81 / 105
7章
折角帰って来たのに
しおりを挟む
「最悪だ・・・。本当に最悪だ。」
そうぼやいているのは、寝台で寝るレイフォード。
仕事の合間を縫って自分の屋敷を往復。
勿論削ったのは己の休息時間。
精神は休めたとしても、肉体はそうはいかない。
仕事を終了させ、屋敷に戻ったまでは良いが、そこからプツンと記憶が無くなった。
目が覚めたら、傍らにシルヴィアが泣き腫らした顔でレイフォードの手を握って眠っていた。
状況を把握出来なかった。
レイフォードはシルヴィアの目元にそっと触れる。
どれ程泣いていたのだろう。
痛ましい涙の痕を労わる様に撫でる。
ふ、とシルヴィアの瞳が開く。
「あ、いけない。眠ってしまっていた、わ・・・・。」
目の前のレイフォードを見て、言葉を失う。
大きく瞳を見開いたまま、レイフォードを見つめる。
レイフォードもシルヴィアを見つめ、少し控えめに声を掛ける。
「おはよう?シルヴィア。おはようでいいのか?」
窓を見る。
日が差し込んでいるので、朝で間違いないようだ。
「俺はどうして寝ているのだろう?
確か、仕事を終えて帰って来た所までは覚えているのだが・・・。」
いつまで経っても声の出ないシルヴィアを不思議に思い、もう一度シルヴィアの名を呼ぶ。
「シルヴィア?どうした?まだ寝ぼけて・・・・!!!!」
今度はレイフォードが言葉を失う。
シルヴィアの両目からポロポロと堰を切った様に涙が溢れ出ていた。
「な・・・!?シ、シル、ヴィア?何があった?
何故泣く?」
シルヴィアの涙は止まらない。
ボロボロ、ボロボロ。
「ふ・・・・。ううう・・・。」
嗚咽が漏れる。
レイフォードはもうどうしたら良いか分からずに、
思わずシルヴィアを抱き寄せる。
「ああ、泣かないでくれ。
一体どうした?」
シルヴィアの背中を撫でて落ち着かせようとする。
「レ、レイフォード、様・・・は、倒れられた、のです。」
言葉に詰まりながらシルヴィアは吐き出す。
「倒れたのか、俺は。」
レイフォードの腕の中でコクコクと頷くシルヴィア。
「お屋敷に、戻られた時、顔色がとても悪くて、」
「ああ・・・・。」
(4日間、まともに寝てなかったからな。それはそうなるか。)
ダイオンと自分の屋敷を夜中に往復、馬車の中で仮眠していたと言っても、
充分な睡眠は取れていなかったようだった。
「私、私、レイフォード様がもう、目を覚ます事が無いのかと思って、
悲しくて、とても悲しくて・・・。うううう・・・。」
レイフォードの服をぎゅっと握り締める。
涙が止まらないシルヴィアを、レイフォードも更に強く抱き締める。
安心させる様に、とても優しい声でシルヴィアに囁く。
「済まない。心配させてしまって。ただの寝不足だったんだ。
大分眠れたみたいだから、もう大丈夫だ。
だから、安心してくれ。」
「寝不足・・・?眠れなかったのですか?」
瞳に涙を溜めた顔でシルヴィアはレイフォードを見上げる。
「うっ・・・。」
(シルヴィア、その顔はマズイ。その顔は反則だ。)
自分の愛してやまない女性が腕の中に居て、
潤んだ瞳で(自分が泣かせているのだが)、自分を見上げている。
これで手を出さない男が居るだろうか?
理性が飛んで行きそうになる。
「レイフォード様?」
更に小首を傾げるシルヴィア。
「・・・・・。」
レイフォードは無言で耐える。
(耐えろ。耐えろ!今は駄目だ、今手を出したら、あの女に何を言われるか。
確実に殺される。というか、シルヴィアを連れて行かれる。
その方が死ぬより辛い。)
レイフォードが自問自答している間に、シルヴィアは段々と冷静になり、自分の今置かれている状況に気付く。
(ちょっと待って、今私・・・。レイフォード様に・・・・。
レイフォード様と・・・だ、だ、抱き合って!!!)
