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第三章
24 やっていこう! 終
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リリーは全く納得できていなかった。それにそもそも今の説明だけでは理解できないのだから仕方がない。リリーもそれを無意識に分かっているので、カジュにそれ以上深い説明を求めはしなかった。が、全く別のところで新しい疑問をつれてきた。
「カジュって名前は誰がつけたの?」
唐突に突きつけられたその問いにカジュはフォレストに対するなびく柳のような軽い返事はすぐにしなかった。
少し間を空けたのちリリーに優しい笑顔を向け呟いた。
「覚えてんたんだよ」
正確にいつ思い出したものなのか、ずっと分かっていたのか、それともあの時聞いた声が思い出させたのか。本能が呼び覚ましたものなのか。
惨状の中、聞こえた声は優しくその名を呼んでいたことだけが確かなこと。
「結局、術を解いたということか?」
フォレストのなぜか探るような表情で、カジュはいつものように軽く笑いながら軽快に答える。
「全部じゃないが、少しだけな」
「何故全て思い出そうとしない」
「世界を滅ぼしたくなったら嫌だろう?」
それは冗談のようで本音でもあった。自分がどういう経緯で国軍のもとで育つことになったのか、その事実を思い出したとき自分がどんな感情を持つか計り知れない。
絶望だけならばまだいい、下手な恨みでも持ってそれを晴らしたくなったならば一体誰が自分を止めるというのか。それほどに心を寄せているモノは今はまだない。
「お前にはその力があると?」
フォレストはそれこそ呆れたように体をイスの背もたれに思い切り預け向かいのカジュを見下ろすように問うた。
「少なくともドラゴン達は俺の味方だ、それだけでも世界の国のいくつかとは対抗できる」
それはできるというだけで、カジュにその気が全く無い。そのことはフォレストがもっとも知るところでもあった。
そして今度こそ本当に呆れて言った。
「世界を憎みたくないとは何とも甘い考えだな、お前がそう思っても仕方が無いことをされているかもしれないのだろう。それを見て見ぬ振りをしているなどとは」
「いいんだよ、所詮悪魔のお前には分からないだろうさ」
「分かりたくもない」
「でもそのカジュのおかげであなた達が助かったって事忘れないで欲しいわ」
カジュがまるで声色でも使ったこのように甲高い声が部屋に響いた。
もちろんカジュではない。また溜息と供に立ち上がったカジュが、窓を勢いよく開けるとよく知る小さい姿が美しいポージングで浮いていた。
「スキュート、立ち聞きなんて悪趣味なことするな」
「あーら、良いじゃない! この二人はカジュのことちゃんと知っておくべきだわ」
「必要ない」
「だって使い魔なんでしょ?」
「マクリルのな、しかも普段は封じてあって、必要な時に呼び出すようにしているんだ」
スキュートに言った台詞に反応したのはフォレストだった。
「は? なんだそれ。俺達は今ここにいるだろう」
面倒臭そうにしながら仕方なく部屋の中にスキュートを招くと、その後ろにもう数匹精霊が入ってきた。
それはもういつものことなので、カジュは何も言わずついでにいつものことなので精霊達に出すためのお茶を入れる用意をし始めた。それを見てリリーも元気よく立ち上がりカジュの手伝いを買って出て、またカジュに溜息を吐かせていた。
そうしながらフォレストの質問を流さずに答えた。
「それじゃ偽マクリルたちが困るだろう、いきなり噂に名高い悪魔を二人も用意できないマクリル達もいるんだ。噂は始めにできるだけ簡潔に重要なことだけを流さないと、どうせどっかで尾ひれや絵ひれが付いちまうんだから」
「じゃあ何か、偽者のために新しく嘘の噂を流してるのか?」
