Evergreen

和栗

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「涼くん・・・」
ころん、と仰向けにされる。
「んく、う、ん、ん、」
柔らかなピストン運動に合わせて声が漏れる。
正常位、好き、だけど・・・。
「涼?」
「あ、ふぅう・・・ふぅ~・・・んー・・・」
「ほら、ぐーって・・・」
「ひ、ひ、!ゔっ、い、」
好き、だけど・・・!
ずーっと見つめられると、恥ずかしい・・・!
目を閉じると頬を撫でられた。
うっすらと目を開けると、ふわっと微笑んで顔が近づいた。
「あ、らめ、ん、・・・」
キス、が、気持ちよくて。
腰が熱くて。
ガタガタと体が震えて、達した。
「いっちゃったねぇ」
耳元で囁かれて体が跳ねる。
今日、ねちっこい・・・。
前戯も長かったし、すごく丁寧で困惑した。
いつもの丁寧さに更に拍車がかかって、ゆっくりゆっくりほぐされて、いかされた。
今だって、激しく腰が押しつけられた訳じゃない。優しく突かれて、じわじわ競り上がってきて、長く長く達した。
「ひ、うぅうっ・・・いきたく、ない、」
「どうして?気持ちいいよね?」
「いく、ないっ・・・きもちく、ない、」
「・・・そう、なの?え?痛い?あれ・・・これ好きじゃなかったっけ・・・」
「は、ひぃいっ・・・!?」
優しく乳首を摘まれて、腰が押しつけられた。
やだ、やだ、気持ちいい。またいく、いく!
「あーっ、あーっ!もぉいやぁあー・・・!」
で、出ちゃ、た・・・!
和多流くんは首を傾げておれの顔を覗き込んで、くしゃくしゃと頭を撫でた。
「・・・よくない?」
「は、はぁっ、はぁ、ん、」
「涼くん・・・」
目が合う。あ、こんな、顔・・・させたく、ないのに・・・。
不安そうな顔が見たかったんじゃない。快楽漬けが辛かっただけ。
「・・・気持ちよくなかった?」
「ばか、・・・良すぎて、ツラい・・・」
「・・・ほんと?ほんと?これきもち?」
「ゔぅ~・・・!!も、やだぁ、きもちーのやだぁ、」
「よかった・・・きもちーなら、嬉しい」
「待って待って!いきたくない!つらい、やだ、ゔゔぅうぅっ、い、く、やぁ~・・・」
腰が、足が、痙攣する。必死に背中に腕を回してしがみつくと、いきなり強く叩きつけられた。
「あ゛ぐぅっ!?んぉっ!?あ、あ、あ、あ、あ?!」
「その声、好きー・・・もっと聞かせて?」
「ゔあ!あ゛!あ゛!あ゛ぁー!づよぃいぃっ!」
「感じて?ね?」
ドロドロに溶かされるセックスが、和多流くんの好きなようにされるがままのセックスになる。
気持ちいい、ツラい、いきたくない、いっちゃう。
頭、バカになる・・・。
「は、ははっ、可愛い・・・好き、エッチな涼くん、大好き・・・」
「あ゛~!!あ゛ぁあ!あ゛、あ゛!」
「いっぱいしよーね・・・ふふ、ん、」
かぷ、とキスをされてから、記憶が飛んだ。
多分いかされ続けて、和多流くんに好き勝手にされて、気絶した。
何時間も抱かれるなんて、こんなに気持ちよくてこんなにツラいなんて、知らなかったよ。


******************************



「涼くんはどっちが好き?」
「・・・紫のグラデーションの方」
「おっけ。これにしよ?おれ黄色のグラデーション」
「・・・」
「え、あ、違うのがいい?今セールしてるし大きくて保冷も保温もできるし、いいかなって思ったんだけど・・・」
「・・・」
「・・・涼くん~・・・怒らないで?ごめんね?ね?」
結局、何時間したのか分からないくらい抱き潰された。
目が覚めたら腰が抜けてるし、足に力が入らないし、体がだるいし、おしりはむずむずするし。
お、お腹、まだ、入ってる気が、する・・・。
枕に寄りかかって何とか座っている状態。
和多流くんはそんなおれを甲斐甲斐しくお世話して、今はこれからくる夏のために大きめのタンブラーを選んでいた。
「涼くんが可愛くてたまんなくて・・・我慢できませんでした」
「・・・」
「・・・涼くん」
する、とお腹を撫でられて体が跳ねる。
気持ち、いい・・・。
「痛かった?」
「ち、違うもん・・・」
「ねちっこくて嫌だった?」
すっごく時間をかけてほぐされて、正直ねちっこいなとは思ったけど・・・嫌じゃない。むしろ、溶かされて恥ずかしいやら嬉しいやら・・・。でもそう言うとまたしようとしてくるし、いや、いいんだけど、嬉しいんだけど、限度があるっていうか。

