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ギズモの攻撃
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キュインキュインキュイン!
「え? ちょっとギズモ、いきなりどうしたの?」
警報ベル並みの音量で鳴きだした僕を春ちゃんが慌てて抱き上げた。
今だ!
春ちゃんの腕を蹴ってビョンっと、ハルトの顔面目掛けて四脚キック!
ついでにザリっと爪で皮膚をひっかく。
「痛っ!」とハルトが顔を抑えた。
「ごめん、ハルト君、大丈夫?」
「平気。ちょっとびっくりしただけ。ギズモ君元気だなぁ」
まだまだ爽やかなハルト。
どうやら化けの皮を剥ぐには至らなかったみたいだ。
ハルトの膝の上に乗った僕をハルトが優しく撫でようとする。
それをすり抜けて、ハルトのすべっとしたオシャレなシャツを齧った。
「あのシャツ、元カノから貰った高級シャツで、ハルトのお気に入りなの」とココちゃんが教えてくれたのだ。
「うわっ、何すんだ! やめろ、この!」
ハルトの口調がにわかに荒くなった。
大きな二重が三角に尖る。
いい感じだぞ。
フィニッシュはハルトのお腹の部分のシャツをしゃっとまくり上げる。
「ハルトはああ見えて運動が苦手なの。前に人間のメスがハルトの二段腹を笑ったことがあったわ。そしたら顔の形が変わるほどそのメスを殴ったのよ」
確かにおへそ周りがたるんでいた。
でもココちゃんが言う程二段腹じゃない。
こんなの春ちゃんは気にしないよなぁ。と、僕が思った瞬間だった。
「このクソモルがぁ!」
「ギュイ」
頭の中身が弾け飛ぶ強烈な痛みが走った。
僕はどしゃっとココちゃんのいるケージの中に落ちていた。
耳がぐわんぐわんして、目がぐるぐる回る。
ギズモ!! 何するの、ハルト君! 信じられない!
いや、これはつい。
ギズモが悪いのはわかってる。でも、はたくことないでしょ!
いや、だからこれは。
これ、お茶代と迷惑料です。それじゃ。
ちょ、待っ。
僕はあっという間に春ちゃんの優しい匂いに抱きかかえられた。
春ちゃんからは、涙の匂いがしている。
「坊や、よくやったわね」
ココちゃんの労いの声が遠く聞こえる。
「ココちゃんも、一緒に、にげ、よう、よ」
記憶が途切れそう。
春ちゃんなら、きっとココちゃんを飼ってくれるよ。
一緒に僕たちと行こうよ。
「ありがとう。でもね、ハルトの孤独や苦しみを理解できるのは私だけなの。私たちは」
――私たちは家族なの。だから、ずっと一緒にいなくっちゃ。
(そっか、家族なら、一緒にいなきゃね)
薄れていく意識の中、僕はココちゃんに、声にならない声で同意していた。
「え? ちょっとギズモ、いきなりどうしたの?」
警報ベル並みの音量で鳴きだした僕を春ちゃんが慌てて抱き上げた。
今だ!
春ちゃんの腕を蹴ってビョンっと、ハルトの顔面目掛けて四脚キック!
ついでにザリっと爪で皮膚をひっかく。
「痛っ!」とハルトが顔を抑えた。
「ごめん、ハルト君、大丈夫?」
「平気。ちょっとびっくりしただけ。ギズモ君元気だなぁ」
まだまだ爽やかなハルト。
どうやら化けの皮を剥ぐには至らなかったみたいだ。
ハルトの膝の上に乗った僕をハルトが優しく撫でようとする。
それをすり抜けて、ハルトのすべっとしたオシャレなシャツを齧った。
「あのシャツ、元カノから貰った高級シャツで、ハルトのお気に入りなの」とココちゃんが教えてくれたのだ。
「うわっ、何すんだ! やめろ、この!」
ハルトの口調がにわかに荒くなった。
大きな二重が三角に尖る。
いい感じだぞ。
フィニッシュはハルトのお腹の部分のシャツをしゃっとまくり上げる。
「ハルトはああ見えて運動が苦手なの。前に人間のメスがハルトの二段腹を笑ったことがあったわ。そしたら顔の形が変わるほどそのメスを殴ったのよ」
確かにおへそ周りがたるんでいた。
でもココちゃんが言う程二段腹じゃない。
こんなの春ちゃんは気にしないよなぁ。と、僕が思った瞬間だった。
「このクソモルがぁ!」
「ギュイ」
頭の中身が弾け飛ぶ強烈な痛みが走った。
僕はどしゃっとココちゃんのいるケージの中に落ちていた。
耳がぐわんぐわんして、目がぐるぐる回る。
ギズモ!! 何するの、ハルト君! 信じられない!
いや、これはつい。
ギズモが悪いのはわかってる。でも、はたくことないでしょ!
いや、だからこれは。
これ、お茶代と迷惑料です。それじゃ。
ちょ、待っ。
僕はあっという間に春ちゃんの優しい匂いに抱きかかえられた。
春ちゃんからは、涙の匂いがしている。
「坊や、よくやったわね」
ココちゃんの労いの声が遠く聞こえる。
「ココちゃんも、一緒に、にげ、よう、よ」
記憶が途切れそう。
春ちゃんなら、きっとココちゃんを飼ってくれるよ。
一緒に僕たちと行こうよ。
「ありがとう。でもね、ハルトの孤独や苦しみを理解できるのは私だけなの。私たちは」
――私たちは家族なの。だから、ずっと一緒にいなくっちゃ。
(そっか、家族なら、一緒にいなきゃね)
薄れていく意識の中、僕はココちゃんに、声にならない声で同意していた。
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