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第一章 二度目の国外追放
3 二人の出会いは
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癖のあるハニーブロンドにサファイアのような青い瞳、そしてマシュマロのようなふっくらほっぺ。
その愛らしくも美しい容姿だけならば、どこぞの姫君だと言っても過言ではない美貌の少女。
……なのだが。
「いやだ、国外追放はいーやーだー! 二回目とかなんでやねん! どうしてこうなった!? もうこんな不条理な世界……滅ぼしてやろうか?」
などと言って錬金術師の少女は文句を言い続けているし、タイル張りの床はさぞ冷たいだろうに直接ねっ転がっているから汚くて。
少女のことを迎えにこの国イクスまで、遠路はるばるやって来たアルスの騎士は。
「……酷いな、これ」
そう、ぽつりと本音を零した。
◇◇◇
魔力を発現させ国を混乱させた私に対する処分は、イクスからの国外追放。
そして隣国アルスへの強制送還だった。
「イクスから出ていけと言われた所で、自分を不必要だと捨てた国になんて行きたくない!」
「まあ、そうよね。でも貴女、床で寝るのはちょっと止めた方がいいわよ? 雑巾みたいだから」
「……は?」
「ほんと、汚ったないわね……?」
その声の出所をチラリと見上げれば。
まだ赤ちゃんだった私のことを。
魔力が無ければ無価値だとして追放した国、アルスからやってきたという騎士がそこに立っていた。
この騎士の男は濃いブラウンのサラサラとした髪に、エメラルドのような瞳を持つ極上イケメン。
……なのだが。
なぜかオネェ口調で喋るからとっても残念で、それさえなければ私好みなのになと悲しい気持ちにった。
そしてこの残念イケメンの騎士様は、アルスに私を連れ帰った後は護衛をしてくれるらしい。
「護衛って、アルスってそんなに治安悪いの?」
「治安は悪くないけど一応ね? というか私が主にする仕事は貴女の生活の世話よ」
「え、世話なんていらない」
「そう言っていられるのも今のうちよ? じゃあコレ着て頂戴、そんな格好じゃ……流石にねぇ?」
「なんだその手に持ってるピラピラのドレスは、フリルとレースまみれで私は絶対着たくねぇぞ?」
「貴女……ほんとにあの公爵家の娘なのー? 私、信じらんないわぁー! というか汚いわね……」
そしてこの男は言うに事欠いて人の事を汚いとか言ってきた、しかも蔑んだ目で。
「ひっ、酷い……!」
この状態については私も?
正直に女としてやべぇなとは思っちゃいるけど、本人を前に声に出して言うなんて。
このオネェ……いい性格してやがる。
でもやっぱり全てに納得がいかなさすぎて。
なにかしら文句が言いたいし、できればちょっとの間ほっておいて欲しい気分である。
それに仕方ないじゃないか。
私はなにもしていないのに『じゃあ国外追放』ってさっきお気軽に言い渡されたばっかりなんだぞ?
それにこっちの家族や友人に別れの言葉を伝える時間もなく、今日中にこの国から出て行かなくちゃいけないなんて。
……なんかそれ、酷くない?
早い、早いよ仕事が早すぎだよ?
