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第五章 アトルの街編

第十二話 妹よ、俺は今アトルの街を散策しています。

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「ファイアーボール」

「熱ちっ、馬鹿、いきなり無詠唱魔法を放つな!」

 現在朝稽古中。昨晩約束したマジックアイテムの試運転がてらマーカスと立ち合いをするオスカーだったが、どうしてもマジックアイテムの効果を試したかったのか、いきなり魔法を発動した。マーカスなら躱してくれると信頼のもと放ったのだろう。

「わるい、わるい。つい、試してみたくなって」

「なにが、ついだ。お前、狙っていただろう。剣だけの勝負と言っただろうが!」

 オスカーに渡したのは短剣。勿論、ただの短剣ではない。

「もう一丁頼む。もう魔法は使わないから」

「嘘つけ!水属性の魔法も試したくて、うずうずしているくせに」

「チッ、バレたか・・・」

 学生時代のオスカーは学内でマーカスに次ぐ剣の使い手だった。とはいえ、二人には圧倒的な才能の差があり、オスカーもそれに気付いていた。すでに限界が見えているのに剣の道を目指す程オスカーは愚かではない。オスカーにとって剣とはあくまで学業の一環、他の生徒よりは優秀だが才能を持った本物には到底及ばない。若くしてマーカスという本物に出会ったオスカーは剣の道を目指すことなく、貴族として自分の身を守れるレベルで剣の修練を終えた。

「どうだ、その短剣の具合は?」

「もの凄く扱いやすいです。長年使っていたと錯覚するほどしっくりきます」

「だろ、オスカーの体格を考慮して作ったからな」

「ありがとうございます」

 人生に無駄など無い。剣の道には進まなかったオスカーだが、魔法職となった今剣を学んだことが生きる。マーカス曰く、今現在はC級冒険者レベルの剣技だが、使えるのと使えないのでは雲泥の差だ。オスカーは魔法職でありながら、いざとなれば剣でも戦うことができる。

「マーカス。戦ってみてどうだった?」

「いやぁ、恐ろしい剣ですよ、これは。しかも、オスカーが使うことでその恐ろしさは何倍にも増します。効果を知っていても躱すのがやっとでした」

 剣も使えるからといって、それをわざわざ相手に教えてやる必要は無い。所詮はC級冒険者レベル。魔法職が剣も使うのは厄介だが、わかっていれば対策はいくらでもできる。マーカスのように圧倒的な剣の実力があれば、魔法も使えることを見せて敵に警戒させることでより剣を有利に使えるが、オスカーの場合は相手に剣も使えることを隠し、奥の手としておく方が効果的だ。

「それにしても、先生。火属性の魔法とは気持ちのいいものですね」

「そうだろ。折角魔法が使えるのなら一度は撃ってみたいよな、ファイアーボール」

 奥の手はいくつあってもいい。あればあるほど戦況を覆すこともできるし、心に余裕も生まれる。俺がオスカーの為に作った短剣は、剣自体が奥の手であるオスカーにさらなる隠し玉を付与してある。オスカーが持っていない火属性と水属性の魔法だ。

「魔法職としてオスカーの名が知られれば、土属性と風属性の使い手だということも知れ渡る。当然、相手も対策を練ってくる。そこで、火属性と水属性だ。土属性と風属性しか対策を取っていない相手にこれは効く。オスカー、お前、そういうの好きだろ」

「はい、大好物です。魔法職だと思っていた相手が剣を使うことで泡を食っているところに、さらに追い打ちをかける。私にピッタリの戦略です」

「それを仲間の私で試すな!」

 マーカスが怒るのも無理はないが、オスカーがマーカス相手に試したい気持ちもわかる。マーカス程の使い手が剣の効果も知ってこの怒りようなのだ。並の相手なら対処のしようがないだろう。

「まあ、そう怒るな、マーカス。魔法の効果を抜きにしてもなかなかの剣だろ。お前が「剣聖」をカンストした暁には、その短剣を作った俺が、お前に最高の剣を作ってやるから」

