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第二章
10−2
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自分の能力が煩わしくて、使わなければいつか無くなるかもしれないと、どこかで思っていた。
でも、認めてみたら意外と楽。
おかげて、オードリーに出会えた。生きるモコモコはやっぱり素晴らしい。なんて言ったら、オレの良さはそこだけかなんて突っ込まれそうだけど。本物のペンギンはフワフワではないらしいし、いつかまた会えたらいいななんて思う。
ちゃんと最後まで……。
あの物語の最後を僕は知らない。
でも、続きを作ることをを約束してくれた。だからオードリー達は消えないはずだ。
確認しなければ確定しないのだから、僕は存在する最後を敢えて確かめない事で、オードリー達に無限の可能性を残しておく。いつかまた出会えるように。
短い付き合いの友達を思っていたら、飛鳥が現れた。
リューのモデルはやっぱり飛鳥だった。性格の誤差は作者の創作らしく、顔も良くて性格も良い男はリアルさに欠けるという理由で性格を歪めて登場させたんだそうだ。リアルに存在している飛鳥がまさかその歪んだ性格を隠し持っているとこまでは想像できなかったようだけど、あの屋上でのことでもしかしたら気が付いたかな。
あと何とも言い難いのが、なんとノサのモデルは僕らしい。面識は全く無いけど、みなみちゃんが学校で話していたのを聞いて作ったキャラなんだって。なんか複雑な気分だ。強気で泣き虫な女の子って……。
やって来た飛鳥を無視していたが、反応がないことに痺れを切らした飛鳥の方から話しかけてきた。
「碧」
ちょっとばかし、落ち込みかけてたせいで、まさにノサの様に飛鳥への口調が強くなった。
「何だよ?」
でも、これって飛鳥に甘えてる証拠な気もしてますます癪に触る。
「結局誤魔化せたと思っているなら間違いだ。全部説明しろ」
「あー、言ってなかったっけ? マジ? いまさら?」
「いまさらだ」
その言葉の裏には僅か十日も経っていないことを昔のように言うなとバカにしているのがありありと見えた。
学校の屋上のことは、何もせずども風はやみ事態は終結した。みなみちゃんがやった確信はないがそうだと仮定するならば、本来そんな力ないから長くは持たなかったんだろう。
意識を失ったまま飛鳥に背負われて帰り、そしてやっぱり、何も覚えていなかった。
戸部眞美もショック療法になったのか、不可思議な体験をしたせいなのか、自殺を考えることはもうやめると言い、素直に家に帰り、その後あの物語の終わりを書き遂げたとケイコが嬉しそうに報告してきた。が、その様子が怪しかったから問い質すと、どうも城の廊下で会ったドラゴンを僕が倒したことですでに彼女の心理は安定したと言うのだ。
あの時、暴力的にならず、通じないと分かっていても言葉をかけ続けたらドラゴンの方から歩み寄ってきて、よく見なければ分からないが体の全体を覆う傷を見せてきた。僕的には近寄ってきた瞬間喰われると覚悟しただけに、その姿に安心するやら痛々しいやらで、できるだけの治療をしてやると、ドラゴンは道をあけてくれたのだけなんだけど……。
マジで斬りつけたりしなくて良かったー。そうしてたらどうなっていたことか……。
思わずケイコをド叱ってやったと、そう飛鳥にも話す。
「それで、お前は?」
「え?」
「お前が一時消えていたのは何故だ?」
「えーっと、深層心理がどうのって……面倒だな、ケイコ説明しろよ」
「あの変な奴まだいるのか」
「ちょっと前に帰ってきたんだ、ほらケイコ」
額に手をかざしてやると見る見るその姿が実体化していく。
「えぇー! 見えないって事にしてくれるって言ったのに!」
「みなみちゃんにはな」
「本当にいるとはな、それでどういう理由だ」
「……あんまり驚かれないのも悲しいなー」
メソメソとしながら、ケイコは説明した。
「人間には深層心理があって、それを覆うように自分で作った世界っていうのがあるんだ。その外に対外的な人格を形成してリアルと繋がってる。その自分で作った世界、自創世界を本人が認識してるかしてないかは個人で違う。今回のように自創世界を認識せずに作品としている人間もいるし、作品全てが自創世界に繋がってるってわけでもない」
あまり真面目に話すケイコの姿がどうしようもなく面白い上に、それを真剣に聞いている飛鳥がいることに違和感がすごい。飛鳥の性格からすると信用なんてするはずないのに。
笑うに笑えない状況を誤魔化すためにケイコの話に合いの手を入れた。
