げに美しきその心

コロンパン

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8章

父の策略と夫の策略

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「シルヴィアの髪は手触りがいいな。」

「あ、ありがとうございます・・・。」

「この白い肌もとてもきめ細やかで美しい。」

「ひゃ・・・い。」

「うん?どうした?そんな可愛い声を出して?」

「・・・・・・あ、あの・・・・。」

「ん?」

「・・・!!・・・・・・・(ソ、ソニア・・・。どうしたらいいの・・・。)」

「また余所見をしているな。」

「ううう。申し訳ございません・・・。(助けてぇ!!ソニア!!)」

シルヴィアに助けを求められているソニアは主のお茶を取りに行った為に、此処には居ない。

タチアナの突然の襲来の後、食事まで時間があるのでお茶をしようと、
レイフォードがシルヴィアに提案した。

二つ返事で頷いたシルヴィアは、レイフォードと共に談話室へ。

例によって、レイフォードと対面する形でソファに座る。


「では、私はお茶のご用意を。」

ソニアが退室。

レイフォードはシルヴィアに分からないように小さく息を吐く。
当のシルヴィアは笑顔でレイフォードを見ている。
一緒にお茶をする事が出来るのが嬉しいという表情なのだろう。

(本当に一緒に居るだけで満足なのだな。
まぁ、俺は違うけれど。)

シルヴィアに微笑む。
シルヴィアもレイフォードに微笑み返す。
レイフォードが笑いかけてくれた!と満面の笑みだ。

レイフォードは笑みを浮かべたまま、立ち上がる。
シルヴィアは何処かに行くのだろうかと、自分も立ち上がる。

「ああ、いい。そのままで。」

レイフォードに制され、また腰を下ろすと同時に、レイフォードが自分の隣へ腰掛ける。
自分とレイフォードの間が全くと言っていいほど皆無である。
つまりは密着しているという事だ。

「レ、レイフォード様?」

「なんだ?」

レイフォードはたっぷりと色の乗った声でシルヴィアに応える。
その色香に当てられて、グッとシルヴィアは息を呑む。

「全く。俺がシルヴィアを好きだという事をまだ実感していないようだが、
慣れてもらわないと困る。(色々な意味で。)」

「うう・・・。申し訳ございません。」

「それもだ。」

シルヴィアの唇に指を当てる。
シルヴィアは忽ち頬が赤くなると同時に瞳も赤く変化する。

口を指で塞がれている為、言葉を発する事が出来ず、
シルヴィアは瞬きを繰り返して、どういう事かレイフォードに目で訴える。
レイフォードは指を離し、その指をシルヴィアの頬へ移動させ、擽る様に撫でる。

「他人行儀過ぎる。もっと気安い感じで俺と話してくれないか?」

更にシルヴィアの髪を指に絡ませる。
一連の動作がシルヴィアにはまだ刺激が強く、口をパクパクと動かすだけで、声が出ない。

「これでは、部屋を一緒にする事が出来ないじゃないか。」

レイフォードが苦笑する。
シルヴィアは我が耳を疑った。

「へ、部屋を一緒に・・・?どういう事ですか?」

驚愕の表情でレイフォードを見る。
それにレイフォードは当然だろうという顔でさらりと言い放つ。

「夫婦は部屋を一緒にするものだろう?
俺としては直ぐにでも一緒にしたかったのだが、シルヴィアに気持ちも告げてないのにそんな事をするのは、
避けるべきだと言われたのでな。」

「・・・・・・。」

シルヴィアは押し黙る。
瞳がどんどん蒼く変化する。

これにレイフォードが驚愕する。

(何故瞳が蒼くなる!?)

