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言いたくなるよね?あのセリフ

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全く、何だってんだどいつもこいつも。
私が何をしたって言うんだ。

エンペラードラゴンの依頼完了をギルドに伝えた私は、マルティナさんの元へ歩みを進める。
その後ろを、誰だか知らない誰かが付いて来る。

いや、誰だよ。

私は後ろを振り返り、いや、誰かじゃない。
誰か達だった。
数人が私が振り向くと、だるまさんが転んだみたいに立ち止まる。

「・・・何か?」

怪訝な顔で彼等を見ると、お互いを見合わせて、肘を小突き合い誰が切り出すかを擦り付け合っているみたいだ。

おい、行けよ。
いや、お前が行けよ。
何でだよ、お前行けよ。

何だこれ。
私は気持ちが悪くて、彼等を撒く為に、足に強化魔法をかけてその場から飛び出した。
本当に飛び出した。

もう何十メートル位、飛び上がって逃げた。

地上でわちゃわちゃと何か喚いていたけど、無視無視。
屋根からマルティナさんの所に行くとしよう。

一度、やってみたかったのよね~。
アニメとかで観る、屋根を走るキャラクターがぴょんぴょん飛び渡るやつ。

強化魔法最高だ。
ひょいひょい飛びながら、マルティナさんを探す。





見つけた。セイさんと一緒だ。

「マ・・・・。」

呼びかけて、途中で止めて手近な物陰へ身を潜める。

私には分かる!!
これは、




甘ずっぺえ予感!!!

うえへへへへ。

セイさんも隅に置けねえなぁ。
ニヤニヤが止まんねぇよ。

後でセイさんを冷やかす為の材料になるなぁ。
私は物音を立てぬ様に息を殺す。


隠密、そう私は今隠密になるのだ!!

そんな下世話な忍びが潜んでいるとは知らない二人は、和やかなムードで会話をしている。


「ホント、デイヴィッドは抜けてるよな。」

「全くだ。まさか有り金全部持って行くなんてな。」

ん?デイヴィッドさんの話?

「まぁ、デイヴィッドらしいっちゃあ、らしいけどな。
何考えてるか分からん顔してるのに、実力はトップクラスだし。」

恐らく何も考えていないよ、それ。
何処か一点を見つめてると思って、何見てんのって尋ねたら、
え?って顔してくるし、
人が話をしてる時に、うん、うんって適当な相槌打ってるって思ったら、
「なぁ、新しく出来たラーメン屋なんだけど、結愛も大丈夫なチャーシューっぽいけど、今度の休み行ってみる?」
と全く私の話と関係無い自分の話ぶっ込んでくるからね。
「おい!私の話全く聞いてないじゃん!今そんな話してないよね?
ん、何々?鶏白湯の鶏チャーシュー?美味そうだな、是非とも行こう!」

って、私も全く気にしてないから、寧ろ慣れた。

ああ、あとアレだ。店員さんの話も聞かないのな。
店員さんが一生懸命料理の説明をしてくれてるのに、あの兄ちゃん店内の壁のシミ見てたからな。
「ねぇ、結愛、これ何に付けて食べるの?」
あっけらかんと聞いてくるから、
「え?これじゃね?」
って嘘教えたり・・・。

兎に角マイペースで、ボーっとしてる。
まぁ、私にはそんな彼が好きだったんだがね。

うがああああああ!!!
思い出したら、また胸が締め付けられるわ、こうもすれ違って腹立つわ!!!

いやいや、違う。
お二人さん、違うよね?
デイヴィッドさんのあるある話してるんじゃなくてさ、もっとこう、色っぽい話してるんじゃないの?

「で、デイヴィッドはいつ戻ってくんだ?」

「分からんね・・・。ちょっと薬取って来るって言ったっきりだよ。
何処まで取りに行ってんだか・・・。」

二人が長い溜息を吐く。
ええ~・・・。
あの人、そこまでマイウェイ極めちゃってんの!?
おかしいよね?
だってドラゴン討伐の途中だよね?
任務そっちのけでどっか行くって、アレだよね?
ちょっとしたアレ入ってるよね?

え?何?前世の病気引き継いでんの?
前の出来事を3秒で忘れるというアレを。
(敢えて言うが、正式な病気ではなく、性格、性質な物だ。)
自分の興味を引く事柄に一点集中で、今やってた事を忘れるというアレ。

今回は私がドラゴンを処理したからいいけど、どうするつもりだったのかね。
マルティナさんが心配だったのは分かるけど、うわぁ・・・心配になってきた。



「あ!!居た!!!」

「ミリアム様!!!」

やっべ!!!
追い付かれた!
私は二人の前に姿を現す。
二人は同じ様に唖然とした顔をする。
仲良いな、君達。

「え?ミリアムさん?」

「め、女神様、どうしたんですか?」

「マルティナさん、女神呼びは駄目、しかも敬語に戻ってます。」

いいか、次は無いぞ、これで2度目だからな?
という意味を込めた笑顔でマルティナさんに通告(脅す)。

「は、はいいいいいい!!」

マルティナさんが姿勢を正して敬礼する。
私は、大佐か。

「ミリアムさん、どうしたんだ?」

セイさんが全く気にする事無く、話し掛ける。

「いや、ちょっと。逃げてる途中で、貴方達の何やら青い春的な現場を目撃したもので、少し見学をしてたら、全くそんな雰囲気ではなく、デイヴィッドさんの話ばっかりしてるから、肩透かしを食らっていた所です。」

私がそう言うと、二人は林檎の様に顔を真っ赤に染めて慌てだす。

「ばっ!ばっか!ミリアムさん、な、なに、なにいって!!」

「そ、そ、そ、そうだ!ミミミミリアムさんは何を言ってるんだ!!」

その反応で二人が何かしらの想いを抱いているのは一目瞭然じゃないか。
やれやれ全く・・・。

「そんな狼狽えなくても、いいですよ。ミミミミリアムさんは、デイヴィッドさんの思い出話に浸れたので。」

「だ、だから・・・。「ミリアム様!!!」

セイさんが弁明しようとするのを遮って、私を追ってた人が叫ぶ。

もー、何だよー。
言いたい事があるなら、早く言えよー。
速攻断るからさー。

数人の男達は一斉に土下座をする。
そして

「「「「お願いします!!!俺達のパーティーに入って下さい!!!」」」」



「だが、こ・・・・。」


ウォッホン!!
駄目駄目。

「嫌です!!」



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