ガバッっとシルヴィアはレイフォードから離れる。
レイフォードは突然の事で、腕がそのままの状態で固まっている。
「あ、あ、あの、申し訳ございません・・・。
取り乱してしまって、レイフォード様にご迷惑をお掛けして・・・・。」
「い、いや。迷惑なんて思っていない。」
行き場を無くした手を、すっとシルヴィアの目尻へ。
今にも零れ落ちそうな涙の雫を指で掬う。
シルヴィアは一瞬何が起こったのか分からず、レイフォードの指先の自分の涙を見ていた。
「俺は、君を泣かせてばかりいるな。」
表情を曇らせたレイフォードにシルヴィアはふるふると首を横に振る。
「私が勝手に騒いでしまっただけなのです。
ソニアやゴードンは大丈夫だと言っていたのに、
私がもう少し落ち着いていたら。」
「シルヴィア・・・。」
「本当にもう大丈夫なのですか?
御気分が優れない事はありませんか?」
不安気な表情でシルヴィアはレイフォードの手を握る。
シルヴィアの手の温もりが心にまで伝わる様に感じた。
「大丈夫だ。」
シルヴィアの手を握り返す。
「・・・・良かった・・・。」
安堵の息を漏らすシルヴィアの瞳が漸く紫に戻る。
先程まではずっと青いままだった。
本当に安心した事が分かったレイフォードはもう大丈夫だと考え、
そして、植物園の外出を切り出した。
「なぁ、シルヴィア。
俺はもう大丈夫だから、植物園へ行こうかと思っているのだが・・・。」
シルヴィアの瞳が紅く変化していく。
レイフォードはシルヴィアが快諾してくれたと捉えた。が、
「まぁまぁ!レイフォード様!
何を仰っているのですか!?
たった今お目覚めになられたばかりなのに、
外出をなさるなんて駄目です!
あと2、3日はお休みになられないと。」
どうやらレイフォードの思いとは裏腹にシルヴィアは少し怒っているようだった。
レイフォードはシルヴィアの剣幕にたじろぐ。
「い、いやしかし、只の寝不足だから、体の方は何とも無いのだぞ?」
「駄目です!!お体は確実に疲労しているのです!
ちゃんとお休みになられなくてはいけません。」
シルヴィアは頑として譲らない。
「だが・・・。」
レイフォードも中々首を縦に振らない。
シルヴィアは握られたままの手にもう片方の手を添える。
「レイフォード様、外出はいつでも出来ます。
レイフォード様が植物園を楽しみにされている気持ち分かりますが、
少しくらいお休みになられても、植物は逃げる事はありませんわ。
だから、お願いです。
もう少しお休み下さい。」
本当にレイフォードの身を案じている。
レイフォードがこれ以上自分の我儘を言えば、シルヴィアは自分に幻滅するかもしれない。
そう考え、
「分かった。」
了承した。
シルヴィアはにっこりと笑い、立ち上がる。
「ゴードンにレイフォード様がお目覚めになられた事を、伝えてまいりますね。」
シルヴィアが部屋を出て直ぐ、レイフォードは勢い良く倒れ込む。
「最悪だ・・・。本当に最悪だ。」
本当ならば、もうシルヴィアに想いを告げていただろう。
自分の欲求に従った行動がこの結果を招いた。
誰を責める事も出来ない。
最悪だとゴードンが来るまで、レイフォードはずっとぼやき続けるのであった。
そうぼやいているのは、寝台で寝るレイフォード。
仕事の合間を縫って自分の屋敷を往復。
勿論削ったのは己の休息時間。
精神は休めたとしても、肉体はそうはいかない。
仕事を終了させ、屋敷に戻ったまでは良いが、そこからプツンと記憶が無くなった。
目が覚めたら、傍らにシルヴィアが泣き腫らした顔でレイフォードの手を握って眠っていた。
状況を把握出来なかった。
レイフォードはシルヴィアの目元にそっと触れる。
どれ程泣いていたのだろう。
痛ましい涙の痕を労わる様に撫でる。
ふ、とシルヴィアの瞳が開く。
「あ、いけない。眠ってしまっていた、わ・・・・。」
目の前のレイフォードを見て、言葉を失う。
大きく瞳を見開いたまま、レイフォードを見つめる。
レイフォードもシルヴィアを見つめ、少し控えめに声を掛ける。
「おはよう?シルヴィア。おはようでいいのか?」
窓を見る。
日が差し込んでいるので、朝で間違いないようだ。
「俺はどうして寝ているのだろう?
確か、仕事を終えて帰って来た所までは覚えているのだが・・・。」
いつまで経っても声の出ないシルヴィアを不思議に思い、もう一度シルヴィアの名を呼ぶ。
「シルヴィア?どうした?まだ寝ぼけて・・・・!!!!」
今度はレイフォードが言葉を失う。
シルヴィアの両目からポロポロと堰を切った様に涙が溢れ出ていた。
「な・・・!?シ、シル、ヴィア?何があった?
