3 / 28
プロローグ
プロローグ2 この転生者候補、なんだかムカつきません?
しおりを挟む
オウルから愚痴……もとい説明を受けて一ヶ月。
あれから天界は大忙しだった。
久々に大きな部署を新設するということで、神も天使も残業に残業を重ねて立ち上げ作業を進めていた。
しかも度々ふらっと視察に来る役員達が、その場の思い付きで新しく注文を付けて帰って行くのだ。
現場の神と天使は、何度堕天しかけたことだろうか……。
そして今日、日本支部はようやく初めての転生者候補を受け入れることになった。
「ついに、今日が異世界転生部日本支部長としての初面談ね……短くも長い……地獄のような一ヶ月だったわ。でも、ようやくこれで少しは皆に追い付けるかしら……」
ヒヨコはデスクに置かれた集合写真を見る。
天界学校の卒業式に撮ったもので、そこには同期達と笑顔で写るヒヨコがいた。
ヒヨコは、ふふ。と笑うと、いつもの調子に戻る。
元来、ヒヨコは元気が取り得な性格で親しまれていた。
こうして感傷に浸っている姿は滅多に見られないのだ。
「それにしても、早く転生者のドラマが見たいからって、異世界転生部の立ち上げを一ヶ月でやれだなんて滅茶苦茶言うわよね~。まぁ、立ち上げの時に大量にポストが新設されたお陰で昇進できたから、残業はキツくても私にはすっごくラッキーだったんだけど! さーてさて、初めての候補者さんはどんな子かしら?」
天使達が用意した履歴書を手に取る。
「なるほど、女子高生かー! 高校3年生で、家柄、人望、良し。文武両道……顔も良し。なかなかやるわね」
まぁ、ここまではたまにいるわよね~転生者候補に選ばれるくらいだし~。と負け惜しみのように自分を納得させながら読み進める。
「死因は……あらまぁ、ナイフで刺されちゃったの! これは嫉妬とかかしらね~」
ペラペラとページをめくっていく。
「ん? 何これ。受験ストレスで発狂したクラスメイトから、推薦で大学合格した他のクラスメイトを庇って刺された……両者との関係は元々良好で、刺された後も恨み言を言わずに息を引き取る……」
ヒヨコは、うへっという顔をした。
「あー何これ何これ、ヒーロー願望? むーりー! 私、そういうのむりー! しかも最期の言葉は……」
『そんなに苦しんでいたのに、気付けなくてゴメンな』
『私に庇われたとか、そういった事は気にしなくて良いよ。好きでやった事さ』
ヒヨコは履歴書をぶんっと投げる。
「な・ん・で! 二人共フォローしてんのよ! イケメンか! お前、これで死んだんだぞ! 花のJKこれで良いのか! ウザッ!」
バタバタと両手を振り回し、ヒヨコは叫んだ。
「あーもう、最初がこれとか逆の意味で難易度高過ぎでしょ! 私女神なのに! 私より女神すんな! これなら根暗童貞ヒキニートの方がマシだったわ!」
ここ最近、残業続きで気が立っていたのかもしれない。
ヒヨコはちょっとした嫉妬から、面白半分で嫌がらせを決意した。
ふぅ。と息をつくと、ヒヨコは悪い顔をする。
「まぁ~要するに? 役員のジジイ共も面白い展開に期待しているようですし? よその地区の担当者みたいに、ただのチート冒険者に仕立て上げてもつまんないわよね~。そこで、私ったら天才! 神! この完璧美少女にクッソ微妙なハズレスキル授けて、異世界でどこまでやれるかチャレンジして貰うって企画やりましょ! そうしましょ! 決定~」
別に、この子に嫉妬したとかじゃないのよ~。いかに認可ギリギリの凄いチートスキルを授けるかで出世競争してる同期達とのインフレバトルから降りて、アイディア路線で上司にアピールするだけなんだから~と自分に言い聞かせるように言い訳を5分程喋ってから、ヒヨコはまた、悪い顔をした。
「さてさて、どんなハズレスキルが面白いかしら」
あれから天界は大忙しだった。
久々に大きな部署を新設するということで、神も天使も残業に残業を重ねて立ち上げ作業を進めていた。
しかも度々ふらっと視察に来る役員達が、その場の思い付きで新しく注文を付けて帰って行くのだ。
現場の神と天使は、何度堕天しかけたことだろうか……。
そして今日、日本支部はようやく初めての転生者候補を受け入れることになった。
「ついに、今日が異世界転生部日本支部長としての初面談ね……短くも長い……地獄のような一ヶ月だったわ。でも、ようやくこれで少しは皆に追い付けるかしら……」
ヒヨコはデスクに置かれた集合写真を見る。
天界学校の卒業式に撮ったもので、そこには同期達と笑顔で写るヒヨコがいた。
ヒヨコは、ふふ。と笑うと、いつもの調子に戻る。
元来、ヒヨコは元気が取り得な性格で親しまれていた。
こうして感傷に浸っている姿は滅多に見られないのだ。
「それにしても、早く転生者のドラマが見たいからって、異世界転生部の立ち上げを一ヶ月でやれだなんて滅茶苦茶言うわよね~。まぁ、立ち上げの時に大量にポストが新設されたお陰で昇進できたから、残業はキツくても私にはすっごくラッキーだったんだけど! さーてさて、初めての候補者さんはどんな子かしら?」
天使達が用意した履歴書を手に取る。
「なるほど、女子高生かー! 高校3年生で、家柄、人望、良し。文武両道……顔も良し。なかなかやるわね」
まぁ、ここまではたまにいるわよね~転生者候補に選ばれるくらいだし~。と負け惜しみのように自分を納得させながら読み進める。
「死因は……あらまぁ、ナイフで刺されちゃったの! これは嫉妬とかかしらね~」
ペラペラとページをめくっていく。
