5 / 8
ミロス公爵の日記
統一歴14年7月26日 2ページ目
しおりを挟むさて、君との婚約破棄後私とアリスはどうなったか話そう。君は興味がないかもしれないが、私がどのような愚かな結末を辿ったか知ってほしい。そして、嗤って貰えると嬉しい。
私とアリスはあのあとすぐに結婚することになった。私の両親が悪い噂を無理やり慶事で打ち消そうという打算でそういう運びにした。
私はそのとき、幸せの真っ只中であった。アリスも嬉しそうにしていし、これからどれだけ幸せな生活が待ち受けているのかと私は思いを馳せた。
しかし、すぐにこの幻想は打ち砕かれることになる。アリスは、私と結婚してすぐに浮気をし出したのだ。信じられないことに他の上級貴族を引っ掛けていつも侍らせていた。私はアリスに止めるように言ったが「私は逆ハー狙いなの!!」とか言う意味のわからないことを言い出した。今になってもその言葉の意味が理解できない。
私はもちろん怒り狂った。しかし、アリスは口を出さないでの一点張りであった。そう、何も変わらなかったのである。次第に私とアリスの仲は冷めていった。自分で手に入れたはずの幸せは虚構のものだったのだ。私もアリスに対する想いは薄れていった。
それで、ある事件が起こったのだ。アリスは隣国の皇太子殿下にまでちょっかいを出してしまったのだ。最初は、他国の公爵夫人ということもあってか皇太子殿下もアリスを苦笑いで済ましてくださっていたらしい。しかし、アリスはあろうことか皇太妃を悪く言ったのだ。皇太子殿下は途轍も無くお怒りになった。その皇太子はとても愛妻家な方であったのだ。あわや戦争一歩手前まで、事態は大きくなった。私はその場に居なかったが、アリスの取り巻きも手を貸したらしい。この件で私は両親と王室からお叱りを受けた。どのように落とし前をつけるのかと……。
私は、アリスと離婚することと公爵の持つ鉱山と一部の領地を売ったお金で隣国への賠償に充てることを約束し、なんとか隣国の皇室からお許しを得ることができた。この件で私の母は心労で倒れてしまった。その後亡くなった。父もその後病気を拗らせて亡くなった。両親には、本当に親不孝もので申し訳ないと思う。
それから私は全ての気力を失い、領地に篭る生活を送った。アリスは、その後取り巻きであった上級貴族子息の一人に刺されて死んだらしい。その子息もアリスの跡を追って死んだらしい。なんとも皮肉なことだ。
これが君と離れてからの話だ。なんとも滑稽な話だろう? どこかの二流作家が書いた劇みたいな話だ。あまりにもお粗末過ぎる話だ。でも私にはお似合いな結末だと思う。今思えば、こんな私だからこそ、両親は君のような優秀な人を私の婚約者に選んだと思う。
最近、もし君があのまま私の妻になっていたら、なんてことをよく考える。そんな妄想をして日々を過ごしている。気持ち悪いだろうか? だけど、もうそれしか心の支えがないんだ。ごめんとだけ言っとくよ。今日はここまでにしとこう。私はまだやることがあるからね。
親愛なるオレリアに捧げる。
0
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説

ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。

嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる