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モルモットマッチングサイト
春ちゃんの矛盾
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「ギズモ、本当にごめんね。これで最後にするから」
待ち合わせのカフェに向かいながら、もう何百回もおでかけバッグの中の僕に、春ちゃんは謝り続けている。
ハルトにぶたれた僕は、軽い脳震盪を起こして久方ぶりに動物病院に運ばれた。
病院に着くころにはすっかり元気になっていた僕を、お医者さんが鼻の穴からお尻の穴まで、じっくりまるっと観察するもんだから、恥ずかしさとストレスで逆に僕は死にそうになった。
でも、春ちゃんのために耐えがたきを耐え抜いた僕。
何しろ「春ちゃんのことをよろしくね」ってナツキに託されちゃってるからね。
ともかく耐え難い屈辱を耐えた僕は「問題ないですね」とお医者さんに太鼓判を押され、心配性の春ちゃんをホッとさせることに成功した。
「本当ごめんね、ギズモ。ああ、なんであたしっていっつもこうなんだろう。でももう本当に本当にこれが最後だから」
そんなに謝らなくても僕は全然平気なんだけどなぁ。
実はハルトと並行して、春ちゃんはナツさんとそのペットのミミちゃんという黒いモルモットのメスとのお見合いの手はずを整えていた。
お見合いの約束を結んだのはハルトよりもナツさんが先だったから、春ちゃんはナツさんに悪くて断れなかったみたいだ。
でも、お見合いを断れなかった本当の理由はナツさんの名前がナツキと一文字違いだったせいじゃないかな、と僕は思う。
それにどことなくナツさんはナツキに似ている気がした。
もちろん、ビデオ通話でナツさんがナツキじゃないことは判明している。
ナツさんはわりと落ち着いたオスでナツキとは全然似ていない。
それでも春ちゃんは名前が似てるってところとちょぴっとナツキ風味な部分に一縷の望みをかけている気がした。
春ちゃんはナツキにすごく会いたがっている。
会って謝りたいと思っている。
ナツキが出て行ったのは、自分がナツキを傷つけたせいだと思っていて、春ちゃんはずっとずっと自分を責めているんだ。
そのくせ、ナツキのことを忘れようとモルモットのマッチングサイトを使って人間のオスと出会おうとしている。
でも春ちゃんは、モルモット繋がりでナツキに会えるんじゃないかとも期待している。
春ちゃんはこのところずっと、沢山の矛盾を抱えている。
待ち合わせのカフェに向かいながら、もう何百回もおでかけバッグの中の僕に、春ちゃんは謝り続けている。
ハルトにぶたれた僕は、軽い脳震盪を起こして久方ぶりに動物病院に運ばれた。
病院に着くころにはすっかり元気になっていた僕を、お医者さんが鼻の穴からお尻の穴まで、じっくりまるっと観察するもんだから、恥ずかしさとストレスで逆に僕は死にそうになった。
でも、春ちゃんのために耐えがたきを耐え抜いた僕。
何しろ「春ちゃんのことをよろしくね」ってナツキに託されちゃってるからね。
ともかく耐え難い屈辱を耐えた僕は「問題ないですね」とお医者さんに太鼓判を押され、心配性の春ちゃんをホッとさせることに成功した。
「本当ごめんね、ギズモ。ああ、なんであたしっていっつもこうなんだろう。でももう本当に本当にこれが最後だから」
そんなに謝らなくても僕は全然平気なんだけどなぁ。
実はハルトと並行して、春ちゃんはナツさんとそのペットのミミちゃんという黒いモルモットのメスとのお見合いの手はずを整えていた。
お見合いの約束を結んだのはハルトよりもナツさんが先だったから、春ちゃんはナツさんに悪くて断れなかったみたいだ。
でも、お見合いを断れなかった本当の理由はナツさんの名前がナツキと一文字違いだったせいじゃないかな、と僕は思う。
それにどことなくナツさんはナツキに似ている気がした。
もちろん、ビデオ通話でナツさんがナツキじゃないことは判明している。
ナツさんはわりと落ち着いたオスでナツキとは全然似ていない。
それでも春ちゃんは名前が似てるってところとちょぴっとナツキ風味な部分に一縷の望みをかけている気がした。
春ちゃんはナツキにすごく会いたがっている。
会って謝りたいと思っている。
ナツキが出て行ったのは、自分がナツキを傷つけたせいだと思っていて、春ちゃんはずっとずっと自分を責めているんだ。
そのくせ、ナツキのことを忘れようとモルモットのマッチングサイトを使って人間のオスと出会おうとしている。
でも春ちゃんは、モルモット繋がりでナツキに会えるんじゃないかとも期待している。
春ちゃんはこのところずっと、沢山の矛盾を抱えている。
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