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春日部 33

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「町屋ァ♡ 好きッ♡ ……俺だけのッ、町屋ッ♡」

    やべぇ。

    自分の口から出てるとは思えねぇ声が勝手に出てくる。
    町屋に「好き」って言って欲しいって言われてから、好きって感情が止まんなくなって、町屋の行動の一つ一つがいちいち愛しくて、全部好きで、それを口に出さずにはいられなくなっちまってる。
    一回目に「好き」って言った時はあんなに抵抗があったのに、今じゃ言いたくて仕方ねぇ。


    今までだってアンアン喘いでたけど、ここまで甘えたような声が出ちまうのは初めてで、自分でもびっくりだ。


    でも、やめらんねぇ。

    好きって言うと、町屋が全身で嬉しさを表すから、それに胸がキュンとして足の指の先まで幸福感に包まれてふわふわする。
    そんで脳も痺れて呂律も怪しくなって、それでも舌足らずに「好き」ってこと何度も貪欲に町屋に伝えてる。
    まるで保護者を求めるガキみてぇだ。

    幸せだけどハズい。

    でも、これが本来の俺なのかも。

    自分の気持ちを自分勝手に相手にぶつけて、それを全部受け入れてもらいてぇって願望。
    町屋は間違いなく受け止めてくれっから、安心してガキみてぇに俺は町屋を求められる。

    好き、って言葉一つで、色々解放されちまったような気がする。

    俺はずっと町屋に好きだって言いたかったんだろうな、何で今まで言わなかったんだ?ってくらい好きって言葉が心の底から溢れてきてる。


    『恋人』のセックスは今までのと違った。

    俺が町屋に恋してるって自覚したからだけじゃねぇ。町屋の態度に俺への想いが込められてんのを、ちゃんと認識出来てっから感じ方が違う。

    町屋の俺を見つめる瞳はやけに潤んでて、爪の先まで細かく神経を行き渡らせてるみてぇに扱いが優しい。大事な壊れモン扱うみてぇなのに、チンチンは狂暴なくらい硬くて俺を征服しようとしてくる。
    町屋は俺のことホントに大好きなんだな、って思ったらやべぇくらいに好きって気持ちが爆発した。
    チンチンつーか、町屋を俺ん中に入れまま離したくねぇって思っちまう。動いてもらった方が気持ちいいのに、そこに町屋が入ってるだけで幸せを感じて、24時間こうしてたいって思う。

    もはや好きって言葉だけじゃ、物足んなくなっちまってる。

    多分俺は町屋を愛しちまってる。

    恋が認識できたばっかのくせに『愛』だなんて、何言ってんだって感じだけど、愛って言葉を町屋の姿に当てはめてみっと、すげぇしっくりくる。

「町屋、愛してる」って伝えてぇ。

    でも口から出んのは「好き」って言葉だけ。
きっと、一回目の「愛してる」くらいはセックス中じゃねぇ時に言えよ、って自制が効いてんだと思う。大事な言葉だから、性欲に流されて言ったんだと思われんのも嫌だし。



    体を繋げてっと、マジで、町屋を受け入れられる穴があって良かったって改めて思った。

    町屋はゲイで、バリタチだから俺がチンチン受け入れらんなかったら、恋人になんてなれてねぇかもしれねぇから。

    セックスだけが恋人の繋がりじゃねぇけど、一日の終わりには俺の中に入って気持ち良くなってもらいてぇし、満たされた気持ちで眠りに就いてほしい。

    俺は町屋の充電器みてぇな存在になりてぇから。

    町屋が男だけを好きで、俺が男で良かった。


    ひょっとして俺が町屋を好きになるってこと、入学式の日に出会った時から決まってたんじゃね?それって運命だよな、なんてことまで思っちまう。





    初めての『恋人』のセックスは二人が力尽きて寝るまで、いや、寝てからも続いた。

    目が覚めた時、ケツにチンチンが入ったまんまだった。
    町屋はすうすうと寝息立てながら、俺を背後から抱き締めてる。
    俺が「離れたくねぇ」ってワガママ言ったから、俺が失神するみてぇに寝ちまってからも中に留まってくれてたんだと思う。

    記憶はねぇけど、腹が痛くなってねぇってことは、ザーメンは町屋が掻き出してくれたはず。そんで、何回も俺に求められて多分限界だっただはずだけど、もう一回勃たせて俺の中に入れて、そのまんま寝た。
    そのことを想像すっと、町屋が愛し過ぎて、愛する人に愛されることの幸せで体が震えた。

    町屋は俺の運命の相手。



    そんな相手が出来たことを堀田にちゃんと報告してぇ。

    堀田は俺の、本当の意味での親友だから。

    考えなしのくそヤリチンを卒業するきっかけをくれて、初恋もして、気持ちを確かめあった相手が出来て、それが町屋だってこと教えてやりてぇ。

    多分すげぇ驚いて、思いっきり茶化されるだろうけど、安心もしてくれんじゃねぇかって思ってる。
    お前はいつか女、もしくは逆恨みした男に刺されんじゃね?って軽口叩きながら心配してくれてたから。

    実際、ヤリチンだった爺ちゃんの背中や脇腹には刺し傷がある。

    家族の中で多分俺だけが爺ちゃん――遺伝子学的には父ちゃんだけどそんなことはどうでもいいか――の血を引いてっから、俺もいつかそうなっちまうんじゃねぇかな、って漠然と思ってたし。
    なるべく自衛はしてたけど、性欲は収まんねぇし、刺されたら刺されたで仕方ねぇか、なんて昔は思ってたけど、今はそんな刹那的な考えは捨てた。不誠実な付き合いは軋轢しか生まねぇのは当たり前だって気付けたし、何より町屋とずっと健やかに暮らしていきてぇから、

    大事な相手が出来ると、自分のことまで大事に出来るようになんだから恋だの愛だのってマジですげぇ。
    そんなこと思って感動してると、ケツまで連動してキュンキュンしてきて、半勃ちの状態で俺の中にいる町屋のチンチンを無意識に締め付けちまった。

    町屋は寝てんのに、俺の締め付けに反応してチンチンはデカくなってきた。
    中が疼いて堪らなくなった俺は、繋がったままケツで町屋をゆっくり押して仰向けにさせた。
    そして背面騎乗の体位からゆっくりと自分の体を反転させて町屋と向かい合った。
    そん時、チンチンも俺の中で反転したから、グリグリっていいとこを抉られちまって思わず声が出た。

    それでも町屋は起きる気配がねぇ。

    昨日は俺の求めるままに頑張ってくれたから、かなり疲れてんだろう。

    ゆっくり寝かしてやりてぇけど、町屋の脈動を中でもっと感じたくて堪んねぇ。
    もっと大きくさせて俺の一番奥までザーメンを届けてほしい。


「町屋ッ、寝てンのに、っ、ごめ、んな、ンッ、好き…だから、赦せッ、…ふ、アア、ン、気持ち、いッ…♡」

    起こさねぇようになるべくゆっくりと、俺は町屋の上で腰を揺らした。
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