Evergreen

和栗

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「りょーうーくん」
いい気持ちでうとうとしていた時だった。名前を呼ばれて目を開ける。ベッドサイドに置いた小さな棚の上にある、ゆるキャラのナイトライトがぼんやりと光っていた。
手には本を持ったままで、読みながら寝てしまいそうになっていたことに気づいた。
うつ伏せのまま顔を上げて振り返ると、和多流くんが髪を濡らしたまま覗き込んでいた。
髭が綺麗に整っている。つい先ほどまでボサボサだった。ようやく仕事が終わったのだろう。
終わるからベッドで待っていてと言われて素直に待っていたのに、寝てしまうところだった。
大きな体が覆いかぶさって、首筋に鼻を擦り付ける。
お尻に、既に硬くなったペニスが押しつけられた。
「はぁ、3日ぶりの涼くん」
「くすぐったい」
「遅くなってごめんね。あのね、眠いのは分かってるんだけど、我慢できない。したいんだ。しよう?いい?」
聞きながら、すでに腰を動かしている和多流くんが可愛くて、うん、と頷くと、耳の裏を舐められた。
「ふんっ、」
「はぁ、可愛い。可愛すぎるよ。すぐ挿れたい。いい?ごめんね、余裕がないみたいだ」
ぎょっとして体を硬くする。
こんなふうに切羽詰まった姿は見たことがなかった。
声も、少しだけ呼吸がうわずっている。
なんか、なんか、すごく、可愛い。
「お尻ほぐしてある、から、・・・いいよ」
「うん。さっき確認した。柔らかくて気持ちよくて、早くちんこ挿れたくなった」
「か、確認?」
「んっ。下のお口にもキスしたくって。いつも嫌がるからこっそりって思って・・・ごめん、このまま、いれるね。おれもうガチガチだから、少し苦しいかも」
「ローションつけないと、」
「確認したって言ったでしょ」
うつ伏せに寝たまま、両手を押さえられた。
大きくてゴツゴツした手が、おれの手首を掴み力を入れる。
大きく硬いペニスが秘部に押し当てられ、ゆっくりと押し当てられる。
いつもならトロトロに溶かされて和多流くんを迎え入れる準備をしているそこは、眠るようにすぼまっていた。
突然こじ開けるようにおしつけられ、驚いたように収縮する。
「ひ、い、ゔぅ~、!」
「痛くない?すっごい締まる・・・奥までいくね」
「ま゛っ、てぇ~・・・!ひ、はひっ、手、はな、」
「う、あぁっ・・・」
耳元で熱く吐息を吐かれ、クラクラした。
ズルズルとゆっくり挿入され、擦られて足が跳ねる。その時中がきつく締まり、大きく喘いだ。
「ぁあ゛ぅっ、」
「あぁっ、今の、やっば・・・!気持ちいい・・・今のすげー・・・もっとしてぇ・・・」
「や、や、っ!まって、あ、出ないで、抜かないで、」
「ここかな・・・っあ、ここだっ、」
「や゛ーっ!」
「うわ、見逃してた・・・!くそっ、もったいねぇっ、」
「うわぁ、あっ!あ!やだ、やだぁっ!」
反り返ったペニスで、何度もしつこく擦られた。
初めての場所だった。
まるで触れられるのを待っていたかのように、嬉しそうに快楽を受け入れている。
足が何度も跳ね、足を上げたまま痙攣した。
押さえつけられた手も体も快感の逃げ場が作れず、ずっと震えている。
「も、いやっ、いやっ、!そこやだぁー!」
「嘘つきっ。気持ちいいでしょ?ほら、言ってよ、」
「や、や、いやっ、いくっ、いやだ、奥ほしい、っ!奥、」
「だーめ。ここでいけたらね。あぁー、もう、涼くんすっげぇ・・・!気持ちいい、サイコー・・・!」
「ごめんなさ、ごめ、ゆるひて、もぉやだぁ・・・!」
「おれも、ごめんね?ほら、今までバックで、ちゃんとしたことなかったから・・・!気づくの、遅くて・・・!ほら、ここ、たくさん、しようねっ、」
腰が小刻みに押し当てられ、熱がこもっていく。
逃げたい。早く逃げたい。
そう思って手を振り解こうとしたけど、さらに強く押さえつけられた。