「軍に頼めば簡単だ、しかも今回のは軍にとっても有益な噂だからな、嬉々として回してるはずだ」
「なるほどな、大魔道士が更なる力を手に入れたと言いまわれるということか」
「自分で更なる力とか言っちゃう使い魔もどうかと思うがな」
カジュのツッコミに精霊達はきゃっきゃと大笑いしてフォレストに強烈に睨まれるが、それを精霊たちが気にすることは無かった。
それを見ながらカジュは不意に不思議だなーとしみじみ思っていた。
ほんの数ヶ月前まで、この家にいた悪魔達に様々な嫌悪の感情を持っていた精霊たちが、この家で仲良くとは言えないかも知れないがそれなりに和気藹々としている姿がある。
さらにその数ヶ月前にはこの家で煩いのはたまに精霊たちが冷やかしに来たときだけで、それ以外会話らしい会話がない静かな場所だった。
それはとてもカジュに穏やかで和やかな日々をもたらしてくれる心地良い場所だった。
しかし、今だって別に居心地の悪さはない。意外にも自分が変化に寛容であったことが驚きだったが、カジュはその自分の新しい側面をも簡単に受け入れた。
カジュは初めから何でも受け入れる土台をもっていたのだ。
それはきっとそう育てられたからだとなぜかそれだけは自信を持って言えた。むしろそれしか確信を持って言えることは無かった。
それが軍にくる以前の家庭がもたらしてくれたものだということもだ。
あの時聞こえた声は母の言葉だったのか、祖母の言葉だったのか、どんな場面で言われた台詞なのかは定かではない。
ただ“カジュ”と呼びかけられたことは確かで、それが自分の名であることだけははっきりと理解した。マクリルと呼ばれることに違和感はないが、体の表面を流れていくような感覚で名前に馴染んでいない自分がいた。それが、その名には思わず体が反応してしまう機動力のようなものがあった。一瞬で分かってしまったのだ。
名というものにはそれだけの力があるとカジュ自身が知った瞬間でもあった。
だからこそ、フォレストにもリリーにも適当な名前に拘ったのだ。
それでもカジュは二人を見放すことができなかった。
「それって二人の姿が自分に重なったからじゃない?」
カジュの感情を読んだようなスキュートの言葉にカジュはハッと我に返った。だが、その言葉はリリーの問いに対する返事だったようで会話はカジュ抜きで進んでいく。
「重なる? なんで? カジュとリリーたちは全然違うよ」
「ほら、ドラゴンを助けたとき、完全に人間の敵になっていたらカジュも追われる身になってたわけだし、そうなれば二人と違わなかったはずだわ」
「だから助けたのか」
勝手に導いた答えで話が終わりそうになり、カジュは急いで訂正を入れた。
「違う違う、仕方なくだ。お前らを殺した時の不利益より、生かしておく面倒の方が楽だっただけだ」
「そうかしら、自分の傍にいると国に利用させるからって一回突き放したのは誰だっけ?」
「俺は別に国に利用されているわけじゃねーよ、できるだけ楽に生きたいだけだ」
「そうかしら」
「そうなの! ほらフォレストとリリーちゃっちゃと働け。んでスキュートたちはさっさと帰れ」
「はあーい」
精霊達はそう言いながらカジュにあれこれ薬の依頼や薬草の情報をかしましくたっぷり話してから帰っていった。
一息ついたカジュに食事の準備に取り掛かっていたフォレストは唐突に尋ねた。
「それでお前は本当に良いのか?」
何が、とカジュは聞かなかった。
そして暫く考えた。突っ立ったまま腰に手を当て上を見上げたり、つま先を睨んだりしながら。
そして大げさなほど胸を張って、カジュの答えを黙って待っていたフォレストその後ろで同じく黙ったまま不安そうにフォレストのシャツの裾を握ってカジュを見つめるリリーに、堂々と言い放った。
「俺を全うに育てた親達にこの国は感謝すべきだな」
一瞬戸惑ったためフォレストの言葉はすぐに出てこなかった。思わず振り返りリリーの反応も確かめるが、リリーもあっさり首をかしげる。
