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試練 ※ぬるい3Pあり

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    春日部に扱かれているのに、僕のチンポは勃ちが悪い。外的刺激で半勃ちくらいにはなっているが、春日部のもう一つの腕の先を見れば胃がギリリと痛みチンポに血が集まっていかない。

    一方のマナトのチンポはギンギンで、先走り汁まで溢している。
    仕事でここまでヤル気満々になるものなのかと疑問に思うが、マスクをしていても春日部はイケメンだ。マナトのタイプなのかもしれない。

    風俗店のプロフィールには勃起時の長さが17センチと書かれていた。ガン勃ちしているチンポを見るに、意外にもあまり多くは鯖を読んでいなかったようだ。
    まぁまぁ立派なチンポ。だが、僕よりは確実に短い。しかし、今の半勃ちの状態では勝ち目はない。
    春日部に情けないチンポだと思われたくないが、焦れば焦るほど縮こまっていく。

    焦燥、嫉妬、落胆、悲観、諦観。

    色々な気持ちがごちゃ混ぜになって、自分が今何をすべきなのかが分からなくなっていた。

    そんな時、一人仕事を全うしようとするオトコが、口を開いた。

「キョウ君のチンポ、萎んじゃいましたね。しゃぶってもいいですか?」

    自分のことで手一杯で、見る余裕が無かったが、確かに春日部のチンポも僕同様萎えていた。

    嫌がってる?
    それとも緊張している?
    嫌ならもっとはっきり拒絶をしてくれたなら。いや、もう十分か?でも――

    僕が迷っている間に、春日部のチンポにマナトが触れた。

    やめて。

    口に出かかったが、春日部の返事の方が先だった。

「ああ、頼む。」

    暫く沈黙を保っていた春日部が初めて発した言葉。
    マナトでは無く僕の方を向いて返事をしたのは、僕のチンポを扱いている最中だからに過ぎない。でも、僕にはそれが春日部から直接下された死刑宣告のように思えた。

    仕方ない。

    やっぱり、僕の今までの経験通りに事は進むようになっているのだ。
    大いなる誤算はシミュレーションなんて糞の役にも立たないということ。
    耳鳴りがし、気が遠くなり、今起こっていることが夢の中の出来事のような気になってくる。しかし、視覚の暴力はこれが現実なのだと僕に襲いかかる。けして、現実逃避を許してくれない。

    これは試練なのだと耐えるしかない。『卒業後は必ず戻ってくるから』と、自分を落ち着かせる。


    マナトの唇が、春日部のチンポの先にキスするように触れた。卑猥な水音と共に吸い込まれるチンポ。

    目眩がする。

    昨晩は今日が休みだからと、春日部と一緒に寝た。今朝、珍しく僕の方が先に起きたから、チンポをしゃぶって起こしてあげた。

    愛しい愛しい春日部のチンポ。

    数時間前までは、僕の口の中にあったもの。それが今、マナトの口に含まれている。

    春日部がどんな反応をするのかが恐い。恐いのに、確かめられずにはいられない。
    じっと春日部を見ていると、春日部も僕と視線を合わせた。

    マスクに隠れているせいで、やはり感情は伺えない。でも、僕がしゃぶってあげている時とは明らかに違う。
    艶かしい声もなく、口は固く引き結ばれ、少なくとも気持ち良さそうにはしていない。

    何故。

    しかし、春日部は自分から「頼む」と言っていたのだから、僕の願望のせいで気持ちよく無さそうに見えているだけなのかもしれない。

    それとも僕に遠慮してそんな顔をしているだけなのか。


    前は手に取るように分かった春日部の心理が、今は全く分からない。
    自分の感情が大きくなり過ぎて、春日部をまっさらな目で見ることが出来なくなっている。


    呆然と、どうしようもなく拷問のような時間をやり過ごしていると、春日部がまた口を開いた。僕とはいまだに見つめ合ったまま、チンポも握られたままだが、それは僕に対する言葉では無かった。

