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12 振られた
しおりを挟むこの世の中には妻に無関心な夫もいれば、ナサリアの王太子みたく溢れる愛情を妻や子どもに注ぐ素敵な夫もいて。
結婚なんて二度と御免だけど、もしも次に結婚することがあるならそんな風に愛されてみたい。
……そう、しんみりしていると。
雨の日も風の日も毎日毎日呼んでもないのに勝手に王宮にやってきて、自分が言いたい事だけを嫌味ったらしくネチネチ言うだけ言って帰るを繰り返す。
宰相がそこにはいた。
「ユーフェミア様っ!?」
こんな所で私の名前を大声で呼ぶな。
私、実はこの国の王妃やってたから有名人!
それに今日もお前の事は呼んでない。
「……げっ、性悪! 出やがったな!?」
こんな所をほっつき歩いてないで城に帰って仕事しろ、どれだけ私に構ってくるの?
コイツよく飽きないな?
そんなに私を幽閉したいのか?
「ユーフェミア様お探ししました。ご無事で何よりでございます……さあ私と一緒に帰りましょう?」
国王と違って宰相は、私に関心を持ちすぎな件。
私に嫌がらせするの趣味か何かなのかな?
「え、絶対にいや! 誰が性悪となんて一緒に帰るか! どうせ私の事をどっかの屋敷に幽閉し、そして死ぬまで監視して自由を奪うつもりでしょ! お前の魂胆はわかっている!」
私は腕を組み、胸を張り、性悪と対峙する。
ここで弱みを見せてはいけない。
毅然とした態度で立ち向かう。
「そ、そんな事は絶対に致しません!」
嘘をつくな、お前なら絶対にする。
私にはわかっている。
なんだかんだと長い付き合いだ。
「じゃあ性悪は私を連れ帰ってどうするって言うの!? 答えられるものならば答えてみなさい! さぁ早く!」
「ユーフェミア様には私と、結婚して頂こうかと思っていましたが……」
「結婚……? え、誰と?」
「……私と」
「……は?」
強制的に月に一度行われる房事で会話すらなく。
ただ無意味に流れていく時間に、女としての魅力が無いのかと自信を失っていたけれど。
もしかして私ってば、知らず知らずの内に宰相を魅了してしまっていたのか……!
この溢れ出す人妻の色気で!
えー、どうしよっかなぁ?
急に求婚とか困っちゃうんだけど?
「あ、でも、やっぱり私と結婚しなくていいです」
「え、どうして!?」
やっぱりってなに!
いいですって……え?
「……無理なので。ユーフェミア様、ごめんなさい」
「え、む……無理!?」
いったい私の何が無理たど言うのだお前は。
それに初めて性悪に謝られたよ?
天変地異の前触れかな。
「もうユーフェミア様には一切関わりません。でも私は……貴女の幸せを願っています」
そして。
なんか知らないが私、性悪にフラれたっぽい。
私が告白したわけじゃないのにっ……!
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