仕方なくカジュに向き直ると、カジュはもう鼻も高々に仁王立ちでドンと構えたままだった。
「…………どういう意味だ?」
漸くそれだけ聞けた時、意味も無くフォレストは肩の力が入っていたことに気が付いた。
カジュはそんなフォレストの様も、リリーの無垢なきょとんとした顔もスルーっと音がしそうなほど気に留めずに言いたいことだけ言う。
「三つ子の魂百までって事だ。なんでもぜーんぶ大事にしなさいってさ、簡単に捨てるような人にはなりなさんなってのが我が家の教えだったんだよ」
「それがなんだ」
「だから面倒だからって全部壊してしまわない」
「お前にはその力があるのにか」
「そう、俺にはその力がある、ただそれだけのことだ。どう使うかは俺の自由だからな」
あはははーと高笑いしたカジュに、自棄になったフォレストも付き合い苦笑いだ。それを見てリリーは当然一緒に楽しそうに笑う。
そして馬鹿馬鹿しくなったカジュが平常のテンションで食事の準備を再開させた。
三人で広くは無い部屋であれこれするなか、カジュは思い出して二人に気付かれぬようクスッと笑った。
“カジュはなんでもできる、だから簡単に諦めるな”
単純で簡単な言葉。幼い子どもにならきっとどんな親でも言うだろう。それは我が子の未来と可能性を信じているからだ。
そんなどこででも聞けそうな言葉がカジュを、もしかしたら世界をも救ったのかもしれない。
カジュは自分の単純さに少し笑ってしまった。
それでも世界のどこかに自分をそんな風に信じてくれている人がいるということが、その時のカジュには大切なことだった。
だから竜も、そして悪魔達も手元に置くことにした。自分で守っていこうと決めた。
いまだ自分の存在が一番危ういと感じているカジュは、それでも毎日楽しく生きていこうと決めている。
そのためには面倒も避けたいし、楽もしたい。
誰かのために使う力はできるだけ少なく、それでもやっぱり最後は見捨てられない。
「俺ってホント難儀な性格」
「俺もそう思うぞ」
「リリーも!」
「うっさい!! 俺の独り言を聞くなーーー」
森では精霊たちが騒がしく、そして今は家でも静かではなくなったが、カジュはそれなりに楽しく新しい生活を送りはじめた。
おしまい
「カジュって名前は誰がつけたの?」
唐突に突きつけられたその問いにカジュはフォレストに対するなびく柳のような軽い返事はすぐにしなかった。
少し間を空けたのちリリーに優しい笑顔を向け呟いた。
「覚えてんたんだよ」
正確にいつ思い出したものなのか、ずっと分かっていたのか、それともあの時聞いた声が思い出させたのか。本能が呼び覚ましたものなのか。
惨状の中、聞こえた声は優しくその名を呼んでいたことだけが確かなこと。
「結局、術を解いたということか?」
フォレストのなぜか探るような表情で、カジュはいつものように軽く笑いながら軽快に答える。
「全部じゃないが、少しだけな」
「何故全て思い出そうとしない」
「世界を滅ぼしたくなったら嫌だろう?」
それは冗談のようで本音でもあった。自分がどういう経緯で国軍のもとで育つことになったのか、その事実を思い出したとき自分がどんな感情を持つか計り知れない。
絶望だけならばまだいい、下手な恨みでも持ってそれを晴らしたくなったならば一体誰が自分を止めるというのか。それほどに心を寄せているモノは今はまだない。
「お前にはその力があると?」
フォレストはそれこそ呆れたように体をイスの背もたれに思い切り預け向かいのカジュを見下ろすように問うた。
「少なくともドラゴン達は俺の味方だ、それだけでも世界の国のいくつかとは対抗できる」
それはできるというだけで、カジュにその気が全く無い。そのことはフォレストがもっとも知るところでもあった。
そして今度こそ本当に呆れて言った。
「世界を憎みたくないとは何とも甘い考えだな、お前がそう思っても仕方が無いことをされているかもしれないのだろう。それを見て見ぬ振りをしているなどとは」