「嫌、なのか・・・?」

不安に駆られる。

「・・・あの・・・、夫婦は、一緒のお部屋なのですか?」

「うん?」

まさかの返答にレイフォードが聞き返す。

「お父様とお母様はお部屋が別々だったので、夫婦が一緒のお部屋であるという事を初めて聞きました。」

「・・・・そう来たか・・・。」

「え?」

「いや・・・・・、伯の用意周到さに驚いているだけだ。」

恐らくはジュードが純粋な娘の為に敢えて部屋を分けたのだろう。
部屋が別だとしても、就寝時は一緒である筈。

シルヴィアはその事については深く考えた事も無いだろう。
何せ純粋培養で育てられた鬼神の愛娘なのだから。

「・・・シルヴィアは好いた者同士が、愛を育む行為は知っているよな?」

回りくどく質問すると、シルヴィアはボボボと顔を赤くして小さく頷く。

「此処へ来る前に、お母様に教えて貰いました。」

レイフォードは安堵の息を漏らす。

「ですが、そういった行為をしない夫婦も居るという話もされて、
レイフォード様もそうなのだと、あの時に。」

ガンッとソファの縁に頭を打ち付けるレイフォード。
もうあの時の自分を殺してやりたくなる。

「レ、レイフォード様?」

シルヴィアが驚いて声を上げる。

「あの時の事は、本当に悪いと思っている。
あの使用人を連れて来た事も、シルヴィアに言った事も全て。」

顔を上げずにぼそぼそと話すレイフォードの肩にシルヴィアはそっと手を添える。

「レイフォード様、もう済んだ事です。
私は気にしていません。ケビンの事も連れて来て下さって、とても感謝しています。
彼が来てくれたおかげで、お庭が素晴らしい物になりました。」

「・・・・・・。」

「それにケビンは気遣いの出来る優しい子です。
私の話し相手にもなってくれました。」

「・・・・・・・。」

レイフォードが全く声を発していない事に気が付かずに話し続けるシルヴィア。
レイフォードの機嫌がどんどん急降下している事にも気が付かない。

「ケビンも此処のお屋敷の皆さんとの関係も良好ですし、
レイフォード様が気にされる事はありませんよ?」

小さく笑いながら、レイフォードを見る。
レイフォードの表情を見てびくりと肩が震える。
シルヴィアを射殺す様な勢いで睨み付けている。

(え?私、何かいけない事を言ったの?)

「なぁ、シルヴィア?」

「は、はい・・・。」

声がいつもより断然低いレイフォード。
そしてシルヴィアを更に自分へ引き寄せる。
抱き締めていると言ってもおかしくない。

「自分でもこんな感情を抱くのは初めてなのだが。」

「はい・・・。」

シルヴィアの髪の一房を手に取り、口付ける。

「俺は存外嫉妬深いらしい。シルヴィアが俺以外の男の話を楽しそうに話すのが耐えられない。」

口元は微笑んでいる様に見えるのに、目が全く笑っていない。
シルヴィアはゴクリと息を呑み込む。

金縛りの様に動けない。
レイフォードの瞳がシルヴィアを射抜いて離さない。

「ご、ごめん、なさ・・・。」

言葉に詰まりながらどうにか謝罪をしようとする。

「ああ、違うんだ。シルヴィアに怒っているという訳では無い。
俺がただシルヴィアの関心を惹く男が腹立たしいと思っているだけで、シルヴィアは悪くない。」

レイフォードは穏やかに話すが、依然として目が怒っている。
シルヴィアに怒っている訳では無いとは言うが、この状況。
一体どうすれば良いのか分からない。

「あ、あの、私はどうしたら良いのでしょうか。」

レイフォードが怒らないようにするにはどうしたらいいのか。
本人に聞くのが一番だとシルヴィアは恐る恐る聞いた。

レイフォードはシルヴィアの頬に手を添える。
今度は欲の孕んだ目でシルヴィアを見つめる。

「少しずつでいいから、俺との触れ合いに慣れてくれる?」

「ふ、触れ合い?」

シルヴィアは聞き返す。
レイフォードはシルヴィアを怖がらせないよう、優しい笑みを浮かべ、シルヴィアの耳元で囁く。

「そう。こんな触れ合い。」

シルヴィアの耳朶を軽く食む。
その初めての刺激にシルヴィアは耐えきれずに声を上げる。

「きゃあ!!」

一気に羞恥で瞳に涙が溜まる。
噛まれた耳を咄嗟に手で隠す。
そして、少し恨めしそうな瞳でレイフォードを見る。

「み、耳は噛む所じゃ無いと思います!」

(そんな、可愛い顔で睨まれても、逆に煽っているだけなのに、本当に可愛いな、シルヴィアは。)