何故泣く?」
シルヴィアの涙は止まらない。
ボロボロ、ボロボロ。
「ふ・・・・。ううう・・・。」
嗚咽が漏れる。
レイフォードはもうどうしたら良いか分からずに、
思わずシルヴィアを抱き寄せる。
「ああ、泣かないでくれ。
一体どうした?」
シルヴィアの背中を撫でて落ち着かせようとする。
「レ、レイフォード、様・・・は、倒れられた、のです。」
言葉に詰まりながらシルヴィアは吐き出す。
「倒れたのか、俺は。」
レイフォードの腕の中でコクコクと頷くシルヴィア。
「お屋敷に、戻られた時、顔色がとても悪くて、」
「ああ・・・・。」
(4日間、まともに寝てなかったからな。それはそうなるか。)
ダイオンと自分の屋敷を夜中に往復、馬車の中で仮眠していたと言っても、
充分な睡眠は取れていなかったようだった。
「私、私、レイフォード様がもう、目を覚ます事が無いのかと思って、
悲しくて、とても悲しくて・・・。うううう・・・。」
レイフォードの服をぎゅっと握り締める。
涙が止まらないシルヴィアを、レイフォードも更に強く抱き締める。
安心させる様に、とても優しい声でシルヴィアに囁く。
「済まない。心配させてしまって。ただの寝不足だったんだ。
大分眠れたみたいだから、もう大丈夫だ。
だから、安心してくれ。」
「寝不足・・・?眠れなかったのですか?」
瞳に涙を溜めた顔でシルヴィアはレイフォードを見上げる。
「うっ・・・。」
(シルヴィア、その顔はマズイ。その顔は反則だ。)
自分の愛してやまない女性が腕の中に居て、
潤んだ瞳で(自分が泣かせているのだが)、自分を見上げている。
これで手を出さない男が居るだろうか?
理性が飛んで行きそうになる。
「レイフォード様?」
更に小首を傾げるシルヴィア。
「・・・・・。」
レイフォードは無言で耐える。
(耐えろ。耐えろ!今は駄目だ、今手を出したら、あの女に何を言われるか。
確実に殺される。というか、シルヴィアを連れて行かれる。
その方が死ぬより辛い。)
レイフォードが自問自答している間に、シルヴィアは段々と冷静になり、自分の今置かれている状況に気付く。
(ちょっと待って、今私・・・。レイフォード様に・・・・。
レイフォード様と・・・だ、だ、抱き合って!!!)
ガバッっとシルヴィアはレイフォードから離れる。
レイフォードは突然の事で、腕がそのままの状態で固まっている。
「あ、あ、あの、申し訳ございません・・・。
取り乱してしまって、レイフォード様にご迷惑をお掛けして・・・・。」
「い、いや。迷惑なんて思っていない。」
行き場を無くした手を、すっとシルヴィアの目尻へ。
今にも零れ落ちそうな涙の雫を指で掬う。
シルヴィアは一瞬何が起こったのか分からず、レイフォードの指先の自分の涙を見ていた。
「俺は、君を泣かせてばかりいるな。」
表情を曇らせたレイフォードにシルヴィアはふるふると首を横に振る。
「私が勝手に騒いでしまっただけなのです。
ソニアやゴードンは大丈夫だと言っていたのに、
私がもう少し落ち着いていたら。」
「シルヴィア・・・。」
「本当にもう大丈夫なのですか?
御気分が優れない事はありませんか?」
不安気な表情でシルヴィアはレイフォードの手を握る。
シルヴィアの手の温もりが心にまで伝わる様に感じた。
「大丈夫だ。」
シルヴィアの手を握り返す。
「・・・・良かった・・・。」
安堵の息を漏らすシルヴィアの瞳が漸く紫に戻る。
先程まではずっと青いままだった。
本当に安心した事が分かったレイフォードはもう大丈夫だと考え、
そして、植物園の外出を切り出した。
「なぁ、シルヴィア。
俺はもう大丈夫だから、植物園へ行こうかと思っているのだが・・・。」
シルヴィアの瞳が紅く変化していく。
レイフォードはシルヴィアが快諾してくれたと捉えた。が、
「まぁまぁ!レイフォード様!
何を仰っているのですか!?
たった今お目覚めになられたばかりなのに、
外出をなさるなんて駄目です!
あと2、3日はお休みになられないと。」
どうやらレイフォードの思いとは裏腹にシルヴィアは少し怒っているようだった。
レイフォードはシルヴィアの剣幕にたじろぐ。
「い、いやしかし、只の寝不足だから、体の方は何とも無いのだぞ?」
「駄目です!!お体は確実に疲労しているのです!
