全部欲しい満足

nano ひにゃ

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サード3

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「は、はぁ……」
「じゃあ次はこれな」

 箱から出したバイブを泉水に見せる。
 もう抵抗する気はなくなっていたので、泉水はされるがままだ。
 泉水の膝をもって胸に付くほど脚を広げさせる。縛られて手が出せないので抱えることはできない。それをもちろん分かっている國実は枕を腰の下にいれ、足の重みで自然と腰が高く上がるようになった。
 だがそのせいで泉水から國実の顔がよく見えなくなってしまった。

「腰が浮くと背中に回した腕も少し楽になるだろ、それでだ俺はお前のご主人様になる気はないが、恋人にならなってもいいと思ってるんだ」

 言いながら泉水の秘所を解しにかかる。たっぷりのオイルでするりと入ってくる指の感覚に泉水は軽く身震いした。

「そうなるとお互いの妥協点ってのを見つけないとダメだろう、そのための三ヶ月だ」

 すぐに受け入れ態勢の整う泉水の体に國実の指の数もためらいなく増やさせていく。

「でもな一方がその場限りで繕ったりしたら、その判断ができなくなるだろ」

 さほど太くはないバイブを泉水にゆっくりと挿入した。。

「あぁーーんんん」

 それまで必死に國実の言葉を聞きたくて声を殺していたが、ゆっくりとだが根元まで一気に入れられたことでそれもできなくなった。
 数度抜き差しを繰り返されると、それは泉水の体に馴染んでいった。
 そのため泉水も一呼吸置けると思ったとき、それを察した國実は容赦なくスイッチをいれた。

「いっあぁああ、ぃやだあぁぁッ」

 もちろん痛みなどなく、やってくるのは快楽の波だけだが、動きの激しさが売りのそれは泉水の中で強く存在を主張する。
 顔も見えず話もしなくなった國実を感じたいと思うのに余裕がない。
 自分で選び買ったものなのに思わず憎くなってしまう。
 國実は黙ったまま確かめてあった数あるボタンを駆使してまたも泉水を上り詰めさせる。

「あっあっぁああーい……いっちゃ……イッても……いい、ぁ…ですか……」

 國実の返事はない。
 こうなると泉水はおのずと我慢してしまう。体の中をいくつものパターンで動き、飽きさせない刺激がそこから伝わってくる。
 それは全部國実がしていること。そう思うと心まで痺れるように気持ちいい。
 しばらくそうしていると、國実がバイブから手を放した。
 動きが定まらなくなったが激しい動作のまま泉水の中にある。その違和感でそれを察した泉水は見えない國実を探すように視線を彷徨わせた。
 すると泉水に覆いかぶさるように國実はやってきて泉水の顔の両側に手を付いた。

「シャツ着たままってのもなかなかだな」
 
 縛られている間、直接縄が肌にすれないようにという國実の配慮だろうと泉水は思っていた。泉水にはその手の配慮は要らないと分かっているだろうが、それが國実のやり方なのだ。
 だがそれが良いといわれると少し意味合いが違ってくる気がした。
 具体的に何が違うのか、上手く説明はできないと思いはしたが、泉水には嬉しいことだった。

「イけ」

 國実の腕の距離で見つめられながら泉水はイッた。
 一度目は國実の手の中だったが、今度は覆うものも支えるものもなかったので着ていたシャツに綺麗に飛び散っていた。そして泉水の上にいた國実にも。
 それには気にした様子もなく泉水の中で動き続けるそれを回収すると、縄も解き始めた。

「痺れてるか?」
「……少しだけ」

 開放された手を確認するように摩るのは泉水の癖のようなものだ。さすがにずっと同じ姿勢でいたので無害というわけにはいかなかったが、その気だるさも好きな泉水だ。
 並んでベッドに座りながら國実はその様子を眺めていた。

「なあ泉水」
「はい」

 やっとまともに話ができる、泉水は國実と向き合った。
 早く終われば良いとは全く思わなかったが、プレイより気になることがあるのも初めてのことだ。もっと痛く、酷くと願っていた頃とは何もかも違う。
 泉水には大したことではないはずなのに気がそれるどころか快楽が泉水を襲い、いつもままならない。
 痛みもない、欲しいと思っていた相手のぬくもりも感じない、セックスでもない。それなのに泉水は國実にはまっていく。

「俺が言いたいこと分かったか?」
「……ごめんなさい……」

 話は聞いていた。集中はできなかったが、言葉は耳に入ってきていた。
 それでも何度も言われたことだとだけしか理解できなかった泉水は素直に乞うた。

「教えてください」
「簡単だ。お前も俺を判断しろってことだ」
「え?」
「何を見て俺を好きだと言ったのかは分からないが、少なくともコミュニケーションはとってない。だからこれからお前が付き合っていける人間か見極めろ」
「……見極める?」
「お前は自分がそうされることばっかり気にしてるみたいだからな。俺といてつまらないとか、プレイも最後のセックスも物足りないと思ったら無理はするな。後々お互い辛いだけだ」

 泉水は國実を自分の趣味につき合わせていると思っていたので、意外なこと言われた気がした。

「無理も我慢もなし。だから何か俺にして欲しいことがあったら言え。できることはやってやるし、ダメならダメだとちゃんと言う。泉水もそうしろ」
「本当に?」
「当然だろ」

 少し躊躇ったが、泉水は本音を言った。

「……いっぱいしたいって言ったら?」

 今の泉水はそれしかない。
 理想の恋愛を思い浮かべてあれこれ考えてもいたが、今國実としたいことはそれなのだ。
 國実は嫌な顔など全くしなかった。

「付き合いたては誰でもがっつくもんだろうし、飽きるまでしたら他にもやりたいことが出てくるだろ」
「…………したいです」

 素直に言うと國実は次はどれにすると箱をいっぱい並べて見せた。
 それから思う存分遊んだ後はお互いシャワーですっきりし、二人で新しく換えたシーツのベッドで手を繋いで眠った。


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