シルヴィアの手を自分の手で包み込む。
シルヴィアにも分かるようにゆっくりとはっきりと告げる。

「夫婦の触れ合いではよくある事だ。
これくらいは軽い挨拶みたいな物だぞ。」

シルヴィアは驚き過ぎて、口がポカリと開く。

「う、そ。」

「嘘じゃないさ。」

「そんな、事はお母様は一言も・・・。」

苦笑混じりにレイフォードは話す。

「全てをなんて教えられないさ。」

「そ、それはそうですけれど。」

シルヴィアの手を自分へ引き寄せ、口付ける。

「これから俺が一つずつ教えてあげる。
だから、シルヴィアも慣れて?」

蠱惑的な笑みでシルヴィアを見る。
シルヴィアはもう呼吸するのが精一杯で、いつ意識を手離してもおかしくない。

「あ、わ、私。本当にこういう事は、分からなくて、レイフォード様が教えて下さるなら、が、頑張ります!」

息も絶え絶えにシルヴィアはレイフォードに言う。
レイフォードは獲物を捕らえた捕食者の様に目を細める。
だが、所作は宝物を扱う様に優しくシルヴィアを抱き締める。

「嬉しいよ、シルヴィア。
じゃあ、まずはこの距離に慣れていこう。」

「は、はい・・・。」

「少しずつ慣れて、早く部屋を一緒にしような。」

「・・・・・・。」

シルヴィアは答えない。

「シルヴィア?」

不思議に思ったレイフォードはシルヴィアの顔を覗き込む。
シルヴィアはレイフォードを弱々しくも見つめて言う。

「そ、れは・・・一緒ではないと駄目ですか?」

「・・・どうして?」

少しレイフォードの声が低くなる。

「私、どうしても恥ずかしくて・・・・。」

顔を手で覆うシルヴィア。

「だって、だって、私・・・・。
とても寝相が悪いのです!!!」

「は?」

「それに、寝言も!」

「あ、ああ。」

「寝ている時にレイフォード様を間違えて蹴ってしまうかもしれません!!」

「い、いや、それくらい構わないが・・・。」

どんどんシルヴィアが興奮していくのを宥めようとするが、シルヴィアは止まらない。
顔を手で覆ったまま、首をぶんぶんと横に振る。

「いいえ、駄目です!!レイフォード様を蹴ってしまうなんて、私には耐えれません!!
・・・でも、それよりももっと酷い事が・・・。」

「酷い事?」

手を離し、カタカタと小さく震えるシルヴィア。
それ程までにシルヴィアが恐れている事は何かとレイフォードはシルヴィアの言葉を待つ。

「私・・・、私・・・。
・・・・・・だれが・・・・・です。」

余りにも小さく零すシルヴィアの言葉が上手く聞き取れなかったレイフォード。

「シルヴィア?もう少し大きな声で言ってくれるか?」

シルヴィアの背中に手を添えて促す。
シルヴィアは羞恥で顔が赤く染まる。

「よ・・・が酷いのです。」

「済まない、やはり聞こえないのだ。もう一度言ってくれるか?」

顔は赤いままなのに、瞳が氷の海の様に真っ青なシルヴィアは、もう耐えられないとソファに突っ伏して、
大声で叫ぶ。

「私、私!涎が酷いのです!!!」

「・・・・・・涎・・・。」

「そうです!!もう、シーツに湖が出来る程なのです!
私、もうそんな醜態をレイフォード様に見られると思うと、とてもでは無いですが、一緒のお部屋なんて・・・。」

「・・・・・・・。」

またもレイフォードは無言だが、シルヴィアは気が付かない。

「ああ!もしイビキまでかいていたら、どうしましょう!!
寝ている時の事なんて分からないですもの!
レイフォード様を蹴って、大きいイビキや寝言で起こしてしまって、更には涎でレイフォード様のお洋服を濡らしてしまったら、もう私は・・・私は・・・!!」

「ふっ・・・・!!」

レイフォードは思わず吹き出す。

「ふ、くくくく。」

「レイフォード様?」

レイフォードの声にシルヴィアは体を起こす。

「ふ、す、済まない・・・。くくく。はははははは!!」

シルヴィアは何故笑われているのか分からず、呆然とレイフォードを見る。

「そんな事で、この世の終わりの様な顔をしていたのか。ははははは!!」

「そんな事!?レイフォード様!そんな事では無いのです!!
私は真剣に!!レイフォード様!笑わないでください!!」

何でレイフォードが笑っているのかを理解し、シルヴィアは憤慨する。

(もう!もう!好きな人にそんな姿を見られたくないのに!
何でそんなに笑うの!?)