「マナト、チンチンはもういいから、ブチ込んでくれよ。我慢出来ねぇんだ。」

    きゅ、と喉が絞まり息をするのもままならないし、動くことも出来ない。今度は僕が固まる番のようだ。


    マナトは戸惑いながら、春日部のチンポから口を離した。ぽろり、と出てきたチンポは小さいままだった。
    気持ちよくなっていないのは一目瞭然。それなのに発する言葉だけは積極的。

    何故、春日部はこんな行動を取るのか。

    想定しきれていなかった事態に、頭が混乱する。

    マナトも多少困惑気味だが、四つん這いの体勢になった春日部に「早く」と促されたことから、ゴムを手に取った。
    ちらりと僕を見てチンポにゴムを着けると、春日部の後方に回り尻に手を置いた。

「ほんとにいいんですか?入れちゃって。」

    誰に聞いたのかは不明だが、答えたのは春日部だった。

「ああ。」

    春日部はやっぱり僕の方を見て返事をする。チンポも握られたまま、もう大きくすることは諦めたのか扱いたりせずただ握っているだけ。



「あれ?緊張してますか。力入っちゃってるんで、ちょっと解しますね。」
「……くっ。」

    マナトの指がアナルに入ると、春日部は苦しそうに声を上げ俯いた。

「痛かったら、言ってくれださいね。」
「大丈夫。気持ち、いいよ。」

    そう言うと春日部は、悩ましげな声を漏らし始めた。

    僕はそれを信じられない思いで見つめていた。


    これは演技の、声だ。

    僕が苛ついて乳首を噛んだ時と同じ、感情の籠っていない声だった。

    何故、感じている演技などする必要があるのか。嫌なら止めてしまえばいいのに。


    何故か、なんて、そんなの考えるまでもない。

    あの時も、今も、僕に喜んでほしくて春日部は自分を偽っているんだ。

    僕だけに特別優しい春日部。

    ろくに解されもしないで入れられた時、快楽の波に揉まれ、よく分からないままにハメ撮りをされた時、恥ずかしくて死にそうなのに助手席でオナニーをさせられた時、潔癖気味なのに温泉浣腸された時……他にも沢山。数えきれないくらい僕は春日部に無理をさせてきた。その度に春日部はふざけんな、って怒って、でも結局は赦してくれた。
    「ほんとお前はしょーがねぇ奴だな」って、優しい笑顔で。


「……かすか、べ。」

    キョウ、と呼ばなきゃいけないのに、自分で念を押したことなのに、僕は春日部の名前を口にしていた。

    呼ばれた春日部は顔を上げ、僕を見て微笑んだ。
    マスクの下の表情は分からない。でも、間違いなく笑ってる。
    ほんとお前はしょーがねぇ奴だな、って。

    手を伸ばして春日部の顔に触れると、マスクに隠れていない口元が泣きそうに歪んだ。微かな震えも伝わってきた。
    しかしそれは一瞬のことで、また口角を上げて微笑んでくる。
    そして、ゆっくりと口を開いて何かを僕に伝えてきた。
    声は出てない。口が動いただけ。

    でも、僕の耳にはちゃんと届いた。

    ――たのしめよ、まちや。



    僕は、大馬鹿者だ。

    春日部の何を試すつもりでいたんだろう。春日部が今までの恋人やセフレと違うことなんて、僕が一番分かってたのに。

    春日部は、僕が傷付くようなことをする人間じゃないって。


    涙で視界がひどく歪む中、僕は春日部をマナトから引き剥がした。
    呆気にとられているマナトを尻目に、僕は大事な大事な愛しい人をぎゅっと抱き締めて、許しを乞う。

「ごめん、春日部っ。こんなことしてっ、ほんとごめんっ。もうこんなことしないからっ。だからっ、僕以外の誰ともセックスしないでっ。僕は、春日部が大好き、だからっ。」


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