「はい!必ずや「剣聖」をレベル10まで上げてみせます」

「お前ならできる。その為にも、もう少しオスカーに付きあってやれ」

「はい!オスカー、もう一度だ」

「おう!」

 生き生きと剣を打ち合う二人。マーカスが俺の魔法を使えるようになれば、今度は立場が入れ替わってオスカーが稽古に付き合うことになるだろう。互いを高め合える相手に恵まれたことは二人の成長を早めるに違いない。

 さて、そろそろミルを迎えに行きますかね。


 ♢ ♢ ♢


「おはよー、トキオ先生!」

 リッカ教会を訪れると、既に準備を整えていたミルが挨拶とともにダイブしてくる。慌てて受け止め、頭をナデナデ。普段は比較的大人しいミルも旅行先でテンションが上がっているのだろう。

「おはようございます。トキオ様」

「おはようございます。デラクール神父、シスターニモ」

 ミルと一緒に俺を待っていてくれた二人とも挨拶を交わす。少し俺に慣れたのか、昨日ほどは緊張していない様子だ。

「シスターパトリは?」

「まだ就寝中だと思います・・・」

 何も悪いことはしていないのに申し訳なさそうに話すシスターニモ。まったく、あのズボラシスターは・・・まあ、セラ教会に来てから今日まで、ほとんど休むことなく働き詰めだったのだろうし大目に見るか。誰にだって休息は必要だ。

「そうですか。お二方にはご迷惑をお掛けしますが、成人してから働き詰めだったシスターパトリです。ここに居る間だけでも自由にさせてあげてください」

「はい。私共も、折角アトルまで来ていただいたのですから、十分に満喫していただければと思っております」

 二人が理解ある人達で良かったよ。

 この場に居ないシスターパトリは放っておいて、出発前に今晩の予定を決めておく。デラクール神父が経営していた店舗の場所を聞き、現地集合とした。

「夜に店舗の移築をしますので夕食後、そうですね・・・十九時迄にお越しください」

「はい、よろしくお願いします。それまではトキオ様もアトルの街を楽しんでください」

「ええ。それじゃあ、行ってきます」

「お気をつけて」




 朝早くから街は活気に溢れていた。武闘大会が近いので観光客が多いようだ。

「トキオ先生、どこから行くの?」

「まずは朝ごはんだ。屋台に行こう」

「うん!」

 マーカスからある程度街の情報は聞いているので早速屋台が並ぶエリアへ。折角他の街へ来たのだから普段食べられないものがいいけれど、何があるかな。

「おっ、たこ焼きだ。ミル、あれ食べよう」

 流石は上質な小麦の産地。日本人なら粉物といえば、やっぱりたこ焼きとお好み焼きだ。

「たこ焼き?」

「そう、たこ焼き。知らない?」

「うん。たこを焼くの?たこって何?」

 そうか・・・蛸を知らないのか。そもそも、この世界に蛸って居るのか?よく見ると屋台に蛸の絵も描いてないし・・・これは・・・たこ焼きじゃないな。でも、先の尖った棒を使ってくぼんだ鉄板をコロコロと転がしながら焼く作り方やソースの香りはたこ焼きそのものだ。わかったぞ、蛸の代わりに他の物が入っているパターンだな。

「兎に角、食べてみよう。折角他の街に来たのだから、知らないものを食べてみるのも面白いじゃないか。これも実験だ」

「うん。食べる!」

 一皿注文して作っているところを見学する。水で溶いた小麦粉をくぼんだ鉄板に流し具を投入。具は海老や貝などピザの具材を使っているようだ。何が入っているかは食べてからのお楽しみといった感じ。器用に二本の棒で仕上げる姿がミルには新鮮なようで「うぉー」と声をあげている。最後にソースと鰹節っぽい物をかけて出来上がり。青のりは無いもよう。皿を受け取り、二人でベンチに腰掛ける。