「つまり小説や絵本書いてたりする人間の意識に入ってもその世界観と同じ場所に行けるとは限らないってことらしい」
「音楽や絵画なんかも同じ事が言えるよ。でも多くの人の場合、そんな分かりやすくない。宇宙に放り出されるよりもっと酷い、四次元空間のようなものだと考えると一番分かりやすいかな」
「へー」
「へーって碧君、ちゃんと説明したでしょ?」
「なんか面倒臭そうだったから聞き流した」
「ちょっと、一番大事なことでしょ! これからそういう所にも行ってもらうんだから」
「お前また同じようなことしでかすつもりか!? どういうことだ?」
「あー、ちょっとな」
それこそ面倒だけど、仕方なくみなみちゃんのことを説明した。
みなみちゃんが元天使かどうかということは、上司様に確認してもらったのだが、『知りたかったら働け』と言ってきたので、まだ僕は働かされるらしい。
今のところの考えでは、みなみちゃんは人間としての意識と、無意識にある天使の記憶が融合できていないのだと思う。でも、ある部分では溶け合っているから、人間に対して不の感情を抱いているのかもしれない。天使でいれば感じることの無いもの。
でも全く違う原因かもしれない。確かなことはみなみちゃんは自分でも操作できない心を抱えていることだけ。
でも、みなみちゃんはみなみちゃんだ、僕の大事な姉だ。どんな理由であれ傷つけさせたりできないから、これからもやっぱり、アイツの命を受けたケイコに協力してしまうんだろうな。
はぁー。
「そういうことなら率先して取り組め」
飛鳥の言葉に思わずカチンとくる。
「人事だと思って。大体な、今回の事だって――」
「それで、碧がそこに行くことに何の意味があるんだ?」
当然の様に僕の言葉を遮ってケイコに話しかけてるし。
「……本当にマイペースだね。えっと、要するにこっちで言うストレスとかでその自創世界が壊れていくと人間はおかしな行動を始める。だから碧君にそれを修復してもらうの。今回は初級編ってことで比較的分かりやすい感じのところで、碧君が張り切ってくれるようにできるだけ身近な人にしたんだよ。でもみなみちゃんのことはボクも予想外だったけどね」
その時、部屋のドアが開いた。もちろん開けたのはみなみちゃんで、もとろんケイコの姿は彼女にも見える。
「「!!!!!」」
反応したのはもちろんケイコとみなみちゃん。ただ全く逆の反応で、さっと顔を青くしたのがケイコ、目を輝かせて頬を上気させたのはもちろん――。
「ケイコさん!! 来てこっち!」
触れることはできないはずなのに何故かケイコは逃げた。
「あ、あ、碧君! 助けてよ~」
どうやらかなりパニックになっているらしいケイコは本気で捕まらないようにビュンビュン飛び回るが、みなみちゃんも負けていない。もう少しで触れそうなほど華麗に追っている。
「ケイコ、頑張れ!」
「えぇー、酷いよ~、いやーーー」
部屋の中では分が悪いと思ったのか、開け放たれた入り口から飛び出していき、当然みなみちゃんも追いかけて行った。
「外に出るとまずいって理性は残ってるんだな」
今のケイコは誰にでも見えてしまうから、外に出たら危ないことぐらい判断がついたようだ。
でも僕から離れたらある程度で効力が切れるんだから外に出るのが実は手っ取り早い方法なんだけど、やっぱり万が一誰かに見られる可能性は低いほうがいい。
それともそんなことも分からないほど焦っているのか……。
どちらにしろ、ケイコがみなみちゃんに捕まることはないから心配無用だ。
「あれ、飛鳥追いかけないのか?」
「別に問題ないだろ」
それは僕が考えてる事と同じだからなのか、ケイコがみなみちゃんに遊ばれても良いってことなのか。
「それよりお前に聞きたいことがあったんだ」
「まだかよ」
「お前どうして俺から離れていかない?」
「ずいぶん傲慢な質問だな。お前の方が僕の傍にるんだろ」
「そうかもしれない」
やけにあっさり返されて、逆にこっちが戸惑ってしまう。いつに無く神妙な面持ちに思わず思っていたことを真剣に口に出した。
「お前に疑問を与えられるのが僕だけだからだろ?」
「…………お前に諭されるとムカつくな」
用は済んだとばかりに飛鳥はみなみちゃんの様子を見に出て行った。
飛鳥のやろー! せっかく真面目に考えてやった答えに、なんてことを言いやがるんだ。
少しムカムカしていたけど、リラックスしている自分に気が付いて思わず笑っていた。
これが日常。なんかやっともどってきた気がする少し前とは変わったけど、実は些細な変化だったのかもしれない。考えて逃避していた頃の不安なんか嘘のようだ。
世界には不思議なことが溢れてる。他人より見えるものが多くても知らないことがあるのだ。だから楽しいのさ。
