げに美しきその心

コロンパン

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8章

お付き合い

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不慣れなもので、間違えて編集中の物を公開してしまって、おかしな事になったので前に上げていた話を一回削除して、新たに公開し直しました。
しおりを付けていて下さった方がいらっしゃたのですが、申し訳ございません。















「はぁ・・・。」

「あれ?ソニアさん。そんな所でどうされたんですか?」

扉の前で立ったまま動かないソニアを、通りかかったテーゼが声を掛ける。

「ああ、別に何でも無いですよ。ただこの中へ入るのが億劫だと思っていただけです。」

「この部屋・・・、シルヴィア様がいらっしゃるのですよね?
何なら私が代わりにお茶を持って行きましょうか?」

ソニアの持つティーセットを見て、部屋の中にシルヴィアが居る事を断定したテーゼは、
シルヴィアと少しでも話がしたいと考え、ソニアの代わりを名乗り出た。

「シルヴィア様だけなら、こんなに億劫にならないですよ。」

「あ・・・。レイフォード様も・・・ですよねぇ・・・。
そりゃあ、そうか。」

テーゼが気まずそうに話す。

「最近、シルヴィア様にべったりですしねぇ~。
人目とか気になさらずに、逆にこちらが気を遣う程ですものね。
以前のレイフォード様では考えられないですよ。
シルヴィア様以外の女性と居る時は、幾ら女性がくっついてきても無関心でしたもの。」

「初恋の様ですよ。遅い初恋。」

ソニアがさらりと言ってのける。
テーゼは一瞬思考が止まる。

「は・・・あ、・・・ええ!!・・・・。」

慌てて口を手で覆い、大声が出るのを防ぐ。
それでも信じられないのか、口元を手で隠したままソニアに目で何かを訴えかける。
ソニアも小さく溜息を零す。

「本当ですよ。あの年で漸く人を好きになったそうです。」

テーゼは手を離し、小声でソニアに言い寄る。

「ええ~?でも、あれだけ色々な女性と居たのに、そんな事ってあります?」

テーゼも思う所があったのだろう、自分の主に対して中々に辛辣だ。
ソニアは苦笑を浮かべた後、忌々しそうに語る。

「幾ら寄って来ても、無関心だったのでしょう?
感情無く相手をしていたという事ではないですか?
最低としか言えないですけどね。
その分、拗らせているから、シルヴィア様への反動が激しいのでは?
私に敵意剥き出しですから、苛立たしい事この上無い。」


テーゼも身に覚えがあるのか、腕組をして相槌を打つ。

「ああ~。シルヴィア様、ソニアさんの事大好きですもんね~。
レイフォード様、私にさえ睨んでいましたもの。」

テーゼはシルヴィアを見かけたら、直ぐに駆け寄る。
そして、今日お使いに行った所であった出来事や、使用人達の事など、世間話をシルヴィアと話す。

通常の貴族と使用人の関係ならまず考えられないが、シルヴィアがそれを歓迎したので、
使用人との距離が近い。

テーゼはこの屋敷の使用人の中では一番シルヴィアと近い存在と言えるだろう。ソニアを除いて。

テーゼはシルヴィアを敬愛しているし、シルヴィアもテーゼが大好きだ。


二人が仲良く談笑している所を頻繁に見かけるレイフォードは、
自分が見たことがないシルヴィアの表情をテーゼに見せているのが面白くない。
目についたら直ぐにシルヴィアに声を掛ける。

その際に、恨みがましい目でテーゼを睨んでしまうのは言うまでもない。


「本来はあんな風にお話なんて出来ない事は分かっているのですけど、何だか寂しいです。
これからもっとお話する機会が減るのだろうなと考えると。」

目線を地面に落としテーゼは呟く。
ソニアは慰める様にテーゼの肩をポンと叩く。

大丈夫だと言わんばかりに、テーゼはハンカチを取り出して明るく振る舞う。

「私にはこのハンカチがあります!
シルヴィア様から頂いたハンカチは私にとって宝物です。
このハンカチを見たら、あの時のシルヴィア様とお話した事が鮮明に思い出されます。
あの笑顔、声、仕草、全て。
初めてお会いして、お話して、シルヴィア様に一生仕えようと思いました。」