普段は仕事遅い癖に、なんでこんな時ばっかりは仕事がそんなに早いのか。
「仕方ないわね、私が綺麗にしてあげるわ」
「え? なに、え」
そう言ったイケメンオネェは床に寝転がっていた私を軽々と抱き上げて、にっこりと不敵に微笑む。
「ちょ、なにしてんの!? 離してよ」
「それは、駄目よ……大人しくしてなさい」
そして私を抱き上げたまま浴室まで連れていくイケメンオネェに、私は首を傾げる。
いったいなにがしたいのか理解出来ないまま、その行動を観察していると。
「それじゃあ、まあお風呂に入って綺麗になりましょうか? 私が貴女をピカピカにしてあげるわ!」
「えっ、ま、ちょっと!? な、なに言ってるのか意味わかんない!」
……そんなことを宣りやがった。
癖のあるハニーブロンドにサファイアのような青い瞳、そしてマシュマロのようなふっくらほっぺ。
その愛らしくも美しい容姿だけならば、どこぞの姫君だと言っても過言ではない美貌の少女。
……なのだが。
「いやだ、国外追放はいーやーだー! 二回目とかなんでやねん! どうしてこうなった!? もうこんな不条理な世界……滅ぼしてやろうか?」
などと言って錬金術師の少女は文句を言い続けているし、タイル張りの床はさぞ冷たいだろうに直接ねっ転がっているから汚くて。
少女のことを迎えにこの国イクスまで、遠路はるばるやって来たアルスの騎士は。
「……酷いな、これ」
そう、ぽつりと本音を零した。
◇◇◇
魔力を発現させ国を混乱させた私に対する処分は、イクスからの国外追放。
そして隣国アルスへの強制送還だった。
「イクスから出ていけと言われた所で、自分を不必要だと捨てた国になんて行きたくない!」
「まあ、そうよね。でも貴女、床で寝るのはちょっと止めた方がいいわよ? 雑巾みたいだから」
「……は?」
「ほんと、汚ったないわね……?」
その声の出所をチラリと見上げれば。
まだ赤ちゃんだった私のことを。
魔力が無ければ無価値だとして追放した国、アルスからやってきたという騎士がそこに立っていた。
この騎士の男は濃いブラウンのサラサラとした髪に、エメラルドのような瞳を持つ極上イケメン。
……なのだが。
なぜかオネェ口調で喋るからとっても残念で、それさえなければ私好みなのになと悲しい気持ちにった。
そしてこの残念イケメンの騎士様は、アルスに私を連れ帰った後は護衛をしてくれるらしい。
「護衛って、アルスってそんなに治安悪いの?」
「治安は悪くないけど一応ね? というか私が主にする仕事は貴女の生活の世話よ」
「え、世話なんていらない」
「そう言っていられるのも今のうちよ? じゃあコレ着て頂戴、そんな格好じゃ……流石にねぇ?」
「なんだその手に持ってるピラピラのドレスは、フリルとレースまみれで私は絶対着たくねぇぞ?」
「貴女……ほんとにあの公爵家の娘なのー? 私、信じらんないわぁー! というか汚いわね……」
そしてこの男は言うに事欠いて人の事を汚いとか言ってきた、しかも蔑んだ目で。
「ひっ、酷い……!」
この状態については私も?
正直に女としてやべぇなとは思っちゃいるけど、本人を前に声に出して言うなんて。
このオネェ……いい性格してやがる。
でもやっぱり全てに納得がいかなさすぎて。
なにかしら文句が言いたいし、できればちょっとの間ほっておいて欲しい気分である。
それに仕方ないじゃないか。
私はなにもしていないのに『じゃあ国外追放』ってさっきお気軽に言い渡されたばっかりなんだぞ?
それにこっちの家族や友人に別れの言葉を伝える時間もなく、今日中にこの国から出て行かなくちゃいけないなんて。
……なんかそれ、酷くない?
早い、早いよ仕事が早すぎだよ?
普段は仕事遅い癖に、なんでこんな時ばっかりは仕事がそんなに早いのか。
「仕方ないわね、私が綺麗にしてあげるわ」
「え? なに、え」
そう言ったイケメンオネェは床に寝転がっていた私を軽々と抱き上げて、にっこりと不敵に微笑む。
「ちょ、なにしてんの!? 離してよ」
「それは、駄目よ……大人しくしてなさい」
そして私を抱き上げたまま浴室まで連れていくイケメンオネェに、私は首を傾げる。
いったいなにがしたいのか理解出来ないまま、その行動を観察していると。
「それじゃあ、まあお風呂に入って綺麗になりましょうか? 私が貴女をピカピカにしてあげるわ!」
「えっ、ま、ちょっと!? な、なに言ってるのか意味わかんない!」
……そんなことを宣りやがった。
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