上 下
11 / 25

閑話① side アレクサンドラ

しおりを挟む
 私は生まれた時から勝ち組だった。親は公国の君主であり、私はこの世で一番美しく生まれ女神のように育った。まさに私は選ばれし者であった。両親にとって初めての子供であった私は甘やかされた。私はいくらお金が掛かろうとニコニコと許してくれたのだ。さらに周りの者も次期女王であった私にへつらった。それもあってか私は少しわがまま子供であったと思う。しかし、私が何をしても許される存在であると7歳のときに自覚した。私は召使いを数人侍らせて、自分に似合う宝石を探して宝物庫にいるときのことだった。私は誤って我が家に代々伝わる鏡を割ってしてしまったのだ。さすがの私も怒られると思った。私は生まれてこの方怒られたことがなかっので、怒られることを恐れて、慌てて嘘をついた。そう全てを側にいた召使いのせいにしたのだ。お父様は私の嘘を全てを信じてくれたのだ。当時の幼い私の拙い嘘であったにも関わらずだ。その後、その召し使いたちは処刑された。少し罪悪感があったが、それよりも私は全能感に酔いしれていた。私は全てを許される存在であると。
  
  それから私はひたすら好き放題した。まず、私はお城の色が灰色であることが気に入らず、白に塗り替えさせた。私は当時白亜に住むお姫様に憧れたのだ。それでお父様に頼むと快く引き受けてくれた。また、ある時読んだ本に出てきたバラで出来た迷路が私も欲しくなってお城の庭園を潰してそれを造らせたのだ。さらに私は同じドレスを着るのが嫌で、毎日違うドレスが着れるように用意させた。10歳の時にお母様が亡くなったことを除けば、私の人生は楽しいことの連続だった。全て私の思うままだ。まさに我が世の春だった。
 
  しかし、私が15歳のとき公国で大不作が起きたのだ。それのせいで、ゴーティエ家の財政も火の車状態になったのだ。お父様はより多くの税をとるために税を上げたが、私が以前のように豪遊するには足りなかったようだ。私はドレスや宝石を満足できるほど買えなくなった。そこで賢い私は、男に貢がせることにしたのだ。元々私は社交界では至高の華と呼ばれていおり、求婚も沢山されていたのだ。どの男たちも私にメロメロだった。だから、私はその男たちを利用することにしたのだ。

 男たちはチョロかった。少し色目を使って強請ねだればなんでもプレゼントしてくれた。そして男たちは競うように私に貢ぐことに熱狂し出したのだ。それこそ上級貴族の子息から大商人の息子まで様々な者が私を求めたのだ。そんな男たちを侍らして過ごす日々はとても心地よいものであった。しかし、そんな世界はいきなり壊れ始めたのだ。そう、民主主義者どもが我が国に溢れ出したのだ。
 
 ある日、いつも通り過ごしていた私の下にいきなりお父様が訪れたのだ。お父様はとても慌てているようで、私を急かした。理由も分からずお父様についていったのだ。すると外から発砲音や人の怒鳴り声が聞こえた。外を見ると庶民たちが武器を持ち城に集まっていたのだ。私たちは八方塞がり状態だった。そんなとき近くにいた兵士に秘密通路を通り帝国に逃げるように促された。私たちはそれに従い何も持たず公国から逃げ帝国を目指した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】夫もメイドも嘘ばかり

横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。 サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。 そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。 夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。

愛する婚約者の君へ。

水垣するめ
恋愛
 私エレナ・スコット男爵令嬢には婚約者がいる。  名前はレイ・ライランス。この国の騎士団長の息子で、次期騎士団長だ。  金髪を後ろで一束にまとめていて、表情と物腰は柔らかく、とても武人には見えないような端正な顔立ちをしている。  彼は今、戦場にいる。  国の最北端で、恐ろしい魔物と戦っているのだ。  魔物との戦いは長い年月に及び、この国の兵士は二年、最北端で魔物と戦う義務がある。  レイは今、その義務を果たしているところだ。  婚約者としては心配なことこの上ないが、次期騎士団長ということもあり、比較的安全な後方に置かれているらしい。  そんな私の愛する婚約者からは、毎日手紙が届く。

家出した伯爵令嬢【完結済】

弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。 番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています 6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております

好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?

殿下が真実の愛に目覚めたと一方的に婚約破棄を告げらて2年後、「なぜ謝りに来ない!?」と怒鳴られました

冬月光輝
恋愛
「なぜ2年もの間、僕のもとに謝りに来なかった!?」 傷心から立ち直り、新たな人生をスタートしようと立ち上がった私に彼はそう告げました。 2年前に一方的に好きな人が出来たと婚約破棄をしてきたのは殿下の方ではないですか。 それをやんわり伝えても彼は引きません。 婚約破棄しても、心が繋がっていたら婚約者同士のはずだとか、本当は愛していたとか、君に構って欲しかったから浮気したとか、今さら面倒なことを仰せになられても困ります。 私は既に新しい縁談を前向きに考えているのですから。

私のことが大嫌いらしい婚約者に婚約破棄を告げてみた結果。

夢風 月
恋愛
 カルディア王国公爵家令嬢シャルロットには7歳の時から婚約者がいたが、何故かその相手である第二王子から酷く嫌われていた。  顔を合わせれば睨まれ、嫌味を言われ、周囲の貴族達からは哀れみの目を向けられる日々。  我慢の限界を迎えたシャルロットは、両親と国王を脅……説得して、自分たちの婚約を解消させた。  そしてパーティーにて、いつものように冷たい態度をとる婚約者にこう言い放つ。 「私と殿下の婚約は解消されました。今までありがとうございました!」  そうして笑顔でパーティー会場を後にしたシャルロットだったが……次の日から何故か婚約を解消したはずのキースが家に押しかけてくるようになった。 「なんで今更元婚約者の私に会いに来るんですか!?」 「……好きだからだ」 「……はい?」  いろんな意味でたくましい公爵令嬢と、不器用すぎる王子との恋物語──。 ※タグをよくご確認ください※

【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!

はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。 伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。 しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。 当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。 ……本当に好きな人を、諦めてまで。 幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。 そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。 このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。 夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。 愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。

1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。

尾道小町
恋愛
登場人物紹介 ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢  17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。 ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。 シェーン・ロングベルク公爵 25歳 結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。 ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳 優秀でシェーンに、こき使われている。 コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳 ヴィヴィアンの幼馴染み。 アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳 シェーンの元婚約者。 ルーク・ダルシュール侯爵25歳 嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。 ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。 ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。 この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。 ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。 ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳 私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。 一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。 正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?

処理中です...