ソニアは穏やかな笑みを浮かべる。

「今度会った時に、そのまま伝えればいいですよ。
シルヴィア様、感激して泣いてしまうでしょうね。
それと・・・。」

ソニアはテーゼに耳打ちする。
テーゼはこれでもかと目を大きく見開く。

「ソニアさん・・・それ本当ですか・・・?」

ソニアは悪戯っぽく笑い、頷く。

「ええ。ですが、彼の後に、ですけれどね。」

テーゼは瞳が輝いてぶんぶんと縦に首を振る。

「はい!はい!それは勿論です!!」

「ははははは。良かったです。シルヴィア様、少し不安になっていましたからね。
余計な心配ですよとは言いましたけれど、これで不安も晴れるでしょう。」

ソニアはテーゼの言葉に声を上げて笑う。

「楽しみにしています!ってお伝えください!!
あ、でも急かしている訳では無いので、あくまでもシルヴィア様のペースでとお伝えください。」

「お伝えします。そろそろシルヴィア様が限界そうなので、行って来ますね。」

「はい!行ってらっしゃい!」

二人は微笑み合い、ソニアは部屋の中へ入っていった。

「わぁああ!!これは皆に知らせないと!
絶対に皆喜ぶわ!」

テーゼは焦る気持ちを抑えて、だが早足で使用人達の休憩室へ足を向けた。










「お茶をお持ちしました。」

ソニアの姿を確認した瞬間、シルヴィアの顔が輝く。

「!!!!!!ソニア!」

待っていたと言わんばかりの声に、
レイフォードの気持ちは下降する。

「そんなに嬉しそうにしなくてもいいだろう?」

幾分か低い声にシルヴィアは身を縮こまらせる。

「ご、ごめんなさい。つい・・・。」

レイフォードの膝の上のシルヴィアは、
どうしてもこの状態が耐えられそうにない。

ソニアが来てくれたらお茶を飲むからと、
脱出を図れると踏んだシルヴィアは、ソニアを待ち侘びていた。

そしてソニアが来た。
余りにも嬉しそうなシルヴィアにレイフォードがソニアを憎々し気に睨む。

ソニアはその睨みを歯牙にもかけず、レイフォードからシルヴィアを引き剥がす。

「ご当主。想いが通じて嬉しいのは分かりますが、暴走し過ぎではありませんかね?」

「ぼ、暴走してなど!」

図星なのか、言葉に詰まるレイフォード。

「シルヴィア様がお優しいのを良い事に、恋愛初心者のシルヴィア様をいきなり膝上に乗せるなんて、
暴走以外の何物でもないですよ。」

畳み掛ける様にソニアは捲くし立てるが、レイフォードも負けじと反論する。

「夫婦だったら、それくらい良いだろう!
父上はよく母上を乗せていたぞ!
それに手ずから菓子を母上に食べさせていたし。」

ダイオンを引き合いに出すレイフォード。
自分の知らぬ所で私生活を暴露されるダイオン。
後日、ジュードがそれを揶揄いの種にする事となる。

ソニアはわざとらしい溜息を吐いて、子供に諭すようにレイフォードに言う。

「そもそもの開始地点が貴方とは違うでしょうに。
ダイオン様とリズベル様は恋愛結婚と聞いています。
お二人の築き上げた結果で、今の関係となっているのです。
シルヴィア様は兎も角、ご当主は当初何をされていましたか?」

「そ、それは・・・。」

何も反論出来ないレイフォードは下を向く。

「今が開始地点なのですよ。
女性の扱いに慣れたご当主ならまだしも、シルヴィア様は慣れていないのですから、
もう少し配慮していただかないと。」

更に言い募るソニアにレイフォードは焦る。

「お、お前、シルヴィアの前で何を言っているのだ!
シルヴィア、違うからな?」

シルヴィアに弁明する様に近寄るが、シルヴィアは何か考え込んでいるのか、
レイフォードの声が聞こえていない。

「シル・・・ヴィア?」

レイフォードの絶望した声。
ソニアは鼻で笑い、シルヴィアに声を掛ける。

「シルヴィア様、戻って来てください。」

ソニアがシルヴィアの肩に触れると、パチンと夢から覚めたように、
シルヴィアは目の前のレイフォードと横にいるソニアを見比べる。

「ごめんなさい。
お義父様とリズ様が羨ましいなと思って、私とレイフォード様もそうなるにはどうしたらいいかを考えていましたの。」

純真な笑顔のシルヴィアに毒気を抜かれるソニアと脱力するレイフォード。

「な、何だ、そうだったのか。」

「シルヴィア様、流石というか、何と言うか。
まぁ、いいです。
お茶が冷めますのでお召し上がり下さい。」

ソニアが席へ促す。
シルヴィアは素直に応じる。

今度は対面で座るレイフォードとシルヴィア。
やはりこの方がシルヴィアの心が落ち着くのか、
終始笑顔でレイフォードを見ている。

(シルヴィアの言う通り、本当にどうしたら父上達の様な関係になれるのだろうか。)

レイフォードはシルヴィアの笑顔を見つめながら自問する。

「あのレイフォード様?」

遠慮がちにシルヴィアがレイフォードを呼ぶ。

「どうした?」

「私、考えてたのですが、仲良くなるにはもっと一緒にお話しをする時間を増やせば良いと思うのです。」

シルヴィアの言葉に思わず身を乗り出す。

「そう、だな!そうだ!」

(まさか、シルヴィアから?)

