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6章
既視感
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レイフォードが食事の度に、シルヴィアを部屋まで迎えに来る事が申し訳ないと思い、
もう大丈夫だからと伝えると、
悲しげな表情で、一緒に居たいだけだと懇願されて、
押し切られる形で今に至る。
今日は、レイフォードはダイオンの執務の手伝いで家を出ている。
久し振りにアンとテーゼも交えて、庭でお茶をする。
「シルヴィア様とお話出来て本当に嬉しいです!!」
テーゼが本当に嬉しそうに話す。
「本当に久し振りね。私も皆とお話出来て嬉しいわ。」
「ご当主がシルヴィア様を独り占めをしているから、皆様とのお話をする機会が減ってしまいましたね。」
ソニアがあっけらかんと言う。
テーゼは慌てる。
「ソ、ソニアさん!レイフォード様が聞いたら怒られますよ!!」
素知らぬ顔のソニア。
「・・・でも、ちょっとだけ、ちょっとだけですよ?
レイフォード様が羨ましいとは・・・・思っています。」
テーゼの言葉に、呆れ顔のアンは肩を竦める。
「貴女も怒られるわね。本当に。」
「だ、だって!シルヴィア様とお話・・・もっとしたいです・・もん。」
テーゼはシュンと肩を落とす。
「まぁ、私もシルヴィア様とお話したかったので、今この時間はとても嬉しいですけれど。」
アンもニヤリと笑う。
ソニアも悪い顔で笑う。
何だかシルヴィアは胸が一杯になり、顔が綻ぶ。
「ふふふ。皆大好き。」
「私達もシルヴィア様の事、大好きです!!」
四人で微笑み合う。
晩餐は、例によってレイフォードが迎えに来る。
食事中甘い蕩ける様な瞳でシルヴィアを見つめる。
シルヴィアはいつもながら、どうしようもなく恥ずかしい気持ちで食事をする。
「シルヴィア。」
「は、はい!!」
下を向いたまま食べ続けているので、急に声を掛けられてビクンと肩を震わす。
「シルヴィアはあの後、荷解きはしたのか?」
「え?あ?いいえ、まだですけれど・・・」
「そうか・・・。」
レイフォードは何か含みのある笑みを見せる。
「??」
それ以上レイフォードは何も言わなかった。
食事が終わり、レイフォードが部屋まで送ってくれた。
扉の前でレイフォードはシルヴィアの手を離さずにいる。
「レイフォード様?どうされたのですか?」
「ん?いや、シルヴィアはこの部屋気に入っているか?」
「はい!日差しも良いし、お庭も見えるので気に入っています。」
悲し気に眉根を寄せるレイフォード。
「俺の部屋の近くとかに来たいとかも無い?」
「え!?ええ!は、はい!いいえ!」
「ふっ!どっちだ?」
「はい、はい!行きたいです!」
顔を赤く染めて、シルヴィアは勢いよく返事をする。
レイフォードはそれに満足して微笑む。
「ふ。なら良かった。おやすみ、シルヴィア。」
「は、はい。おやすみなさいませ、レイフォード様・・・・。」
名残惜し気に手を離し、レイフォードは去って行った。
「な、何だったのかしら・・・。」
熱が冷めやらぬシルヴィアは、暫く部屋をウロウロ歩き回り考えるが、
ソニアにいい加減にして寝なさいと、叱られ就寝する。
「まさか、やっぱり出て行け、と言われてしまうのかしら・・・。」
不安な気持ちのまま瞼を閉じた。
(擽ったい。誰かが髪を触っているのかしら?
頬に髪の毛が当たって・・・。
ソニアなの?)
自分の髪を触られる感覚に、徐々に眠りから覚醒していくシルヴィア。
ゆるゆると目を開けると、
自分の髪を一房指に絡ませて遊んでいるレイフォードの姿があった。
何が起きているのか分からない。
(以前もこのような事があったような・・・。)
現実なのか、夢を見ているのか。
夢ならば、以前レイフォードが自分が寝ている時に部屋に訪れた時の夢なのか。
衝撃的な出来事だったが、今まで夢で見る事は無かった。
何故、今になって。
(どうしたら、この夢は覚めるのかしら?)
一度目を瞑る。
だが、やはり自分の髪を触られている感覚は続く。
意を決して目を開ける。
眼前にレイフォードの顔。
余りの出来事に固まるシルヴィア。
シルヴィアと目が合い、レイフォードはばつが悪そうな顔で離れる。
「(もう少しだったのに。)おはよう。シルヴィア。
よく眠れたか?」
何事も無かったかのように、レイフォードはシルヴィアに笑顔を向ける。
「お、おはよう、ございます・・・。」
(何!?何?また私何かしてしまったの?)
「レイフォード様、私また何か粗相をしてしまったのでしょうか?」
シルヴィアが恐る恐る聞くと、レイフォードはボフンとベッドに顔を埋める。
(シルヴィアの中で俺はどういうイメージになっているんだよ・・・。)
「妻の顔を見に来たら、駄目なのか?」
レイフォードは顔をシルヴィアの方へ少し上げ、少し拗ねて見せる。
シルヴィアはがばっと起き上がる。
「いいえ!何も駄目ではありません!!」
「そうか。じゃあ何も問題は無いな。」
コクコクと頷くシルヴィア。
レイフォードは弁明するかのように話す。
「一度目が明いたように見えたから、起きたのかと思って顔を覗き込んでしまって、
驚かせてしまったみたいだな。すまない。」
「だ、大丈夫です。」
(紛らわしい事をしてしまったのね、私。)
「申し訳ございません、レイフォード様。
ちょっと・・・。」
「ちょっと?」
「以前に居らっしゃった時の夢を見ていたのかと思いまして、少し混乱してしまいました。」
レイフォードはまたベッドに顔を埋める。
「あの時の自分を殴りたいよ。」
「レイフォード様?」
「何でもない。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
無言の時間が続く。
堪りかねてレイフォードが口を開く。
「もう、あんな事は二度としない。
だから、少しずつでいい、
俺はシルヴィアの笑顔が見たい。」
手を前で組み、祈る様な仕草のレイフォード。
「・・・・!!」
シルヴィアは一気にぶわっと顔が真っ赤になる。
組んだ腕の間からその様子を盗み見るレイフォードは、
シルヴィアの瞳が陽の感情の色に変わって行くのを見て安堵する。
何も言い出せないシルヴィアを良い事に、
シルヴィアの手を取り、指の腹で甲をそっと撫でる。
シルヴィアはもう真っ赤な顔で硬直するしか出来ない。
暫くシルヴィアの手を堪能した後で、
レイフォードがシルヴィアの反応を見ながら話す。
「あー、あのな、シルヴィア。
本当はシルヴィアに用があって、
今此処に居るのだが・・・。
シルヴィア、今から俺がする事を許してくれ。」
レイフォードは突然、何処に隠していたのか布を取り出し、シルヴィアの体を覆う。
シルヴィアは声を上げる間もなく、布に包まれる。
混乱の中、ふわりと体が宙に浮く感覚。
「少しだけ我慢してくれ。」
レイフォードはそう言うが、予想外過ぎて慌てる。
頭を振り、どうにか顔を出す。
更に混乱する。
レイフォードが自分を、横抱きにして歩いている。
しかも、部屋を既に出ていた。
廊下をレイフォードに所謂、お姫様抱っこをされて運ばれているというこの状況に、
とうとう耐えきれなくなり、
「え?え?えええええええええええ!!!!!!」
シルヴィアの混乱を極めた悲鳴が廊下に響き渡った。
もう大丈夫だからと伝えると、
悲しげな表情で、一緒に居たいだけだと懇願されて、
押し切られる形で今に至る。
今日は、レイフォードはダイオンの執務の手伝いで家を出ている。
久し振りにアンとテーゼも交えて、庭でお茶をする。
「シルヴィア様とお話出来て本当に嬉しいです!!」
テーゼが本当に嬉しそうに話す。
「本当に久し振りね。私も皆とお話出来て嬉しいわ。」
「ご当主がシルヴィア様を独り占めをしているから、皆様とのお話をする機会が減ってしまいましたね。」
ソニアがあっけらかんと言う。
テーゼは慌てる。
「ソ、ソニアさん!レイフォード様が聞いたら怒られますよ!!」
素知らぬ顔のソニア。
「・・・でも、ちょっとだけ、ちょっとだけですよ?
レイフォード様が羨ましいとは・・・・思っています。」
テーゼの言葉に、呆れ顔のアンは肩を竦める。
「貴女も怒られるわね。本当に。」
「だ、だって!シルヴィア様とお話・・・もっとしたいです・・もん。」
テーゼはシュンと肩を落とす。
「まぁ、私もシルヴィア様とお話したかったので、今この時間はとても嬉しいですけれど。」
アンもニヤリと笑う。
ソニアも悪い顔で笑う。
何だかシルヴィアは胸が一杯になり、顔が綻ぶ。
「ふふふ。皆大好き。」
「私達もシルヴィア様の事、大好きです!!」
四人で微笑み合う。
晩餐は、例によってレイフォードが迎えに来る。
食事中甘い蕩ける様な瞳でシルヴィアを見つめる。
シルヴィアはいつもながら、どうしようもなく恥ずかしい気持ちで食事をする。
「シルヴィア。」
「は、はい!!」
下を向いたまま食べ続けているので、急に声を掛けられてビクンと肩を震わす。
「シルヴィアはあの後、荷解きはしたのか?」
「え?あ?いいえ、まだですけれど・・・」
「そうか・・・。」
レイフォードは何か含みのある笑みを見せる。
「??」
それ以上レイフォードは何も言わなかった。
食事が終わり、レイフォードが部屋まで送ってくれた。
扉の前でレイフォードはシルヴィアの手を離さずにいる。
「レイフォード様?どうされたのですか?」
「ん?いや、シルヴィアはこの部屋気に入っているか?」
「はい!日差しも良いし、お庭も見えるので気に入っています。」
悲し気に眉根を寄せるレイフォード。
「俺の部屋の近くとかに来たいとかも無い?」
「え!?ええ!は、はい!いいえ!」
「ふっ!どっちだ?」
「はい、はい!行きたいです!」
顔を赤く染めて、シルヴィアは勢いよく返事をする。
レイフォードはそれに満足して微笑む。
「ふ。なら良かった。おやすみ、シルヴィア。」
「は、はい。おやすみなさいませ、レイフォード様・・・・。」
名残惜し気に手を離し、レイフォードは去って行った。
「な、何だったのかしら・・・。」
熱が冷めやらぬシルヴィアは、暫く部屋をウロウロ歩き回り考えるが、
ソニアにいい加減にして寝なさいと、叱られ就寝する。
「まさか、やっぱり出て行け、と言われてしまうのかしら・・・。」
不安な気持ちのまま瞼を閉じた。
(擽ったい。誰かが髪を触っているのかしら?
