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<悪巧み>

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時は現在に戻り。

ケルマンとルミニーが一時休戦となり、近付く魔物に備えガルのメンバーは書記官のラタを守る為に輪に並ぶ。



索敵報告をしたリジョンの慌てた様子から察すると、魔物が少数の可能性は低い。



そんな一行の予想通り現れた蟻の魔物は一匹二匹どころではなく、二・三十匹は居て全員に緊張が走る。



「アンタ王国騎士だったら、自分の身位は守れるんだね? 」



「ホホッ 随分面白い事を言いますね」



共闘せざるをえないこんな状況になっても、ルミニーとケルマンは牽制し合っている。



戦闘が始まると蟻達は一斉に一行に襲い掛かり、倒された蟻を飛び越え次々と迫る。



ガルのメンバーはラタを守りながらも、攻撃が途切れないように連係して蟻との距離を保っていく。



「其処どきな、蟻が飛んで来てるよ」



「ホホッ 貴方の足元も来ていますよ」



ルミニーがケルマンの危機を助けると、ケルマンもルミニーの補助をして返す。



貴族とはいえケルマンも王国騎士というだけあって、無理には攻めず堅実に蟻を減らしていく。



仲間を気にしない蟻の戦闘方法もあってか、決着は短期で済み。



反目しながらでも連係の良さで誰の怪我も無く、数匹逃げた蟻もいたが戦闘は無事に終了した。



「これ飯作る前で良かったな」



「もう食欲は無くなりましたけどね」



散らかった辺りと、山の様になった蟻の残骸を見てリジョンとルドエルは頷く



「さて仕事が増えたね、どうする? まだ闘い足りないかい?」



ルミニーの問い掛けにケルマンは笑い反し、黙って魔物の解体を始め。



其れを見ていたリジョンとルドエルの二人は顔を見合わせ笑い、準備作業を再開した。



余りにも多い蟻の残骸を処理していたせいで、予定していたよりも夕食の時間が遅れはした。



だが其の処理をケルマンも黙って手伝っていたので、食事の時間は和やかな雰囲気で進み。



ケルマンも少しだけ打ち解けたのは、ガルのメンバーの戦闘を見て実力を認めたからなのは間違いなく。



其の中でもルミニーの実力は、明らかに自分以上だと理解するのには充分だった。



一行が夕食を食べ終わった頃、ヨロヨロと一匹の傷付いた蟻が穴の中に在るアジトに戻って行く。



迷路の様に入り組んだ穴の通路を通り抜け、開けた場所で蟻の集団の下にたどり着く。



仲間の蟻に近付くと、仲間の蟻から口移しで回復液を受け取り。



体力を回復した蟻は何事も無かったかの様に、再び出入口に向かって歩き始め。



仲間の蟻達は統率されていないからなのか、後を追い報復に向かう様子はない。



だが蟻達には各々役目が有るようで、広間の蟻達は寛いでいる訳ではなく。



慌ただしく壁際に向かって、切り刻んだ魔物の遺体を運んでいる。



其の壁際には何百もの卵が張り付き眠っていて、目覚めた時の餌を準備しているようだ。



そして蟻達は気付いていないが其の空間の宙に浮き、其れを愉しそうに見つめていたのは参謀のウスロスだった。

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