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温泉効果

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    イキそう。

    たった一枚、薄い膜が無いだけで。

    ――たった一枚、薄い膜が無いセックスを春日部が望んでくれただけで。

    僕は射精のコントロールが効かなくなる。

    生の肉の感触は、初めての時よりもずっと柔らかくて、僕を歓迎してくれている。
    入り口はきゅっと僕を離さないように締め付けて、中は蠢いて射精を促す。

    もう無理。
    一緒に、イキたい。

    チンポに触れると、春日部は更なる快感に唸り声のような喘ぎを漏らした。

    後ろから耳を食んで囁く。

    ――中に出していい?

    春日部の動きが一瞬止まって、その後、顔だけ振り返って僕を見て頷いた。
    上気した頬、潤んだ瞳、いつもは強気に見える眉も下がっていて、すべてを僕に委ねます。そんな表情。

    堪らない。
    心を乱されて、優しくしたいのか、めちゃくちゃにしたいのか、気持ちがぐちゃぐちゃになって分からなくなってくる。

    奪うように唇を合わせて、でたらめに舌を吸って、歯列をなぞって、唾液を飲ませて。

    腰を振って、チンポを扱いて。

    パンパンと肌がぶつかる音と、粘着質な音が風呂場に響いてる。

    すぐに限界は来て、春日部より先に僕が果てた。その後、すぐに春日部も出したが、僕はまだまだ春日部の中にいたかった。
    チンポは萎える気配が全くなくて、そのまま激しく腰を振り続けた。
    奥へ、もっと奥へと、精液を塗り込むように、一心に。


「あっ、ア、ア、…ダメだッ、も、ダメだッ、まち、やっ、待て、って、…ひッ、イッた、俺ッ、イッたからッ、…やめっ、も、おっ、…おかしく、なるッ……ンンンッ。」

    春日部はキスをやめてイヤイヤをするように頭を振り、僕を止めようとした。僕は逃がしたくなくて、体を強く押し付け、壁と僕の間に春日部を挟んで動けないようにした。

「おかしくなってよ、春日部。……っ、また、出すよ。」
「ふわぁッ、や、も、っ、アアアンッ、…出てるッ、また、出てるッ、っ、お前の、チンチンッ……ア、アッ、やべぇッ。」

    二度目だというのに、長い射精時間。
    でもイッたのは僕だけじゃない。春日部も壁に押し潰されながら、か細く啼いて、精液を吐き出してた。壁を伝って溢れた精液は、バスタブの湯に落ちてぷかぷかと浮かんだ。




    「おかしくなる」と言った春日部は、二度、中に出され喘ぎまくって、ぐったりしていたから、僕が体も髪も洗ってあげた。

    魂が抜けたような状態の春日部は、素直に僕に洗われていたが、アナルに指を突っ込まれて精液を掻き出された時は、掠れた声で抗議してきた。

「どんだけ出したんだよ」と。

    ほんとはもう一回出したかった、とは言わずに「あははー、ごめんね」と笑うと、春日部も「ったくよ」と言って笑ってくれた。


    春日部は腰に力が入らなくなってて、僕に支えられながらベッドルームまで歩いた。

    ベッドに下ろし、横にならせて春日部を休ませる。

    冬休みは明日までだから、今日は一緒に寝れる。
    布団を肩まで被せて、寝かせたまま髪の毛をドライヤーで乾かすことにした。

    変な髪型になるだろうけど、風邪を引くよりはマシだろう、

    鼻唄を歌いながら、ドライヤーを当てていると、夢と現の狭間にいたはずの春日部が口を開いた。

「お前の、消えたんだな。」

    何が?と聞こうとして、僕の首を指差されたから、キスマークのことかと思い当たった。

「2、3日前に消えたよ。」
「……俺の、まだあんだけど。」

    春日部は布団を下げて、左胸を指差した。そこには小さな小さな茶色、というよりは黄色に近いくらいの皮下出血の痕があった。言われなくては気付かないくらいの小さな痕。現に今まで気付かなかった。


「なんでだろ? 温泉に入らせてもらってたから、早く消えたのかな?」
「お前だけ、ずりぃよ。」
「え……あッ。」

    春日部は僕の腕を引っ張って引き寄せると、鎖骨の辺りに吸い付いた。さすがに元の場所、――首筋に付けるのは憚られたらしい。

    赤い花びらみたいなキスマーク。

    されたら『お返し』をするのが、僕たちのキスマークのルールだったっけ?惚けながら春日部の胸に吸い付いた。

    消えかけの痕を上書きして、そのまますぐ近くにある乳首を吸って。もう片方の乳首は指の腹で転がした。
    すすり泣きみたいに、鼻を鳴らして僕の頭を抱き込む春日部。またエロのスイッチが入ったみたいで嬉しい。


    二人が寝たのは、僕が、もう一回だけ、を二回繰り返した後。
    ぐったりと疲れてるのに、春日部は腕枕をしてくれた。


    が、春日部は数時間後に腹痛に襲われ飛び起きた。

    何故そうなったか分からない春日部は、食あたりかもしれないと僕のことまで心配してくれたが、理由を話すとめちゃくちゃ怒られた。

    「掻き出すの、つい忘れちゃって」と言ったけど、ホントはわざと。

    僕の精液が春日部に染み込んだらいいな、って。
    マーキングみたいに、匂いが染み付いたらオスが近寄らなくなるかも、なんて馬鹿なこと考えて。

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