「ん? 何これ。受験ストレスで発狂したクラスメイトから、推薦で大学合格した他のクラスメイトを庇って刺された……両者との関係は元々良好で、刺された後も恨み言を言わずに息を引き取る……」
ヒヨコは、うへっという顔をした。
「あー何これ何これ、ヒーロー願望? むーりー! 私、そういうのむりー! しかも最期の言葉は……」
『そんなに苦しんでいたのに、気付けなくてゴメンな』
『私に庇われたとか、そういった事は気にしなくて良いよ。好きでやった事さ』
ヒヨコは履歴書をぶんっと投げる。
「な・ん・で! 二人共フォローしてんのよ! イケメンか! お前、これで死んだんだぞ! 花のJKこれで良いのか! ウザッ!」
バタバタと両手を振り回し、ヒヨコは叫んだ。
「あーもう、最初がこれとか逆の意味で難易度高過ぎでしょ! 私女神なのに! 私より女神すんな! これなら根暗童貞ヒキニートの方がマシだったわ!」
ここ最近、残業続きで気が立っていたのかもしれない。
ヒヨコはちょっとした嫉妬から、面白半分で嫌がらせを決意した。
ふぅ。と息をつくと、ヒヨコは悪い顔をする。
「まぁ~要するに? 役員のジジイ共も面白い展開に期待しているようですし? よその地区の担当者みたいに、ただのチート冒険者に仕立て上げてもつまんないわよね~。そこで、私ったら天才! 神! この完璧美少女にクッソ微妙なハズレスキル授けて、異世界でどこまでやれるかチャレンジして貰うって企画やりましょ! そうしましょ! 決定~」
別に、この子に嫉妬したとかじゃないのよ~。いかに認可ギリギリの凄いチートスキルを授けるかで出世競争してる同期達とのインフレバトルから降りて、アイディア路線で上司にアピールするだけなんだから~と自分に言い聞かせるように言い訳を5分程喋ってから、ヒヨコはまた、悪い顔をした。
「さてさて、どんなハズレスキルが面白いかしら」
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
半身転生
片山瑛二朗
ファンタジー
忘れたい過去、ありますか。やり直したい過去、ありますか。
元高校球児の大学一年生、千葉新(ちばあらた)は通り魔に刺され意識を失った。
気が付くと何もない真っ白な空間にいた新は隣にもう1人、自分自身がいることに理解が追い付かないまま神を自称する女に問われる。
「どちらが元の世界に残り、どちらが異世界に転生しますか」
実質的に帰還不可能となった剣と魔術の異世界で、青年は何を思い、何を成すのか。
消し去りたい過去と向き合い、その上で彼はもう一度立ち上がることが出来るのか。
異世界人アラタ・チバは生きる、ただがむしゃらに、精一杯。
少なくとも始めのうちは主人公は強くないです。
強くなれる素養はありますが強くなるかどうかは別問題、無双が見たい人は主人公が強くなることを信じてその過程をお楽しみください、保証はしかねますが。
異世界は日本と比較して厳しい環境です。
日常的に人が死ぬことはありませんがそれに近いことはままありますし日本に比べればどうしても命の危険は大きいです。
主人公死亡で主人公交代! なんてこともあり得るかもしれません。
つまり主人公だから最強! 主人公だから死なない! そう言ったことは保証できません。
最初の主人公は普通の青年です。
大した学もなければ異世界で役立つ知識があるわけではありません。
神を自称する女に異世界に飛ばされますがすべてを無に帰すチートをもらえるわけではないです。
もしかしたらチートを手にすることなく物語を終える、そんな結末もあるかもです。
ここまで何も確定的なことを言っていませんが最後に、この物語は必ず「完結」します。
長くなるかもしれませんし大して話数は多くならないかもしれません。
ただ必ず完結しますので安心してお読みください。
ブックマーク、評価、感想などいつでもお待ちしています。
この小説は同じ題名、作者名で「小説家になろう」、「カクヨム」様にも掲載しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~
神城弥生
ファンタジー
なろう小説サイトにて「HJ文庫2018」一次審査突破しました!!
皆様のおかげでなろうサイトで120万pv達成しました!
ありがとうございます!
VRMMOを造った山下グループの最高傑作「Another Of Life Game」。
山下哲二が、死ぬ間際に完成させたこのゲームに込めた思いとは・・・?
それでは皆様、AOLの世界をお楽しみ下さい!
毎週土曜日更新(偶に休み)
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ノアズアーク 〜転生してもスーパーハードモードな俺の人生〜
こんくり
ファンタジー
27歳にして、今ゆっくりと死に向かう男がいる。
彼の人生は実にスーパーハードモードだった。
両親は早くに他界し、孤児院でイジメられ、やっと出れたと思えば余命宣告をされた。
彼は死に際に願う。
「来世は最強の魔法使いとか世界を救う勇者とかになりたいものだ。あ、あとハーレムも追加で。」と。
力尽きた彼が目を覚ますと、子供の体に転生していた。
転生は成功した。
しかし、願いは1つも叶わない。
魔術?厄災?ノア?
訳の分からないことばかりだ。
彼の2度目のスーパーハードモードな人生が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる