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なんて、可愛らしいの
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コーデリア様がそう告げて、辺りはシンと静まり返りました。
私もどうしたら良いのか分からず、彼女の頬に触れたまま、彼女を見つめていました。
お慕いしている。
今まで生きてきて初めて告げられた言葉です。
ましてやコーデリア様の様な可憐な女性に告げられるなんて。
何て可愛らしいのかしら。
林檎の様に熟れた頬、大きく潤んだ瞳は私を捕らえて離さない。
庇護欲を掻き立てる、殿方ならばそういう感情が芽生えるのでしょう。
今も小刻みに震える体は私の鼓動を早めるのです。
殿下、貴方もそうだったのですね。
彼女を見てそんな思いを抱くのは必然。
私の様な可愛くもない女にはそんな感情、露程も芽生えない。
また私の中の淀みが晴れていくようでした。
私を見てくれる方が居る。
こんなにも嬉しいなんて。
殿下と想い合いたい。
それと同時に渇望していた友人と言う存在を得る事が出来るかもしれない喜びに私は心震えました。
「・・・・嬉しい・・・・。」
心からの声。
「コーデリア様にそう思って頂けるなんて、とても嬉しい。」
コーデリア様が大きく瞳を見開きます。
口がパクパクと開いたり閉じたりしています。
そんな所も愛らしいのね。
私は、思わず声を出して笑ってしまいました。
「ふふふ。コーデリア様、本当にお可愛らしい。
ね、もしコーデリア様が宜しければ、またお話し相手になって下さいますか?」
殿下とのお時間も大切でしょうから、空いた時間でも良い、コーデリア様と親交を深めたいと思いました。
「ぜ、是非!是非!これから、いつでも、毎日でもお話しましょう!!」
「きゃ。」
私は小さい悲鳴を上げてしまいました。
だって、コーデリア様、私を抱き締められたのですもの。
突然の事で、私の声が出たのは当然でしょう?
友人、とまではいかないでしょうが、女性同士でもこんな触れ合いをしても大丈夫なのかしら。
そう思いましたが、私も嬉しくてされるがままでした。
でも、
「毎日、だなんて、コーデリア様のご都合もあるでしょう?
お暇な時で宜しいのですよ?」
殿下にも怒られてしまうもの。
私は未だ抱き締められたまま、コーデリア様にお話しました。
「いいえ!!いつでも暇なので私!!本当に毎日でも良いのです!!
あ、アイリーン様のご都合が悪ければ、我慢します・・・。
お嫌ですか?毎日なんて・・・。ご迷惑でしたか?」
ガバッと私から身を離したコーデリア様はとても早口で、私にお顔を近づけ懇願する様に私を見つめます。
そんな可愛らしいお顔を見せられては、否と言えないではないですか。
そもそも私には共に過ごす方が居ないのです。
都合が悪い時なんてありません。
寧ろ、コーデリア様、貴女の方が大丈夫なのかしら?
殿下はお許しになるの?
私が彼女を独占してはいけないのでは?
つらつら考えていると、コーデリア様の瞳が潤み始め、まるで遊んでとせがむ子犬の様に見えて来てしまい、失礼にも笑ってしまいました。
「迷惑だなんて、私の方こそ貴女を独り占めしてしまって良いのかしら?」
コーデリア様は呆けた表情をなさった後、一気に瞳が輝き、それは可憐な笑顔で大きく頷き、
「勿論です!!」
そう仰いました。
私はもう一人ではなくなったのね。
彼女と一緒に過ごす事を許されたのです。
惨めに過ごしていた学園での生活が薔薇色に色付く予感がしたのです。
「嬉しい・・・。」
また、つい言葉が零れてしまいました。
私は口を手で隠し、顔が熱くなりました。
嬉しい、ばかり口にするなんてどれだけ寂しい人間なのかと思われてしまうわ。
恥ずかしさから俯き、コーデリア様を下から見上げれば、何やら震えていらっしゃるようでした。
「ア、アイリーン様・・・。そのようなお顔は、決して殿方の前ではなさらないでくださいね?