だって4~5時間も抱かれるなんて、誰が想像するのさ。

しかも1人の相手に。
複数ならまだ分かるけど!
いや、複数とか絶対に嫌だけど!
「・・・つ、次、その、ねちっこいときは、言ってほしい・・・心の準備、できてないから・・・」
「わかった」
「あ、あと、いきすぎてツラいから、途中で止めてもらえると・・・」
「・・・あ、そ、そう?いや、セーフワードがなかったから、てっきり・・・」
あ、忘れてた。
顔が熱くなる。
俯くと頭を撫でられた。
「可愛い~・・・」
「・・・っ」
「んふ、んふふっ。かわい。すごく可愛い。忘れちゃうほどよかった?えへへ」
「わ、和多流くんだってねちっこく抱かれれば分かるよ!ツラいんだから!!」
「ツラいだけだった?」
ずぐ、とお腹が疼く。
ツラい、だけなら・・・こんなふうにならない。
何度も大きなペニスがおれの中を捲って、形を覚えさせるようにゆっくりとおれを支配して、知らなかった奥の奥を快楽漬けにした。
おれの中は、もう、和多流くんの形になっているはずだ。
肩を抱かれてそっと乳首に指を置かれる。大袈裟に跳ねて顔を上げると目が合った。
「何もしてないのに立ってるね」
「あ、ん、」
「ほら、ぷりぷりしてる」
親指の腹で撫でられる。
快感がじゅわーっと広がって、下腹部が熱くなる。
すりすりと優しく撫でられたら、たまらない気持ちになる。
「んんっ、んぅ、ん、」
「痛くない?」
「う、ふ、ふぅっ、」
「こっちがいい?」
至近距離でぺろっと舌を出された。
きゅーっとお尻が締まる。
和多流くんの太い首に腕を絡めてつい、むしゃぶりつく。
舌が絡まって気持ちいい。溶けちゃう、かも。
溶けて一つになれたら、おれ、きっと泣いちゃう。嬉しくて、ずっと泣いてしまう。
ひょいっと抱き上げられて膝の上に乗ると、そっと両方の乳首を摘まれ、くりくりと弾かれた。
「あぁんっ、!あ、や、今の違う、」
「何が違うの?気持ちいいでしょ?」
「んむっ、あ、きしゅ、きもち、」
「おれも大好き・・・ん、もっとしよ?」
「わた、く、わたく、ん、んむっ、ん、ん、」
ちゅ、ちゅ、と柔らかい音が響く。
乳首を優しく嬲られて、緩やかに快楽が体を支配して、夢中になってキスをした。
「んふ、ふ、しゅき、しゅき、」
「入るね?」
「え、へ?」
「腰あげてごらん」
「や、きしゅだけ、きしゅ、」
「・・・でも、おれ、きつい・・・さっきからぐりぐりされてて・・・」
「え?」
ハッと目を開く。
振り返って和多流くんのを見ると、おれのお尻で潰されていた。
ピクピクと動いているのが分かる。
「あ、あの、ごめん・・・」
「・・・んーん。抜いてくるー・・・」
「えっ」
「んー?トイレ行くだけだよ」
「・・・や、やだ、」
離れないように抱きつくと、お尻を撫でられた。
腰を上げてゆっくり下ろすと、ずるーっと入っていく。チョロい体だよ。本当に。
「んー・・・あったかい・・・ん、」
「く、ぅうっ・・・」
「タンブラー、買うね?お揃いの・・・」
「は、はひ、ひ、ゔ、おっき、」
「楽しみだね。お揃い・・・大好きなんだ。ね、涼くんは好き?」
さらっと内腿を撫でられる。
足が震えて一気に腰が落ちた。
「あ゛ぅゔ~・・・!!」
「あはっは、今のヤバっ・・・!たまんね・・・!もって、かれそっ・・・!」
「れちゃ、う、」
「いいよっ・・・」
「やぁだ、やだ、わたく、ぎゅってしてぇ・・・!」
「んっ・・・!ね、買ってって、言って?」
「へ?へ?あ、ぅあ、気持ち、きもち、」
「お揃いの、買ってって、おねだりして?ほら、奥にあげるよ」
くんっと腰が持ち上がって奥にキスをされた。
優しい快楽がお腹に広がって、だらしない声が漏れる。
「ふぁあぁぁあ~・・・きもち、い・・・!しゅごいのぉ・・・」
「しゅごいねぇ?んふふ、呂律回ってないの、かわい。好きだよ」
「おぇ、も、すき・・・」
「お揃いは?」
「しゅき、」
「よかった・・・」
「か、って、買って、お揃い、ん、しゅきらから、ん、ん、」
「あとね?あとね?キャップもね、いいのあったんだよ。明日見に行こ?お揃いの」
「あ、あ、おく、おく、」
「トントン好き?それからね、ショルダーバッグ。涼くんのだいぶ擦り切れてきてるから・・・お揃い、しよ?ん、ね?ね?」
「あ、あ、あ、あ、きちゃう、きちゃ、うぅっ・・・」
「ぜーんぶ、おれと同じにしようねぇ・・・?」
「だめきちゃう!なんかくるぅ!!わたくん!」
「うん、いいよっ」
腰を掴まれて小刻みに揺らされた。
頭、痺れる。
快楽漬けにされる。
汗も声も止まらない。
全部、和多流くんの思いのまま。
おれは溶かされていくんだ。




