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空蝉の声
ホタルの恋
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最初の一杯にグラスホッパーを注文した染谷さんは、二杯目以降ビールやハイボールを注文した。
染谷さんはお酒が強いらしい。どんどんグラスを空けていく。
甘いカクテルをチビチビ飲むより染谷さんらしい気がした。
お腹も満たされ、染谷さんはウィスキーのロックを注文した。
僕は四杯目のジョッキ。
さすがにへろんとする。
からりん。
染谷さんがウィスキーグラスを傾けるたびに透明な氷が涼やかな音を立てる。
酔っぱらった僕の頭の中で、納涼の川床に瞬くホタルのイメージが浮かんだ。
ホタルの光は求愛行動のひとつだ。
ホタルの発光パターンは種によって異なる。
オスは同種のメスを探すため、その種固有のパターン化した光の信号を夜空に示して地上にいるメスにアピールする。
オスから発せられたメッセージに、メスはゆっくりとした光のパターンで返答する。
その美しい求愛行動に人は心を打たれ、感動し、特別に素晴らしい体験をしたと喜ぶ。
だが、メスのホタルは、他種のメスの光のパターンを模写して他種のオスをおびき寄せ、引き寄せられたオスをエサとして食べることもある。
子を産むには栄養が必要だからだ。
他の種のメスが発した光に恋して、引き寄せられ、自分の子を産むための栄養にされてしまったオスに、もしも感情があったのならば、そのオスは自分を騙したメスのことをどう思うのだろうか。
恨みながら死ぬのか、仕方ないと諦めるのか。
以前の僕ならば、その二択以外の答えは考えられなかった。
染谷さんはお酒が強いらしい。どんどんグラスを空けていく。
甘いカクテルをチビチビ飲むより染谷さんらしい気がした。
お腹も満たされ、染谷さんはウィスキーのロックを注文した。
僕は四杯目のジョッキ。
さすがにへろんとする。
からりん。
染谷さんがウィスキーグラスを傾けるたびに透明な氷が涼やかな音を立てる。
酔っぱらった僕の頭の中で、納涼の川床に瞬くホタルのイメージが浮かんだ。
ホタルの光は求愛行動のひとつだ。
ホタルの発光パターンは種によって異なる。
オスは同種のメスを探すため、その種固有のパターン化した光の信号を夜空に示して地上にいるメスにアピールする。
オスから発せられたメッセージに、メスはゆっくりとした光のパターンで返答する。
その美しい求愛行動に人は心を打たれ、感動し、特別に素晴らしい体験をしたと喜ぶ。
だが、メスのホタルは、他種のメスの光のパターンを模写して他種のオスをおびき寄せ、引き寄せられたオスをエサとして食べることもある。
子を産むには栄養が必要だからだ。
他の種のメスが発した光に恋して、引き寄せられ、自分の子を産むための栄養にされてしまったオスに、もしも感情があったのならば、そのオスは自分を騙したメスのことをどう思うのだろうか。
恨みながら死ぬのか、仕方ないと諦めるのか。
以前の僕ならば、その二択以外の答えは考えられなかった。
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