枕に顔を押し付けて、何度もしゃくりあげる。
今日のセックスは、和多流くんが獣のようだった。ちっとも優しくないし、顔も見られない。キスもしてないし、手も繋げない。
でも、なんでだろう。嫌だとは、思えない。
和多流くんの素直な感情がむき出しにされてぶつけられている感じがする。
本当はこんなセックスの方が好きなのかもしれない。
どうしよう、全然、嫌じゃない。
「涼くん、お仕置き」
「え?ひっ!?やぁあっ!」
いきなり奥を強く突かれた。
ズルッと引き抜かれ、また強く突かれる。
「今、ぼーっとしてたね?」
「してなっ!してないっ!ちが、好き!好きって思って、」
「本当かなぁ?」
「好き!好きなの!和多流くんが好きだから、あ゛~!そこだめーっ」
また先ほどのところを小刻みに突かれた。
ごりごりと肉が捲れ上がる感覚。
どうしよう、頭、おかしくなる。
全部気持ちいい。
「はひっひっ、しゅき、すきなの、すきだ、からぁ・・・!いくぅ~・・・!」
「ダメ」
「あ゛っ、」
ズルッと抜かれて、秘部がヒクヒクと動いている。
ぜーぜーと息を切らして目を閉じると、頬に髭が当たった。
ちゅ、ちゅ、と優しい音を立ててキスをされる。
「ほっぺ柔らかい」
「ふ、んっ、」
「ねぇ、嫌なのにいっちゃうの?いくのはいいの?」
「あ、や、意地悪、」
「嫌ならやめようかなって思ってさ」
「和多流くん、意地悪しないでよ・・・」
「意地悪かな?涼くんの方が意地悪じゃない?」
「え、」
「そんなに気持ちよさそうな顔して、やだ、なんて言ってさ」
「っ・・・」
「・・・あ、犯されてるみたいで嫌ってこと?」
少し心配そうに囁かれた。
犯されてる、という言葉に、なぜか全身が粟立って、ぶるっと震えた。
体が熱くなって、顔も、全部熱い。
掴まれた腕が疼く。
「あれ?・・・ふふっ。今、お尻がきゅってなったね」
「なってないっ、」
「じゃぁ、確かめようか」
ずぐ、と、挿入された。
待っていた刺激。
目の前がチカチカした。
「はっあ゛ぁんっ、」
「犯されて、気持ちいいんだ?」
「や、やぁっ!あ、そこっ!そこだめ!」
「寝バックって、いいねっ。浅いところも、ちゃんと気持ちよくできるし、ふふっ」
「んぁっ!あっ!」
「いっていいよ」
「も、むりっ、いく、いくっ、ゔあっ!あ、あぁっ・・・」
「なんてね、いかせないよ」
身体中に快感が広がろうとした時、ペニスが抜かれてしまった。
ガクンガクンと大きく体が跳ねる。
だらしなく涎を垂らして、枕を濡らしていた。
和多流くんは喉の奥で笑いながら手を離し体を起こすと、お尻を割って嬉しそうに笑った。
「ふふっ。ぱくぱくしてる。かっわいいなぁ・・・ローション足してあげるね」
ぼたぼたとお尻に垂らされて、激しく揉まれた。
大袈裟に反応する。
くすぐったくて、気持ちいい。
「ふぅっ、う、」
「ちんちん、柔らかいままだね」
「やだ・・・」
「ゴム変えるね。気になってたやつつけよーっと」
パチン、とゴムの弾ける音。
見えないけど、ワクワクしているのが分かる。
ぬるぬるとペニスが押しつけられて、つける間まで刺激を与えてくれる。もどかしくて、くすぐったくて、むずむずする。
うねる熱を収めようと深呼吸していると、手を握られた。今度は、指が絡まる。
手首は和多流くんの手の形に赤くなっていた。
背中に体が重なって、気持ちいい圧迫感がある。和多流くんの匂いがたくさんして、頭がふわふわした。
「あっ、」
「今までと少し違うよ。感じてね。たくさん・・・」
「なに、し、あ、あっ!あ゛!あ゛ぇ、あ、あぐっ、」
ローションがたっぷり絡んだペニスが入ってくる。
なにこれ、おかしい。
ザラザラ、ぽこぽこ、する。
「こ、これいやっ、」
「痛い?」
「ちが、いや、ダメ!無理これ!いっちゃう!」
「おっと。まだだよ」
ゆっくり引き抜かれてくびれが引っかかった。
欲しい、奥、欲しいっ・・・。
「わ、わたぅくんっ、ほしい、ほしいよぉ、」
「奥?浅いところ?」
「分かんないっ、わかんな、・・・!早く、したいよ・・・!」
「犯されたいってことかな?」
耳元で甘く囁かれた。
溶けそう・・・。
秘部が口を開けているのが分かる。
「粒のついたコンドーム、気に入った?奥にいれたらね、熱くなって、気持ちいいよ」
「んっくぅ、」
「可愛い・・・はぁ、可愛い・・・大好き・・・」
ちゅ、ちゅ、と頬に何度も口付けられて、ふやけていく。
少しだけ腰を上げて擦り付けると、喉の奥で笑う音がした。
「可愛いね・・・大好き・・・犯してあげるね」
「ひぁあ゛!あ゛ー!あ゛ぁー!」
一気に奥まで貫かれた。
待ち侘びた快楽。
気持ちいい。
バチっと弾けて、毛穴が開いて汗が噴き出す。
「あぁあぁんっ!いった!いっちゃったぁ!出ちゃう、出ちゃうよぉ!」
「あ゛ー、・・・足、あ、っ、やべぇっ・・・!足上げてて、・・・!締まるよ・・・!」
「もぉ無理、!いってる!いってる!ふぎっ、い゛ぃっ!」
腰を一突きされるごとに、いっている。
体と手が離れ、腰を支えられぐんっと持ち上げられた。
ガクガクと震える膝で必死に支える。
「ひ、やぁっ・・・!おぁあっ!あ゛っ!」
パンっと肉のぶつかる音。
必死に枕にしがみついてお尻を振る。気持ち良すぎて、制御できない。
「あー!もう、涼くん可愛すぎるよっ!だめ、本気出すからねっ」
「好き、好きぃ・・・!あ゛!あ゛ゔんっ!出ちゃう、全部でぅ、でぅう・・・!」
シーツが濡れたのを膝で感じた。
濡れた布に落ちる水音が鈍く響いた。
ペニスがびくん、びくんと大きく跳ねて痛くなった。
「すっげ、潮吹いて、射精してる・・・!はっ、やばっ、いきそうっ!」
「やだ!いかないで!」
「えぇっ!?ど、どうしたの?」
動きが止まり、顔を覗き込まれる。ぜーぜーと息を切らしながら見つめ合う。
「い、い、・・・いったら、終わっちゃう・・・!」
「・・・は?それ、本気で言ってるの?」
「だって、終わるの、やだ、」
「終わるわけ、ないでしょ?終わらせないよ。ねぇ、忘れた?」
腰が押しつけられた。また、いった。
気持ちいい。
「おれ、絶倫だよ。寝かせないからね」
「・・・うんっ、犯して・・・」
ふにゃりと、笑ってしまった。
気持ちよくて、幸せで、もっともっと繋がっていたかったから。
腰を揺らすと思い切り腰を叩きつけられた。
和多流くんに支配されて、長いようで短い夜が過ぎていった。


******************


「あの、ごめんね」
「・・・ん」
「大丈夫?」
「うん・・・」
ベッドの中でうとうとしながら返事をする。
結局空が明るくなるまで抱き潰されて、気絶するように眠りについた。起きたのは昼も過ぎたいい時間。外は暑そうだった。
「ごめんね、休みだからって調子乗っちゃって・・・」
「・・・ん」
「聞かないでいきなりバックでするとか、強引過ぎたよね。ごめんね」
「んー・・・」
「苦しくなかった?おれ体重かけちゃってたし、」
「もぉっ。気持ちよかったし楽しかったし興奮したよ!謝らないでよ!」
顔から火が出るほど恥ずかしかった。
頭まで布団をかぶると、そっと外された。
「よかったー・・・。へへ、嬉しい」
もそもそと手が入ってきて、尾てい骨あたりをとん、と指先で叩かれた。
「ここ、覚えたからね」
「・・・エッチ」
「ちょっともー、なにそれー。可愛すぎるんですが?」
「和多流くんだって言うじゃん」
「涼くんに言われると萌えます」
するりとベッドに登ってくると、そっと抱きしめられた。
腰を緩く撫で、ニヤニヤ笑う。
「可愛かったなぁー。すっごくやらしかった」
「・・・手の跡ついちゃった」
「ご、ごめん・・・興奮して、つい・・・」
「・・・あのコンドーム、何?」
「粒々のついたやつ、気持ちいいかなーって思って・・・嫌だった?」
「・・・んと、よ、よかった、」
は、恥ずかしい・・・!
でも、和多流くんは嬉しそう。
何でいつもこんなに嬉しそうなんだろうって思うけど、多分、これはどうかな、こっちは?って考えながらしてるからだろうな。
その、おれのために・・・。
自惚かもしれないけど。
おれが、あっちにしようかこっちにしようか、ご飯を作るときにより美味しいものを作りたいと思うのと同じかも。
「また使おうね」
「でも、あれ、多分最初から使ったら痛そう・・・」
「大丈夫だよ。ぐずぐずのトロトロにしてから使うから。腰、痙攣しててお尻がピクピク揺れてて可愛かったな。中もキューキュー締まるし。腰突き出してくれるからしっかりお口も見れたし。ずーっとぱくぱくしてて、おれがいれると嬉しそうなんだよ。可愛いよねぇ」
「喋りすぎだよ!もぉ!」
「久々にがっついちゃって・・・感情が暴走してる」
「・・・いつも手、抜いてたんだ」
「本当にそう思ってる?」
足を持ち上げられ、いきなり指を入れられた。
散々した後なので、まだまだ柔らかで、とろけている。
前立腺をとんとんとノックされた。
「ひんっ、んっ、あ、ごめ、」
「普段はね、涼くんを溶かすのに必死なんだよ」
「や、や、!ごめんなさい、怒らないでっ、」
「自分のことなんておざなりになるでしょ。涼くんが目の前にいるんだから」
「あっ、あっ!」
「いきたい?」
「ん、ゔっ、!す、寸止めは、やだぁ・・・!」
「本当は好きだよね?いじめられるの」
指が抜かれた。つい腰が追いかける。
あれ?おれ、おかしい。いつもならこんなことされたら、文句言ったり拗ねたりするのに、今日は、なんか・・・。
「す、好き・・・。和多流くんに、意地悪されるの、好き、」
「じゃ、後3回くらい我慢できる?」
「する・・・します、できる・・・」
「我慢できたらね、ご褒美あげるから」
手を伸ばして、コンドームを取る。おれの口にそっと咥えさせると、鼻先にキスをされた。
「それ落としたらお仕置きだよ。落とさないでね」
「ん、んっ」
「腰痛いだろうから、前からしようね」
また指が入ってくる。
コンドームを落とさないように声を殺した。
今日、変。
和多流くんの言うことに従いたくなる。
全部支配されたくなる。
もうできないと思っていたのに、まだ、したい。
お仕置きって、何をされるんだろう。
じゅんっと胸が熱くなった。
腰が疼く。
そっと口を開いてコンドームを落とすと、和多流くんは口の端をあげた。
「あーあ。お仕置きだ」
「・・・和多流く、ふんっ、ん、」
唇を塞がれた。
気持ちいい。
首に腕を回して引き寄せると、指が滑り込んできた。
「涼くん、今日はもうベッドから降りられないよ」
興奮したように笑うから、胸が苦しくなって体が震えた。
全部、気持ちいい。
早くしたい。してほしい。ずっとしていたい。
言葉にする前に、喘ぎ声に変わった。もう何も、言葉なんか出てこなかった。



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