ちゃんとお休みになられなくてはいけません。」
シルヴィアは頑として譲らない。
「だが・・・。」
レイフォードも中々首を縦に振らない。
シルヴィアは握られたままの手にもう片方の手を添える。
「レイフォード様、外出はいつでも出来ます。
レイフォード様が植物園を楽しみにされている気持ち分かりますが、
少しくらいお休みになられても、植物は逃げる事はありませんわ。
だから、お願いです。
もう少しお休み下さい。」
本当にレイフォードの身を案じている。
レイフォードがこれ以上自分の我儘を言えば、シルヴィアは自分に幻滅するかもしれない。
そう考え、
「分かった。」
了承した。
シルヴィアはにっこりと笑い、立ち上がる。
「ゴードンにレイフォード様がお目覚めになられた事を、伝えてまいりますね。」
シルヴィアが部屋を出て直ぐ、レイフォードは勢い良く倒れ込む。
「最悪だ・・・。本当に最悪だ。」
本当ならば、もうシルヴィアに想いを告げていただろう。
自分の欲求に従った行動がこの結果を招いた。
誰を責める事も出来ない。
最悪だとゴードンが来るまで、レイフォードはずっとぼやき続けるのであった。
0
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説
旦那様、私は全てを知っているのですよ?
やぎや
恋愛
私の愛しい旦那様が、一緒にお茶をしようと誘ってくださいました。
普段食事も一緒にしないような仲ですのに、珍しいこと。
私はそれに応じました。
テラスへと行き、旦那様が引いてくださった椅子に座って、ティーセットを誰かが持ってきてくれるのを待ちました。
旦那がお話しするのは、日常のたわいもないこと。
………でも、旦那様? 脂汗をかいていましてよ……?
それに、可笑しな表情をしていらっしゃるわ。
私は侍女がティーセットを運んできた時、なぜ旦那様が可笑しな様子なのか、全てに気がつきました。
その侍女は、私が嫁入りする際についてきてもらった侍女。
ーーー旦那様と恋仲だと、噂されている、私の専属侍女。
旦那様はいつも菓子に手を付けませんので、大方私の好きな甘い菓子に毒でも入ってあるのでしょう。
…………それほどまでに、この子に入れ込んでいるのね。
馬鹿な旦那様。
でも、もう、いいわ……。
私は旦那様を愛しているから、騙されてあげる。
そうして私は菓子を口に入れた。
R15は保険です。
小説家になろう様にも投稿しております。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
妊娠した愛妾の暗殺を疑われたのは、心優しき正妃様でした。〜さよなら陛下。貴方の事を愛していた私はもういないの〜
五月ふう
恋愛
「アリス……!!君がロゼッタの食事に毒を入れたんだろ……?自分の『正妃』としての地位がそんなに大切なのか?!」
今日は正妃アリスの誕生日を祝うパーティ。園庭には正妃の誕生日を祝うため、大勢の貴族たちが集まっている。主役である正妃アリスは自ら料理を作り、皆にふるまっていた。
「私は……ロゼッタの食事に毒を入れていないわ。」
アリスは毅然とした表情を浮かべて、はっきりとした口調で答えた。
銀色の髪に、透き通った緑の瞳を持つアリス。22歳を迎えたアリスは、多くの国民に慕われている。
「でもロゼッタが倒れたのは……君が作った料理を食べた直後だ!アリス……君は嫉妬に狂って、ロゼッタを傷つけたんだ‼僕の最愛の人を‼」
「まだ……毒を盛られたと決まったわけじゃないでしょう?ロゼッタが単に貧血で倒れた可能性もあるし……。」
突如倒れたロゼッタは医務室に運ばれ、現在看護を受けている。
「いや違う!それまで愛らしく微笑んでいたロゼッタが、突然血を吐いて倒れたんだぞ‼君が食事に何かを仕込んだんだ‼」
「落ち着いて……レオ……。」
「ロゼッタだけでなく、僕たちの子供まで亡き者にするつもりだったのだな‼」
愛人ロゼッタがレオナルドの子供を妊娠したとわかったのは、つい一週間前のことだ。ロゼッタは下級貴族の娘であり、本来ならばレオナルドと結ばれる身分ではなかった。
だが、正妃アリスには子供がいない。ロゼッタの存在はスウェルド王家にとって、重要なものとなっていた。国王レオナルドは、アリスのことを信じようとしない。
正妃の地位を剥奪され、牢屋に入れられることを予期したアリスはーーーー。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる