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春日部⑪

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「んー、僕は春日部の精液は、トクベツ美味しいって思うよ。」

    ――トクベツ。

    心が擽られるみてぇな、やべぇ響き。

    俺は町屋のトクベツ。

    すげぇやらしい顔で町屋はそんなこと言ってくるから、俺はちょっとだけぼーっとしちまった。
    そしたら、続けて「僕、今、体鍛えてるから、たんぱく質はいっぱい摂りたいんだよね」と笑いながら言われた。

    筋肉ジョークかよ。

    面白くねぇジョークにイラッとした。
    腹いせに、町屋をもう一回いかせてやろうと思って、チンチンに手を伸ばしたら、体を引いてかわされたから、更にムカついた。

「扱かせろ。」
「だめ、今は僕の番。アナル舐めてあげる。」
「手コキのが先だ。」
「えー?」
「えー、じゃねぇ。」

    もう一回手を伸ばしたら、その手を握られたから力を入れて押し返そうとしたら力比べみてぇになった。利き手じゃない左手の町屋は不利で、それを悟った奴はもう片方の手も組んでこようとした。そうはさせるかと俺は町屋の足を掴もうとして、もつれ合った。

    キングサイズのベッドの上でマウントポジションの取り合いをした。
    でも途中で、大の大人がプロレスごっこなんて、何やってんだ。しかも全裸で。って思ったら、すげぇ笑けてきて、町屋の顔を見たらアイツも笑ってて。
    そっからはヒーヒー腹が痛くなるほど二人で笑って、勝負は続行不可能でドローになった。

    笑い過ぎて、エロいことの続きなんて出来ねぇかと思ったけど、それはそれ、って感じで笑いが収まったタイミングで、キスされて気付いたら町屋に気持ちよくされてた。


    俺の太ももを支えて、正面から町屋はケツを舐めてる。

    この体勢は何度しても慣れねぇ。

    町屋は俺をじっと見てきて、落ち着かねぇし、ゾクゾクしちまう。
    止めてくれって言っても、これは聞き入れてもらえねぇ。


    散々喘がされて、声が掠れてきた頃、町屋は指を入れてきた。

    やっぱり気持ちいい。

    でもチンチンとはやっぱり違うんだな、って思った。
    チンチンの圧迫感、弾力のある硬い質感、それと、熱さ。

    町屋のチンチンは熱かった。

    痛みとは別の熱さ。
    火傷しそうなくらい熱く感じたけど、それは嫌じゃなくて。

    これが『町屋』なんだな、って実感できたつーか。


    受け入れる側になってみて、初めて気付いたセックスの別の顔。

    求められて、受け入れて、中に存在を感じる。

    すっげぇ痛くても、充足感はあった。やり遂げた達成感も。
    それは、終わった後、ありがとう、って町屋が言ってくれたから余計に感じられたのかもしれねぇ。
    だから『ゲイになっちまった』って落ち込むことも無くて、いつもの俺、いや、いつもの俺より晴れやかな気分でいられた。

    そんなことを考えてたら、何か、ケツの奥の方がキュンと締まる?ような感じがしてきた。

    前立腺を弄くられてて、最高に気持ちいいんだけど、その先の、もっと奥まで指を伸ばしてくんねぇかな、って思っちまった。

    指じゃ届かない。
    じゃあ、チンチンか。
    いやいや、昨日すげぇ痛かったし。
    でも町屋は「慣れると気持ちいい」って言ってたし。

「……春日部、気持ちよくないの?」

    葛藤が顔に出てたのか、町屋は指の動きを止めて俺の顔を心配そうに見てた。

「あ、いや、気持ちいいよ。でも、あのよ、……えっと、……チンチン入れるのって、か、浣腸しなきゃダメなんだよな?」

    町屋は俺の話を聞いて、何度か瞬きをした後、すげぇ嬉しそうな顔になった。んで俺のケツから指抜いて、そこら辺に落ちてたゴム――多分、ケツに指入れる時に使った余り――を手に取って、個包装のパッケージを破った。
    黙って町屋の行動を見てたけど、チンチンにゴム被せてんの見て、やべぇと思った。

「あ、ち、違うって。俺はただ聞きたかっただけで――」
「した方がいいけど、腹の調子が悪くなければ、しなくても出来るよ。ゴムなくてもいいけど、チンポが病気になっちゃうかもしれないから、一応ゴムはつけるけどね。」

    しっかりゴムを嵌めて、ローションを手に取る町屋に、俺はなんて言えばいいのか。
    考えて、口から出たのは。

「……痛ぇのは、嫌だ。」

    こんなんで、やる気になった町屋を止められるワケがねぇ。

「じゃ、途中まで、ね。」

    股の裏を支えられ、昨日とは違う正常位の体勢。
    ケツにチンチンが近付いてくんのを、やべぇって思いながら、心臓をバクバクさせて見てた。

    昨日は体勢的に、あんまり見えなかった町屋の顔も見える。

    さっきまでの笑顔はもう無い。

    強い、男の顔だった。

    俺の何かが持って行かれちまうような、奪われちまいそうな、そんな顔。

    やべぇだろ。

    本能的に恐怖を感じたけど、体は動かなくて、今にも入ってきそうな町屋を見守ることしか出来なかった。

    ケツのシワが伸びて内側にめり込む感覚。その後にあの熱さがやってきた。

「――っ、あああッ、熱ッ、チンチンっ、熱いッ。」
「ふ、春日部の中も、温かいよ。きもち、い。…もうちょっとだけ入れるね。」

    町屋は、俺の気持ちいい場所までチンチンを入れて、ゆっくりと動き出した。
    昨日はしなかった抜き差しは、目の奥で火花が散るくらい気持ち良かった。

「んああッ、やべッ、……ああ、あ、……ふああッ」
「うんッ、ヤバイッ、僕のチンポ、持ってかれそ。……く、凄いエロい音、なってるね。」

    ぬちゅ、ぬちゅ、という音が結合部からは聞こえてて、それを指摘されてすげぇハズかった。

「俺の、っ、ああッ、……せいじゃ……んッ、ローションの、音っ……あ、そこッ…だめだって…ア、アッ。」

「違うよ。っ、これは春日部が、僕のチンポを、ふ、抱き締めてる、音、だから。」
「違ッ。」
「違く、ない、よ。」

    違うとは言ったけど、抜き差しされると指を入れられた時よりも気持ちよくて、もっともっとチンチンが欲しいって思っちまってた。

    てか、言っちまってた。

「もっと、チンチン、奥までくれよッ。」

って。
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