「いいんだよ、所詮悪魔のお前には分からないだろうさ」
「分かりたくもない」
「でもそのカジュのおかげであなた達が助かったって事忘れないで欲しいわ」
カジュがまるで声色でも使ったこのように甲高い声が部屋に響いた。
もちろんカジュではない。また溜息と供に立ち上がったカジュが、窓を勢いよく開けるとよく知る小さい姿が美しいポージングで浮いていた。
「スキュート、立ち聞きなんて悪趣味なことするな」
「あーら、良いじゃない! この二人はカジュのことちゃんと知っておくべきだわ」
「必要ない」
「だって使い魔なんでしょ?」
「マクリルのな、しかも普段は封じてあって、必要な時に呼び出すようにしているんだ」
スキュートに言った台詞に反応したのはフォレストだった。
「は? なんだそれ。俺達は今ここにいるだろう」
面倒臭そうにしながら仕方なく部屋の中にスキュートを招くと、その後ろにもう数匹精霊が入ってきた。
それはもういつものことなので、カジュは何も言わずついでにいつものことなので精霊達に出すためのお茶を入れる用意をし始めた。それを見てリリーも元気よく立ち上がりカジュの手伝いを買って出て、またカジュに溜息を吐かせていた。
そうしながらフォレストの質問を流さずに答えた。
「それじゃ偽マクリルたちが困るだろう、いきなり噂に名高い悪魔を二人も用意できないマクリル達もいるんだ。噂は始めにできるだけ簡潔に重要なことだけを流さないと、どうせどっかで尾ひれや絵ひれが付いちまうんだから」
「じゃあ何か、偽者のために新しく嘘の噂を流してるのか?」
「軍に頼めば簡単だ、しかも今回のは軍にとっても有益な噂だからな、嬉々として回してるはずだ」
「なるほどな、大魔道士が更なる力を手に入れたと言いまわれるということか」
「自分で更なる力とか言っちゃう使い魔もどうかと思うがな」
カジュのツッコミに精霊達はきゃっきゃと大笑いしてフォレストに強烈に睨まれるが、それを精霊たちが気にすることは無かった。
それを見ながらカジュは不意に不思議だなーとしみじみ思っていた。
ほんの数ヶ月前まで、この家にいた悪魔達に様々な嫌悪の感情を持っていた精霊たちが、この家で仲良くとは言えないかも知れないがそれなりに和気藹々としている姿がある。
さらにその数ヶ月前にはこの家で煩いのはたまに精霊たちが冷やかしに来たときだけで、それ以外会話らしい会話がない静かな場所だった。
それはとてもカジュに穏やかで和やかな日々をもたらしてくれる心地良い場所だった。
しかし、今だって別に居心地の悪さはない。意外にも自分が変化に寛容であったことが驚きだったが、カジュはその自分の新しい側面をも簡単に受け入れた。
カジュは初めから何でも受け入れる土台をもっていたのだ。
それはきっとそう育てられたからだとなぜかそれだけは自信を持って言えた。むしろそれしか確信を持って言えることは無かった。
それが軍にくる以前の家庭がもたらしてくれたものだということもだ。
あの時聞こえた声は母の言葉だったのか、祖母の言葉だったのか、どんな場面で言われた台詞なのかは定かではない。
ただ“カジュ”と呼びかけられたことは確かで、それが自分の名であることだけははっきりと理解した。マクリルと呼ばれることに違和感はないが、体の表面を流れていくような感覚で名前に馴染んでいない自分がいた。それが、その名には思わず体が反応してしまう機動力のようなものがあった。一瞬で分かってしまったのだ。
名というものにはそれだけの力があるとカジュ自身が知った瞬間でもあった。
だからこそ、フォレストにもリリーにも適当な名前に拘ったのだ。
それでもカジュは二人を見放すことができなかった。
「それって二人の姿が自分に重なったからじゃない?」
カジュの感情を読んだようなスキュートの言葉にカジュはハッと我に返った。だが、その言葉はリリーの問いに対する返事だったようで会話はカジュ抜きで進んでいく。
「重なる? なんで? カジュとリリーたちは全然違うよ」
「ほら、ドラゴンを助けたとき、完全に人間の敵になっていたらカジュも追われる身になってたわけだし、そうなれば二人と違わなかったはずだわ」
「だから助けたのか」
勝手に導いた答えで話が終わりそうになり、カジュは急いで訂正を入れた。
「違う違う、仕方なくだ。お前らを殺した時の不利益より、生かしておく面倒の方が楽だっただけだ」
「そうかしら、自分の傍にいると国に利用させるからって一回突き放したのは誰だっけ?」
「俺は別に国に利用されているわけじゃねーよ、できるだけ楽に生きたいだけだ」
「そうかしら」
「そうなの! ほらフォレストとリリーちゃっちゃと働け。んでスキュートたちはさっさと帰れ」
「はあーい」
精霊達はそう言いながらカジュにあれこれ薬の依頼や薬草の情報をかしましくたっぷり話してから帰っていった。
一息ついたカジュに食事の準備に取り掛かっていたフォレストは唐突に尋ねた。
「それでお前は本当に良いのか?」
何が、とカジュは聞かなかった。
そして暫く考えた。突っ立ったまま腰に手を当て上を見上げたり、つま先を睨んだりしながら。
そして大げさなほど胸を張って、カジュの答えを黙って待っていたフォレストその後ろで同じく黙ったまま不安そうにフォレストのシャツの裾を握ってカジュを見つめるリリーに、堂々と言い放った。
「俺を全うに育てた親達にこの国は感謝すべきだな」
一瞬戸惑ったためフォレストの言葉はすぐに出てこなかった。思わず振り返りリリーの反応も確かめるが、リリーもあっさり首をかしげる。
仕方なくカジュに向き直ると、カジュはもう鼻も高々に仁王立ちでドンと構えたままだった。
「…………どういう意味だ?」
漸くそれだけ聞けた時、意味も無くフォレストは肩の力が入っていたことに気が付いた。
カジュはそんなフォレストの様も、リリーの無垢なきょとんとした顔もスルーっと音がしそうなほど気に留めずに言いたいことだけ言う。
「三つ子の魂百までって事だ。なんでもぜーんぶ大事にしなさいってさ、簡単に捨てるような人にはなりなさんなってのが我が家の教えだったんだよ」
「それがなんだ」
「だから面倒だからって全部壊してしまわない」
「お前にはその力があるのにか」
「そう、俺にはその力がある、ただそれだけのことだ。どう使うかは俺の自由だからな」
あはははーと高笑いしたカジュに、自棄になったフォレストも付き合い苦笑いだ。それを見てリリーは当然一緒に楽しそうに笑う。
そして馬鹿馬鹿しくなったカジュが平常のテンションで食事の準備を再開させた。
三人で広くは無い部屋であれこれするなか、カジュは思い出して二人に気付かれぬようクスッと笑った。
“カジュはなんでもできる、だから簡単に諦めるな”
単純で簡単な言葉。幼い子どもにならきっとどんな親でも言うだろう。それは我が子の未来と可能性を信じているからだ。
そんなどこででも聞けそうな言葉がカジュを、もしかしたら世界をも救ったのかもしれない。
カジュは自分の単純さに少し笑ってしまった。
それでも世界のどこかに自分をそんな風に信じてくれている人がいるということが、その時のカジュには大切なことだった。
だから竜も、そして悪魔達も手元に置くことにした。自分で守っていこうと決めた。
いまだ自分の存在が一番危ういと感じているカジュは、それでも毎日楽しく生きていこうと決めている。
そのためには面倒も避けたいし、楽もしたい。
誰かのために使う力はできるだけ少なく、それでもやっぱり最後は見捨てられない。
「俺ってホント難儀な性格」
「俺もそう思うぞ」
「リリーも!」
「うっさい!! 俺の独り言を聞くなーーー」
森では精霊たちが騒がしく、そして今は家でも静かではなくなったが、カジュはそれなりに楽しく新しい生活を送りはじめた。
おしまい
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