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<予感>

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ガオンは倒れたまま、もう立ち上がる気配は無い。

まさか死んでしまったのか。
其れを確かめる状況ではない。

今するべき事は戦う事だけ。

だが両断しても復活する様な奴に、勝つ事なんて出来るのか。

考えている暇は無い。

俺が殺されたら、今度こそ本当に終わりだ。

すぐさま俺は右腕を伸ばし、空間圧縮魔法でセトの心臓を握る。

殺さない様になんて、手加減する余裕は無く。

明らかな殺意を持って、強く握り潰す。

其れと同時にセトは倒れ、辺りは静寂に包まれる。

……本当に俺は勝てたのか。

また立ち上がり、動きだすんじゃないか。

不安が頭を過り、倒れたセトから視線を逸らす事が出来ない。

こういう時の悪い予感は当たる事が多い。

だからこそ、其れは絶対に当たってほしくない予感だった。


風の音に流され、不気味な笑い声が微かに聞こえる。

再び動きだした触手が床を這いだし、セトが立ち上がる。

もう自分の負けは無い。
そう確信したかの様にセトは、ニヤついた表情で俺を見下ろし。

静かだった塔頂上に、セトの笑い声が響くのだった。


此れは勝てないかもしれない、そう思ってしまった時。

背後から声が聞こえる。

「……マオーさん」

此の場に俺が居る事に驚いたであろう、目覚めたエミリの声だった。
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