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空蝉の声
色づく世界
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毎週水曜日などと言っていられないほどに、モルモットの飼育は疑問だらけで、わからないことばかりで、なにより僕が一人で飼育するためには一刻も早くモルモットを触れるようになる必要があった。
僕はスキマ時間を見つけては足しげくペットコーナーに通って、染谷さんからレクチャーを受けた。
「最近のナツ先生のホームセンター愛、ヤバくないっすか? なんかあるんすか? 妙に楽しそうだし」
高杉君がニヤニヤと詰め寄って来る。高杉君はこういうことに関して勘が鋭い。
「ナツ先生はホームセンターのペットコーナーにいた黒モルモットちゃんを飼い始めたんですよね。それで今、スタッフさんから飼い方のレクチャーを受けてるの。ね、ナツ先生」
山田さんが僕の代わりに説明してくれた。
というか、なぜそれを知っているんだ?
「なーんだ」
「ナツっち昆虫以外の生き物飼えるん? いっがーい」
今日は一般的な女子大生っぽい服を着ている早坂さんが、ヒトリガの幼虫に似たふさふさのまつげをバサバサさせて驚いている。
僕としては早坂さんが普通の服も着ることができるという事実の方が意外だ。
その早坂さんの後ろで、山田さんが意味ありげにウィンクを投げてきた。
苦笑しながら頷いて、やっぱり山田さんには気を付けようと心に留める。
「モルちゃん、名前はなんて言うんですか?」
佐々木さんがにこやかに聞く。
そういえば名前をまだ付けていない。
「うそでしょ? ナツ先生、早くつけてあげないと」
「名前はまだない、って、夏目漱石っすか? 前から思ってたけど、ナツ先生ってちょいちょいおもろいっすよね。その性格ぜってぇモテるのに、もったいねー」
「ナツっちのペット、黒毛玉にしたらー?」
そこから黒モルモットの名前談義が始まった。
わいわいと。
うちのゼミ室はこんなに明るかったか。
最近、僕の世界は少しずつ色づいて見える。
僕はスキマ時間を見つけては足しげくペットコーナーに通って、染谷さんからレクチャーを受けた。
「最近のナツ先生のホームセンター愛、ヤバくないっすか? なんかあるんすか? 妙に楽しそうだし」
高杉君がニヤニヤと詰め寄って来る。高杉君はこういうことに関して勘が鋭い。
「ナツ先生はホームセンターのペットコーナーにいた黒モルモットちゃんを飼い始めたんですよね。それで今、スタッフさんから飼い方のレクチャーを受けてるの。ね、ナツ先生」
山田さんが僕の代わりに説明してくれた。
というか、なぜそれを知っているんだ?
「なーんだ」
「ナツっち昆虫以外の生き物飼えるん? いっがーい」
今日は一般的な女子大生っぽい服を着ている早坂さんが、ヒトリガの幼虫に似たふさふさのまつげをバサバサさせて驚いている。
僕としては早坂さんが普通の服も着ることができるという事実の方が意外だ。
その早坂さんの後ろで、山田さんが意味ありげにウィンクを投げてきた。
苦笑しながら頷いて、やっぱり山田さんには気を付けようと心に留める。
「モルちゃん、名前はなんて言うんですか?」
佐々木さんがにこやかに聞く。
そういえば名前をまだ付けていない。
「うそでしょ? ナツ先生、早くつけてあげないと」
「名前はまだない、って、夏目漱石っすか? 前から思ってたけど、ナツ先生ってちょいちょいおもろいっすよね。その性格ぜってぇモテるのに、もったいねー」
「ナツっちのペット、黒毛玉にしたらー?」
そこから黒モルモットの名前談義が始まった。
わいわいと。
うちのゼミ室はこんなに明るかったか。
最近、僕の世界は少しずつ色づいて見える。
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