「ミル、これには食べ方があるんだ。最初は俺が食べるから見ていてね」

 いきなり口の中に放り込んでは火傷してしまう。ホフホフして口の中を火傷しない食べ方をミルに見せながら一つ食べる。

「美味い。ミル、これは美味いぞ!」

「わたしも食べる!」

 俺のまねをしてホフホフしながらたこ焼きもどきを頬張るミル。子供が食べ物を頬張る姿って癒されるよねー。

「おいしいー」

「何が入っていた?」

「海老!トキオ先生は?」

「俺のは・・・イカかな?」

「えー、どうしてわからないの?」

「なんでだろ?食べちゃったからわかんないや」

「フフフッ、変なのー」

 こんな感じで楽しみながら美味しく頂きました。ちなみにこの料理、正式名は海鮮玉と言うらしい。悪くないネーミングだ。でも、どうしてイカはあるのに蛸は無いのだろう。この世界には居ないのかな。海の魔獣でクラーケンとか居そうだけど。そういえば前世でも外国の人はあまり蛸を食べないって聞いたことがあるし、食文化の違いか。ふむ、なかなか興味深い。


 朝食後は街を散策。面白そうな店があればどんどん入っていくつもり。玩具屋があったので早速突入してみる。商品はトロンの玩具屋とそれ程変わらないが気になるコーナーが。知的玩具と書かれたそのコーナーには見覚えのある玩具が並んでいた。
 まずはブロック。これはいい商品だ、買っていこう。次は金属製の知恵の輪。迷うなぁ・・・ミルが直ぐに解いてしまいそうなのでやめておこう。次に積み木やジェンガ。これも悪くはないがお金を出してまで買うほどではない。お次は、んっ、これは何だ?間抜けな貴族っぽい絵柄だが・・・福笑いか。前世と絵柄が違うからわからなかった。ってか、福笑いって知的玩具なの?
 うわぁっ、トランプまである。この世界にもカードゲームくらいあるのは不思議じゃないが、絵柄が俺の知っているトランプと同じだ。上田誠(仮)の匂いがプンプンする。

「トキオ先生。あれ、見て!」

「あっ!」

 ミルが指さす先にはキューブパズル。ちくしょう、密かに商品化を狙っていたのに。また上田誠(仮)に先を越された。ミルが商品棚に手を伸ばす。持っている物が売っていると、買わないのに手に取ってしまうのは人間の性だな。

「トキオ先生。これ、変だよ」

「んっ、どこが?」

 ミルが手にしていたキューブパズルを受け取ると明らかな違和感が。このキューブパズル・・・動かない。なんだ、これ?

 二人で謎の立方体の遊び方を考えていると店主らしき男が近付いてきた。

「お客さん、そいつはキューブパズルと言うんだよ」

 いや、違うだろ。

「でも、これ動かせないよ」

「おっ、お嬢ちゃん、よく知っているね。それは昔の発明家が考えた物らしいんだが、もとは動かして色を揃えるパズルだったんだ」

 昔の発明家、やはり上田誠(仮)だ。

「どうして今は動かせないのですか?」

「元に戻せないからだよ」

 動かせなきゃ面白くも何ともないだろ!そもそも、ただの立方体がどうして商品になっているんだ。誰が買うよ?

「一度バラバラにすると元に戻せないと苦情が多発したんだ。でも、その九分割で色の揃った六面体が妙に受けてねぇ。何とも言えない知的っぽさがあるだろ。デスクや本棚に飾っておくと映えるからって、今も人気があるんだ」

 わからん!あれか、使いもしないのにデスクの上に置いてある地球儀的なことか?いや、地球儀はたまに使うこともあるだろうが、こいつは完全にオブジェだ。別の世界から来た俺は知的さの欠片も感じないぞ。

 ミルも理解できないといった表情で偽キューブパズルを商品棚に戻した。そりゃそうだろう。ミルは簡単にキューブパズルを揃えられるのだから。

 結局、ブロックとトランプだけ買って支払いを済ませる。ちなみに、ブロックは銀貨五枚と納得の価格だったが、トランプは金貨二枚と高額だった。

「お兄さん頭良さそうだけど、キューブパズルはよかったのかい?」

「・・・ええ」

 本当にそれでいいのか、異世界人!

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