タチバナ

箕面四季

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再会

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「あの、すみません」

「はい」と、振り返った私は、息が止まった。
 そこには、会いたくて会いたくて会いたくてたまらなかった、愛する人が立っていたのだから。

 離れなければ、と思った。春ちゃんの幸せを願うなら離れなければいけない。

 私は、春ちゃんが私と付き合い始めてからずっと苦しんでいたことを知っていた。
 知りながら気づかないふりをしてきた。
 春ちゃんを失いたくなかった。

 クリスマスイブに映画館で泣きじゃくる春ちゃんを見た瞬間、恋に落ちたのは私の方だった。

 春ちゃんは私と出会うまで男性と恋愛してきた子だった。
 恋人と酷い別れ方をして心が弱っているところを、私はつけ込んだのだ。

 春ちゃんから「こんなこと言われて迷惑なのはわかってるけど、好きです。つきあってください」と言われたとき、こんな幸せなことが人生に起きるなんて、と、サンタクロースとよろずの神様に感謝した。

 だけど付き合い始めた日から、終わりのカウントダウンは始まる。
 私の恋はいつもそうだ。

 私はいつその日が来るのかと怯えていた。
 春ちゃんの笑顔が徐々に少なくなっていく。

 どうしようと思った時、春ちゃんがモルモットの赤ちゃんを連れてきた。
 その子に春ちゃんが「ギズモ」と名前を付けたとき、ホッとした。

 まだ大丈夫。まだ、私たちは大丈夫と思った。

 でも「あたしたちは家族だよ。だからずっと一緒にいようね」と春ちゃんは笑った。

 ああ、やっぱり春ちゃんの理想は、こういう形なんだろうな、と思った。

 お父さんとお母さんと子ども。
 春ちゃんの生まれた家がそうだったのだから、その家で幸せに暮らしてきたのだから、そうなのだろう。

 親を知らない私とは違うのだ。
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