アイリーン様が危険ですので。」
顔?何か変な顔をしたのでしょうか。
殿方には元より近づく事すらしていないので杞憂なのです。
でも、コーデリア様が私を思っての事なのでしょうから、きっと何か理由があるのでしょう。
私は了承の意を示しました。
「・・・・これは、殿下も大変だわ。」
彼女の呟きは、これからの楽しい学園生活を夢見る私の耳には聞こえなかったのです。
私もどうしたら良いのか分からず、彼女の頬に触れたまま、彼女を見つめていました。
お慕いしている。
今まで生きてきて初めて告げられた言葉です。
ましてやコーデリア様の様な可憐な女性に告げられるなんて。
何て可愛らしいのかしら。
林檎の様に熟れた頬、大きく潤んだ瞳は私を捕らえて離さない。
庇護欲を掻き立てる、殿方ならばそういう感情が芽生えるのでしょう。
今も小刻みに震える体は私の鼓動を早めるのです。
殿下、貴方もそうだったのですね。
彼女を見てそんな思いを抱くのは必然。
私の様な可愛くもない女にはそんな感情、露程も芽生えない。
また私の中の淀みが晴れていくようでした。
私を見てくれる方が居る。
こんなにも嬉しいなんて。
殿下と想い合いたい。
それと同時に渇望していた友人と言う存在を得る事が出来るかもしれない喜びに私は心震えました。
「・・・・嬉しい・・・・。」
心からの声。
「コーデリア様にそう思って頂けるなんて、とても嬉しい。」
コーデリア様が大きく瞳を見開きます。
口がパクパクと開いたり閉じたりしています。
そんな所も愛らしいのね。
私は、思わず声を出して笑ってしまいました。
「ふふふ。コーデリア様、本当にお可愛らしい。
ね、もしコーデリア様が宜しければ、またお話し相手になって下さいますか?」
殿下とのお時間も大切でしょうから、空いた時間でも良い、コーデリア様と親交を深めたいと思いました。
「ぜ、是非!是非!これから、いつでも、毎日でもお話しましょう!!」
「きゃ。」
私は小さい悲鳴を上げてしまいました。
だって、コーデリア様、私を抱き締められたのですもの。
突然の事で、私の声が出たのは当然でしょう?
友人、とまではいかないでしょうが、女性同士でもこんな触れ合いをしても大丈夫なのかしら。
そう思いましたが、私も嬉しくてされるがままでした。
でも、
「毎日、だなんて、コーデリア様のご都合もあるでしょう?
お暇な時で宜しいのですよ?」
殿下にも怒られてしまうもの。
私は未だ抱き締められたまま、コーデリア様にお話しました。
「いいえ!!いつでも暇なので私!!本当に毎日でも良いのです!!
あ、アイリーン様のご都合が悪ければ、我慢します・・・。
お嫌ですか?毎日なんて・・・。ご迷惑でしたか?」
ガバッと私から身を離したコーデリア様はとても早口で、私にお顔を近づけ懇願する様に私を見つめます。
そんな可愛らしいお顔を見せられては、否と言えないではないですか。
そもそも私には共に過ごす方が居ないのです。
都合が悪い時なんてありません。
寧ろ、コーデリア様、貴女の方が大丈夫なのかしら?
殿下はお許しになるの?
私が彼女を独占してはいけないのでは?
つらつら考えていると、コーデリア様の瞳が潤み始め、まるで遊んでとせがむ子犬の様に見えて来てしまい、失礼にも笑ってしまいました。
「迷惑だなんて、私の方こそ貴女を独り占めしてしまって良いのかしら?」
コーデリア様は呆けた表情をなさった後、一気に瞳が輝き、それは可憐な笑顔で大きく頷き、
「勿論です!!」
そう仰いました。
私はもう一人ではなくなったのね。
彼女と一緒に過ごす事を許されたのです。
惨めに過ごしていた学園での生活が薔薇色に色付く予感がしたのです。
「嬉しい・・・。」
また、つい言葉が零れてしまいました。
私は口を手で隠し、顔が熱くなりました。
嬉しい、ばかり口にするなんてどれだけ寂しい人間なのかと思われてしまうわ。
恥ずかしさから俯き、コーデリア様を下から見上げれば、何やら震えていらっしゃるようでした。
「ア、アイリーン様・・・。そのようなお顔は、決して殿方の前ではなさらないでくださいね?
アイリーン様が危険ですので。」
顔?何か変な顔をしたのでしょうか。
殿方には元より近づく事すらしていないので杞憂なのです。
でも、コーデリア様が私を思っての事なのでしょうから、きっと何か理由があるのでしょう。
私は了承の意を示しました。
「・・・・これは、殿下も大変だわ。」
彼女の呟きは、これからの楽しい学園生活を夢見る私の耳には聞こえなかったのです。
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