**************************



「・・・これ」
「これ?これがいい?うん、いいかも」
ボディーバッグを指さすと、和多流くんはヒョイっと2つ手に取っておれに1つ渡してくれた。
「タンブラーも入るかな」
「・・・うん」
「あ、でも横にしたら溢れるかー」
「・・・」
「こっちは?」
「和多流くんのはいらないでしょ」
ついキツイ口調で言うと、目を見開いてまじまじと見つめてきた。
「何個持ってるの」
「え?でも昨日お揃い、」
「タンブラーの話でしょ」
「違うもん。カバンもだよ。こっちのボディバックはどう?」
「・・・」
「・・・お、お揃いは持ってないもん!」
だから何さ。
すぐ無駄遣いするんだから。
確かにお揃いは好きだけど、全部をお揃いにする必要はないでしょ。
て、いうか・・・。
「無理やり言わせたんじゃん」
「え?」
「お揃いがいいって言ってって、言わせたんじゃん」
「・・・えっ。は?い、言わせたって酷い!聞いただけだもん!」
「あれは言わせたのと同じだもん」
「・・・で、でもこのカバン、すごく、いいから、ほしい、」
「じゃあおれ、和多流くんが使わなくなったやつ借りて使おうかな」
「へ?」
「それ、確かにかっこいいし。買ったら?」
お仕置きだもん。
昨日は結局ベッドから出られなかった。
疲れ果てて眠って、起きたらまた触られて、ふにゃふにゃになったところで甘やかされて。
流石に体がだるい。
でも買い物はしたかったからここまで来てしまった。
和多流くんはボディバックをそっと戻すと、やっぱりいい、と呟いた。
ぷいっとそっぽを向いて歩き出す。
靴屋に入ってサンダルを見ていると、隣に並んで少し落ち込んだまま靴を見始めた。
しばらく各々物色していると、トントンと肩を叩かれた。
振り返るとベージュのサンダルを持った和多流くん。
「これ、似合うと思う」
「え?おれ?」
「うん・・・。あ、似合うなと思っただけなんだけど」
「・・・軽くていいね」
手に取ると、ホッとしたように笑った。
別に怒ってるわけではなかったけど・・・。
履いてみるとものすごく軽くて、疲れにくそうで、ちょっと惹かれてしまう。
「似合うね。あ、少し厚底だから目線がいつもと・・・」
「ね。・・・これいいなぁ。この色だけ?」
「ううん。カーキと、黒と、紺」
「和多流くん、カーキにしたら?」
「え?」
「履いてみなよ」
「う、うんっ」
ものすごーく嬉しそうに、自分のサイズを手に取って履いている。にこにこしながら立ち上がり、2人で鏡を見る。
「これいいね。夏、涼しいし歩きやすい」
「ね。・・・カバンよりいいな」
「だね。これ買おうよ。これはお出かけ用で、去年買ったやつはお散歩用」
「・・・うん、ならいいよ」
「買ってくるね!」
「だめ。家計で買います」
「えぇっ!?」
「嫌なら買わない」
「か、買います買います」
タンブラーだって和多流くんのカードで買っちゃったし。
お金をじゃぶじゃぶ使いすぎだよ。
サンダルを買って、お店を出る。キャップも欲しいって言ってたけど、それはまた今度だ。
和多流くんはニコニコしたまま、お昼食べようよとおれの好きなお店を指差した。断る理由もないのでついていく。
席に着くと、ニコニコしながらおれを見た。
「いいのがあってよかったね」
「うん」
「あの、カバンなんだけどね?」
「え?うん」
「後で、好きなの持って行って」
「いいの?」
冗談だったんだけどな。
でもなんだか嬉しそう。
じゃあ後で、と言うと、さらにニコニコした。
う、シラフの時も、何気ない時も、正面から顔を見るって、破壊力がすごいな・・・。
ドキドキするし、可愛いって思うし・・・。
自分の持ち物が減って嫌じゃないのかなと思ったけど、どうやら自分の物をおれが使っている、という姿を見るのが好きみたいだ。
それに気づいたのは家に帰ってカバンを選んで、次の週に出かけた時のこと。ニヤニヤしながらずーっとおれの写真を撮っていた。
変な人、と思いながらも嫌いになれないし、なんか微笑ましいなと思ってしまうんだから、おれもだいぶやられてるよね。
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