期待に胸を膨らませるレイフォード。
シルヴィアの紡ぐ言葉を待つ。

「今の様にお茶をしてお話をしたり、
お出掛けをしたりするのが良いと思うのです。」

「あ、ああ。」

少しずつ期待から外れていく。

「ですから、レイフォード様のご都合が合えばで良いのですが、色々な所へお出掛けをしませんか?」

「お出掛け・・・。」

シルヴィアは大きく頷く。

「ええ!お出掛けです。
この間、ソニアと街へお買い物に行ったのですが・・・。」

「ちょっと待ってくれ。」

レイフォードがシルヴィアの言葉を遮る。
そしてソニアへ厳しい目を向ける。

「聞いていないぞ、そんな事。」

ソニアはあっけらかんと言う。

「はい、申し上げてませんね。」

「何故!?」

「申し上げる程の出来事でも御座いませんでしたので。」

「いや、必要事項だろう!」

二人の言い合いにシルヴィアは不安気な表情を見せる。

「街へ行っては駄目でしたか・・・?」

ソニアへは強い叱責にも似た感情をぶつけていたレイフォードだが、シルヴィアの表情を見た途端、
態度が一変する。

「そんな事は無い。街へ行ってシルヴィアに何かあったのではないかと心配していただけだ。
シルヴィアが無事ならばそれでいい。」

シルヴィアは少し表情が翳る。

(やっぱり私はレイフォード様から頼りなく見えるのかしら・・・?
一人でお買い物も出来たし、お店の方ともお話もちゃんと出来たわ。
そうね、その事をレイフォード様にお伝えしたら、
レイフォード様も安心なさるわ。)

「シルヴィアどうした?」

またも無言になるシルヴィアの様子を窺うレイフォードに、シルヴィアは強い瞳で見つめる。

「レイフォード様!私、ちゃんとお買い物出来ましたわ!
お店の方ともちゃんとお話出来ましたし、
またお伺いすると、お約束もしました。
レイフォード様が心配してくださるのは嬉しいですけれど、それでも!
一人でも大丈夫だとレイフォード様に安心していただきたいのです!」

「店の者と約束?」

片眉を吊り上げるレイフォード。
それに気が付かずにシルヴィアは語る。

「はい!お花屋さんのテッドさんはとても親切にしてくださいました。
私の拙い説明でも希望したお花の苗を見つけて下さり、
また近い内に新しい苗を仕入れると仰っていたので、
それを見に行きたいのです。」

「ほう・・・。」

声も低くなっているレイフォードだが、それでもシルヴィアは気が付かない。
レイフォードに街での出来事を伝えたくて堪らないといった感じだ。

ソニアはシルヴィア自らが行動範囲を狭めている言動に溜息を吐かざるを得なかった。

「テッドさんとはお花以外も色々お話しました。
近くのパン屋さんのパンは美味しくて人気で、すぐ売り切れてしまうと聞きました。
どんな味なのでしょう?
レイフォード様と一緒に食べたいのですが・・・、あのレイフォード様?」

漸くレイフォードの様子がおかしい事に気が付いたシルヴィア。
レイフォードに近寄り、顔を覗き込む。

レイフォードに手をガッと掴まれる。
シルヴィアは反射的に手を引こうとしたが、強く握られて動かない。

「レイフォード様?」

声を掛けるが、反応がない。
目が合うと、その瞳は鈍い怒りを宿していた。

また、レイフォードを怒らせるような事をしたのか、シルヴィアは動揺する。
シルヴィアの怯えた瞳を見ながら、レイフォードは少し口角を上げて言う。

「そうだな、お互いを深く知るにはやはり話す事が大事だな。
シルヴィアが行ったという花屋も気になる。
明日にでも二人で出掛けるとしよう。
二人でな。」

レイフォードの言葉に表情が明るくなるシルヴィアは瞳を輝かせる。
先程までの怯えが全く嘘の様に消えた。

「本当ですか!?」

「ああ。パン屋にも行こう。」

シルヴィアの頬が紅潮する。

「ああ!レイフォード様、ありがとうございます!」

「いいさ。俺もシルヴィアと出掛けたいしな。」

穏やかに微笑むレイフォードだが、内心は静かな怒りが燻っていた。
自分の知らない所でまたシルヴィアを慕う者、男が増えたという事。
全くそれに気が付かないシルヴィアは仕方ないとして。

これ以上増えてもらっては困る。
牽制も兼ねてシルヴィアの誘いに乗る。

狭量だと言われても構わない。
シルヴィアを奪われる位なら。

「楽しみだな。」

シルヴィアは自分の妻だ、ちょっかいを出す事は許さないと周りに知らしめる事が。

「はい!!」

レイフォードと二人でお出掛けをする事が。

「・・・噛み合っていない。」


ぼそりと呟くソニア。
ああ、明日、街の人達は気の毒に。
ソニアは遠い目をするだけだった。


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