今年こそは素敵なことがありますように。
あぁ、ロマンチックなままで止まっていられますように。
まだ行ってない初詣ではそう祈ろうと心に誓った、十五の冬の物語。
でも、認めてみたら意外と楽。
おかげて、オードリーに出会えた。生きるモコモコはやっぱり素晴らしい。なんて言ったら、オレの良さはそこだけかなんて突っ込まれそうだけど。本物のペンギンはフワフワではないらしいし、いつかまた会えたらいいななんて思う。
ちゃんと最後まで……。
あの物語の最後を僕は知らない。
でも、続きを作ることをを約束してくれた。だからオードリー達は消えないはずだ。
確認しなければ確定しないのだから、僕は存在する最後を敢えて確かめない事で、オードリー達に無限の可能性を残しておく。いつかまた出会えるように。
短い付き合いの友達を思っていたら、飛鳥が現れた。
リューのモデルはやっぱり飛鳥だった。性格の誤差は作者の創作らしく、顔も良くて性格も良い男はリアルさに欠けるという理由で性格を歪めて登場させたんだそうだ。リアルに存在している飛鳥がまさかその歪んだ性格を隠し持っているとこまでは想像できなかったようだけど、あの屋上でのことでもしかしたら気が付いたかな。
あと何とも言い難いのが、なんとノサのモデルは僕らしい。面識は全く無いけど、みなみちゃんが学校で話していたのを聞いて作ったキャラなんだって。なんか複雑な気分だ。強気で泣き虫な女の子って……。
やって来た飛鳥を無視していたが、反応がないことに痺れを切らした飛鳥の方から話しかけてきた。
「碧」
ちょっとばかし、落ち込みかけてたせいで、まさにノサの様に飛鳥への口調が強くなった。
「何だよ?」
でも、これって飛鳥に甘えてる証拠な気もしてますます癪に触る。
「結局誤魔化せたと思っているなら間違いだ。全部説明しろ」
「あー、言ってなかったっけ? マジ? いまさら?」
「いまさらだ」
その言葉の裏には僅か十日も経っていないことを昔のように言うなとバカにしているのがありありと見えた。
学校の屋上のことは、何もせずども風はやみ事態は終結した。みなみちゃんがやった確信はないがそうだと仮定するならば、本来そんな力ないから長くは持たなかったんだろう。
意識を失ったまま飛鳥に背負われて帰り、そしてやっぱり、何も覚えていなかった。
戸部眞美もショック療法になったのか、不可思議な体験をしたせいなのか、自殺を考えることはもうやめると言い、素直に家に帰り、その後あの物語の終わりを書き遂げたとケイコが嬉しそうに報告してきた。が、その様子が怪しかったから問い質すと、どうも城の廊下で会ったドラゴンを僕が倒したことですでに彼女の心理は安定したと言うのだ。
あの時、暴力的にならず、通じないと分かっていても言葉をかけ続けたらドラゴンの方から歩み寄ってきて、よく見なければ分からないが体の全体を覆う傷を見せてきた。僕的には近寄ってきた瞬間喰われると覚悟しただけに、その姿に安心するやら痛々しいやらで、できるだけの治療をしてやると、ドラゴンは道をあけてくれたのだけなんだけど……。
マジで斬りつけたりしなくて良かったー。そうしてたらどうなっていたことか……。
思わずケイコをド叱ってやったと、そう飛鳥にも話す。
「それで、お前は?」
「え?」
「お前が一時消えていたのは何故だ?」
「えーっと、深層心理がどうのって……面倒だな、ケイコ説明しろよ」
「あの変な奴まだいるのか」
「ちょっと前に帰ってきたんだ、ほらケイコ」
額に手をかざしてやると見る見るその姿が実体化していく。
「えぇー! 見えないって事にしてくれるって言ったのに!」
「みなみちゃんにはな」
「本当にいるとはな、それでどういう理由だ」
「……あんまり驚かれないのも悲しいなー」
メソメソとしながら、ケイコは説明した。
「人間には深層心理があって、それを覆うように自分で作った世界っていうのがあるんだ。その外に対外的な人格を形成してリアルと繋がってる。その自分で作った世界、自創世界を本人が認識してるかしてないかは個人で違う。今回のように自創世界を認識せずに作品としている人間もいるし、作品全てが自創世界に繋がってるってわけでもない」
あまり真面目に話すケイコの姿がどうしようもなく面白い上に、それを真剣に聞いている飛鳥がいることに違和感がすごい。飛鳥の性格からすると信用なんてするはずないのに。
笑うに笑えない状況を誤魔化すためにケイコの話に合いの手を入れた。
「つまり小説や絵本書いてたりする人間の意識に入ってもその世界観と同じ場所に行けるとは限らないってことらしい」
「音楽や絵画なんかも同じ事が言えるよ。でも多くの人の場合、そんな分かりやすくない。宇宙に放り出されるよりもっと酷い、四次元空間のようなものだと考えると一番分かりやすいかな」
「へー」
「へーって碧君、ちゃんと説明したでしょ?」
「なんか面倒臭そうだったから聞き流した」
「ちょっと、一番大事なことでしょ! これからそういう所にも行ってもらうんだから」
「お前また同じようなことしでかすつもりか!? どういうことだ?」
「あー、ちょっとな」
それこそ面倒だけど、仕方なくみなみちゃんのことを説明した。
みなみちゃんが元天使かどうかということは、上司様に確認してもらったのだが、『知りたかったら働け』と言ってきたので、まだ僕は働かされるらしい。
今のところの考えでは、みなみちゃんは人間としての意識と、無意識にある天使の記憶が融合できていないのだと思う。でも、ある部分では溶け合っているから、人間に対して不の感情を抱いているのかもしれない。天使でいれば感じることの無いもの。
でも全く違う原因かもしれない。確かなことはみなみちゃんは自分でも操作できない心を抱えていることだけ。
でも、みなみちゃんはみなみちゃんだ、僕の大事な姉だ。どんな理由であれ傷つけさせたりできないから、これからもやっぱり、アイツの命を受けたケイコに協力してしまうんだろうな。
はぁー。
「そういうことなら率先して取り組め」
飛鳥の言葉に思わずカチンとくる。
「人事だと思って。大体な、今回の事だって――」
「それで、碧がそこに行くことに何の意味があるんだ?」
当然の様に僕の言葉を遮ってケイコに話しかけてるし。
「……本当にマイペースだね。えっと、要するにこっちで言うストレスとかでその自創世界が壊れていくと人間はおかしな行動を始める。だから碧君にそれを修復してもらうの。今回は初級編ってことで比較的分かりやすい感じのところで、碧君が張り切ってくれるようにできるだけ身近な人にしたんだよ。でもみなみちゃんのことはボクも予想外だったけどね」
その時、部屋のドアが開いた。もちろん開けたのはみなみちゃんで、もとろんケイコの姿は彼女にも見える。
「「!!!!!」」
反応したのはもちろんケイコとみなみちゃん。ただ全く逆の反応で、さっと顔を青くしたのがケイコ、目を輝かせて頬を上気させたのはもちろん――。
「ケイコさん!! 来てこっち!」
触れることはできないはずなのに何故かケイコは逃げた。
「あ、あ、碧君! 助けてよ~」
どうやらかなりパニックになっているらしいケイコは本気で捕まらないようにビュンビュン飛び回るが、みなみちゃんも負けていない。もう少しで触れそうなほど華麗に追っている。
「ケイコ、頑張れ!」
「えぇー、酷いよ~、いやーーー」
部屋の中では分が悪いと思ったのか、開け放たれた入り口から飛び出していき、当然みなみちゃんも追いかけて行った。
「外に出るとまずいって理性は残ってるんだな」
今のケイコは誰にでも見えてしまうから、外に出たら危ないことぐらい判断がついたようだ。
でも僕から離れたらある程度で効力が切れるんだから外に出るのが実は手っ取り早い方法なんだけど、やっぱり万が一誰かに見られる可能性は低いほうがいい。
それともそんなことも分からないほど焦っているのか……。
どちらにしろ、ケイコがみなみちゃんに捕まることはないから心配無用だ。
「あれ、飛鳥追いかけないのか?」
「別に問題ないだろ」
それは僕が考えてる事と同じだからなのか、ケイコがみなみちゃんに遊ばれても良いってことなのか。
「それよりお前に聞きたいことがあったんだ」
「まだかよ」
「お前どうして俺から離れていかない?」
「ずいぶん傲慢な質問だな。お前の方が僕の傍にるんだろ」
「そうかもしれない」
やけにあっさり返されて、逆にこっちが戸惑ってしまう。いつに無く神妙な面持ちに思わず思っていたことを真剣に口に出した。
「お前に疑問を与えられるのが僕だけだからだろ?」
「…………お前に諭されるとムカつくな」
用は済んだとばかりに飛鳥はみなみちゃんの様子を見に出て行った。
飛鳥のやろー! せっかく真面目に考えてやった答えに、なんてことを言いやがるんだ。
少しムカムカしていたけど、リラックスしている自分に気が付いて思わず笑っていた。
これが日常。なんかやっともどってきた気がする少し前とは変わったけど、実は些細な変化だったのかもしれない。考えて逃避していた頃の不安なんか嘘のようだ。
世界には不思議なことが溢れてる。他人より見えるものが多くても知らないことがあるのだ。だから楽しいのさ。
今年こそは素敵なことがありますように。
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