まだ笑いが収まらないレイフォードに、シルヴィアの頬がどんどん膨らんでいく。
瞳は少しずつ朱に染まっていく。

まずいと感じたレイフォードは慌てる。

「済まない。シルヴィアが余りにも可愛い事を言うから。」

「そ、そんな事言ったつもりはありません!!」

プイとレイフォードから顔を背ける。
レイフォードは苦笑する。

「参ったな。本当に可愛いと思ったのにな。」

シルヴィアの体が小刻みに震える。
顔は背けたまま。
レイフォードは後ろから包み込むようにシルヴィアを抱き締める。

「!!!!」

身を硬くさせるシルヴィア。

「笑って済まない。でも、俺はシルヴィアが言った寝相、寝言だったか?イビキ。
あと、ふふっ。涎も全然気にしないから、大丈夫だ。
寧ろ、そんな無防備な姿を見せてくれる方が嬉しい。」

シルヴィアは目を大きく見開いて、レイフォードに振り返る。
思いの外レイフォードの顔が間近にあったので、直ぐに顔を戻す。

「そ、そんな。嬉しいだなんて・・・。」

「逆に聞くが、俺が寝相が酷くて、寝言もイビキも掻いて、尚且つ涎も酷かったら、
シルヴィアは俺に幻滅するか?愛想を尽かすか?」

シルヴィアは後ろを向いたまま首を横に振る。

「いいえ!レイフォード様はどんな姿でも素敵ですもの。
幻滅なんて・・・。」

「俺も同じだ。シルヴィアがどんな姿でも愛しく可愛いと思う。」

「あ・・・。」

ハッとするシルヴィア。

(あの時も、レイフォード様はそう仰っていた。)

「愛しい人の姿はどんな姿でも見ていたいものだよ。
可愛い顔も、おかしな顔も。全て。」

おずおずとレイフォードの方へ向き直るシルヴィア。
レイフォードは穏やかに微笑んでいる。

「だから、少しずつでいいから、俺に色々な姿のシルヴィアを見せてくれないか?」

シルヴィアは考える。
暫くの沈黙の後、口を開く。

「レイフォード様も・・・。レイフォード様も見せてくれますか?
レイフォード様の色々なお顔を私も見たいのです。」

シルヴィアはジッとレイフォードを見つめる。
緊張した様な面持ちでレイフォードの答えを待つ。

「ああ。」

短く答える。
シルヴィアは顔を緩める。
しかし直ぐに表情が曇る。

「でも、でも・・・お部屋を一緒にするのは、もう少しだけ待ってくれますか?
どうしても心の準備が必要で・・・。」

「構わないさ。だから、」

そう言ってシルヴィアの頬に手を添えて微笑む。

「少しずつ触れ合っていくのだろう?」

(いいさ。シルヴィアはずっと耐えてくれていた。
俺も彼女が俺に気を許してくれるまで耐えるさ。)

「ありがとう、ございます。」

桃色に染まる頬と瞳。
ゆるゆると口角を上げて、控えめに微笑むシルヴィアの笑顔にレイフォードは、
自我の欲求を抑制させた。

(彼女の笑顔を曇らせたくない。
その為なら自分の欲望なぞ、抑えてみせようじゃないか。)

そしてニヤリと笑い、シルヴィアにこう告げる。

「では、始めようか。」

「?・・・!!!??」

シルヴィアは首を傾げる。
レイフォードはシルヴィアを抱き上げて自身の膝の上へ。
混乱するシルヴィアを余所にレイフォードは悪戯っぽく言う。

「慣れていくのだろう?食事までこうしていようか。」

「え、ええええ!!??」






そして冒頭部に至る。














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