頬に髪の毛が当たって・・・。
ソニアなの?)
自分の髪を触られる感覚に、徐々に眠りから覚醒していくシルヴィア。
ゆるゆると目を開けると、
自分の髪を一房指に絡ませて遊んでいるレイフォードの姿があった。
何が起きているのか分からない。
(以前もこのような事があったような・・・。)
現実なのか、夢を見ているのか。
夢ならば、以前レイフォードが自分が寝ている時に部屋に訪れた時の夢なのか。
衝撃的な出来事だったが、今まで夢で見る事は無かった。
何故、今になって。
(どうしたら、この夢は覚めるのかしら?)
一度目を瞑る。
だが、やはり自分の髪を触られている感覚は続く。
意を決して目を開ける。
眼前にレイフォードの顔。
余りの出来事に固まるシルヴィア。
シルヴィアと目が合い、レイフォードはばつが悪そうな顔で離れる。
「(もう少しだったのに。)おはよう。シルヴィア。
よく眠れたか?」
何事も無かったかのように、レイフォードはシルヴィアに笑顔を向ける。
「お、おはよう、ございます・・・。」
(何!?何?また私何かしてしまったの?)
「レイフォード様、私また何か粗相をしてしまったのでしょうか?」
シルヴィアが恐る恐る聞くと、レイフォードはボフンとベッドに顔を埋める。
(シルヴィアの中で俺はどういうイメージになっているんだよ・・・。)
「妻の顔を見に来たら、駄目なのか?」
レイフォードは顔をシルヴィアの方へ少し上げ、少し拗ねて見せる。
シルヴィアはがばっと起き上がる。
「いいえ!何も駄目ではありません!!」
「そうか。じゃあ何も問題は無いな。」
コクコクと頷くシルヴィア。
レイフォードは弁明するかのように話す。
「一度目が明いたように見えたから、起きたのかと思って顔を覗き込んでしまって、
驚かせてしまったみたいだな。すまない。」
「だ、大丈夫です。」
(紛らわしい事をしてしまったのね、私。)
「申し訳ございません、レイフォード様。
ちょっと・・・。」
「ちょっと?」
「以前に居らっしゃった時の夢を見ていたのかと思いまして、少し混乱してしまいました。」
レイフォードはまたベッドに顔を埋める。
「あの時の自分を殴りたいよ。」
「レイフォード様?」
「何でもない。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
無言の時間が続く。
堪りかねてレイフォードが口を開く。
「もう、あんな事は二度としない。
だから、少しずつでいい、
俺はシルヴィアの笑顔が見たい。」
手を前で組み、祈る様な仕草のレイフォード。
「・・・・!!」
シルヴィアは一気にぶわっと顔が真っ赤になる。
組んだ腕の間からその様子を盗み見るレイフォードは、
シルヴィアの瞳が陽の感情の色に変わって行くのを見て安堵する。
何も言い出せないシルヴィアを良い事に、
シルヴィアの手を取り、指の腹で甲をそっと撫でる。
シルヴィアはもう真っ赤な顔で硬直するしか出来ない。
暫くシルヴィアの手を堪能した後で、
レイフォードがシルヴィアの反応を見ながら話す。
「あー、あのな、シルヴィア。
本当はシルヴィアに用があって、
今此処に居るのだが・・・。
シルヴィア、今から俺がする事を許してくれ。」
レイフォードは突然、何処に隠していたのか布を取り出し、シルヴィアの体を覆う。
シルヴィアは声を上げる間もなく、布に包まれる。
混乱の中、ふわりと体が宙に浮く感覚。
「少しだけ我慢してくれ。」
レイフォードはそう言うが、予想外過ぎて慌てる。
頭を振り、どうにか顔を出す。
更に混乱する。
レイフォードが自分を、横抱きにして歩いている。
しかも、部屋を既に出ていた。
廊下をレイフォードに所謂、お姫様抱っこをされて運ばれているというこの状況に、
とうとう耐えきれなくなり、
「え?え?えええええええええええ!!!!!!」
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