃぶってくる。それに、する前には中を自分で完全に綺麗にしてくる。毎日となればかなり面倒なのに。

    今も僕を汚したくないと尿意を我慢している。
    僕には温泉浣腸までされているというのに。

    可愛くて愛しくて、そんな春日部に僕は汚されてみたい。

    まぁ、尿まみれになったところで汚れたなどとは思わないだろうけど。



    僕は乳首から指を離し、春日部の正面に座った。
    体を寄せると、トイレまで連れて行って、という意味なのか春日部は僕にしがみつくようにして腕を首の後ろに回してきた。

    そのまま抱えるようにして僕の太ももの上に春日部を乗せた。
    対面座位のような抱っこ。
    すんなりとこの体勢に出来たのは、春日部の協力があったから。
    僕が春日部の腰を持ち上げた時、春日部も腰を浮かせて体重を移動させた。
    毎日のようにこの体位でしてるから、条件反射で動いてしまったのだろう。

    しかし、春日部は思っていたのと違う体勢になってしまったことに気付き「ちがう」と僕に伝えてきた。

「いいよ、春日部。しちゃって。」
「ダメ、だ、町屋、汚ぇ、って。」
「僕にとって、春日部のモノは何一つ汚くないよ。それに、春日部だって、前にここで僕のこと受け入れてくれたでしょ?」
「んっ。」

    春日部は一応返事をしてくれたが、多分僕の言った言葉の意味はあまり理解して無いように思う。
    多分、尿意(と僕を汚したくない思い)で頭がいっぱいなのだろう。

「っ、町屋ッ、ト――」

    トイレ、のトの形になった春日部の唇にキスをして、ぎゅっと抱き締める。

「春日部、我慢しないで出して。」

    そう言っても首を振る春日部。追いかけるように更にキスをして動きを止めさせて尻に指を這わせた。

「ん、んーーっ。」

    割れ目をなぞるように、尾骨を擽りアナルのシワを撫で袋をフニフニとマッサージする。それを何度も繰り返す。

    僕の腹の辺りにある春日部のチンポは大きくなっていた。
    尿意のせいで完全に勃起はしていないが確実に気持ち良くなっている。

    唇を離すと、すすり泣くような弱々しい声で春日部は喘いだ。

「あ、あ、くっ……まちあッ、で、ちまう、……いや、っ、だ、っ、あ。っあ、よけ、ろ。」
「駄目だよ。このまま出して、春日部。」

    ボディソープを手繰り寄せ、泡を手に取り春日部のアナルに塗りつける。
    滑りは足りないが、春日部のアナルは柔らかい。指を一本、第一間接まで差し入れるのは難しいことではない。
    指の侵入に春日部はひゅっと息を吸い込み背筋を反らせた。
    そして深く息を吐き出してからガクガク震え「ごめん」と呟いた。

    暖かいものが漏れだし僕の腹を濡らしていく。
    初めはチョロチョロと少なかったが、すぐさま勢い良く流れ出た。

「あぁ、っ、止まんねぇ。」
「うん。全部出しちゃおう。」

    アナルに入れていた指を抜き、しっかりと両手で抱き寄せて二人の体に隙間が出来ないようにした。
    行き場を失った水分は僕の脇腹を通り排水溝に流れていった。

「っ……まだ、出る。」
「いっぱい出てるね。温かいよ。気持ちいいね、春日部。」

    背中を労うようにポンポンと叩いた。

「ごめん、な、……まちやぁ。」
「僕こそ、ごめんね。大好きだよ、春日部。」
「んっ、……好き。」


    こんなことをさせてしまって申し訳ない。
    でも普段見られない春日部の姿を見られて、愛しくて、興奮して、堪らない。



    全部出し切った春日部はぐったりしていた。
    春日部を支えながら二人の体と床をお湯で念入りに流して、バスルームを出た。

    体を密着させたまま片手で体を拭いてあげていると、春日部にチンポを掴まれた。

    僕のチンポは勃起したままだった。

「……すんの、か?」

    覚束ない手つきで扱かれる。

「……しないよ?」

    結局、春日部には手コキしてもらって。僕はしゃぶって互いに一回ずつ出した。
    そして髪を乾かし、歯を磨いてあげて腕枕をして寝た。

    素晴らしい一日だった。





    秘密の一夜から数日後、春日部から週末に春日部の実家に行こうと誘われた。

「結婚の報告しようぜ」

    言われた時はびっくりした。

    確かに春日部は家族に報告しに行こうと初めから言っていたが、もっと漠然とした未来のことだと思ってたから。

    嬉しい。

    でも、本当にいいのだろうか。

    春日部の家族は反対するのではないだろうか。
    春日部は楽観的に「大丈夫だって」とは言っていたが、反対される可能性の方が高いとは思っている。
    それに、もし認めてもらえたとしても春日部の両親は僕の家族のことも聞いてくるだろう。

    一般的に結婚とは、家と家との繋がりだから。


    僕には家族がいない。

    家族から縁を切られた理由まで話さなくてはならないだろう。

    そうなれば、結婚はおろか今後の付き合いさえも反対される恐れもある。



    まず、春日部と話をしなくては。

    僕の情けない過去を。
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