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そう言えば三人の名前知らないわ

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「ど、どうしたんだ。ミリアム?」

ナルシスト王子が、恐る恐る私に触れようとする手を、思いっ切り叩き落とす。


「触るな。」

びくりとナルシスト王子が体を震わせて、私を信じられない者を見る目つきで見つめる。
私は、ナルシスト王子にビシィと指差して

「いいか、お前、このナルシスト野郎。」

「ナ、ナルシスト野郎・・・?」

「ああ、そうだ。自分の事が大好きなお前にはぴったりな言葉だろ。
何回も、何回も、何回も婚約破棄してくれって言っているのに、
何の自信か分からんが、まだ国王に提出していないとか、
大概にしろよ?どんだけめでたいんだよ。
こっちは嫌だって言ってるんだよ!
いい加減分かってくれよ!」

「んで、そこのお前!」

脳筋にシフトチェンジする。

「お、俺か?」

爆笑していた脳筋が顔を強張らせる。

「ああ、そうだよ。脳筋男。」

「ののうきん??」

「お前みたいに、鍛える事しか頭に無い、馬鹿の事だよ!
言っておくがな、氷の令嬢はお断りだって言ってたが、
こっちこそ、脳筋男なんてお断りなんだよ!
暑苦しい!筋肉見せつけるかのように、はだけた服を着てくんな!
見たくも無いんだよ!
ボタンを閉めろ!馬鹿野郎!」

慌てて脳筋がボタンを閉める。
呆然としているインテリ眼鏡を見る。
インテリ眼鏡はしきりに眼鏡の位置を上下する。

「そこのインテリ眼鏡。」

「いんてり?私の事ですか・・・?」

「そうだよ。自分が頭良い事分かってんだろ?
出来る男なんだろうけど、そんな事どうでもいい。
頭が良い事をひけらかして、他人を見下してるのが丸分かりなんだよ。
腹黒!インテリ腹黒眼鏡!!
私は腹黒大嫌いなんだよ!
他人の性根云々言う前に、自分の性根を治しやがれ!!」

眼鏡が床にカシャンと落ちる。

そして、目の前のショタに目を向ける。
大きいお目々が震えている。

態とだろう?分かっているんだよ!!

「で、お前、ショタ。」

キョトンとした顔で首を傾げて私を見るショタ。

「そうだよ。自分が可愛いと分かってるんだろ?その仕草。
何歳ですか、この野郎。
いい年して、半ズボンとか勘弁してしてくれ。
私はショタコンじゃないんですよ。
そっちの趣味の女性に行ってくれ。
取り敢えず、その嘘泣きも止めろ。」


言い切った。
大分すっきりした。

ふうと呼吸を整えて、改めて四人を見る。
呆然と立ち尽くしている。


「さて、これで私の言いたい事は理解できたと思いますので、
お引き取り願えますか?」

反応がない。

「「「「・・・・。」」」」


私はすうと息を吸い込み、思いっ切り叫ぶ。




「さっさと帰れって言ってるんだよ!!!!男共!!!」


4人は私の怒号で、跳ね上がり、我先にと一目散に扉から走り去る。


残されたのは私一人。





騒ぎを聞きつけて、リリィちゃんが飛んで来た。


「ど、どうなさったのですか!?お嬢様!!」


私は至極冷静にリリィちゃんに伝える。

「何でもない。お客さん達が急用があって慌てて帰っただけだよ。
それより、リリィちゃん。」


「はい、お嬢様。」

「次からはあの、ナル、・・・第二王子とその友人三人が来ても、取り次がないでね。」


リリィちゃんは困惑気味だ。

「ええ!どうしてですか!?」

「私と第二王子は婚約を解消したのよ。」

「ええええええええええええええ!」

声でかいな。リリィちゃん。

「だから、第二王子と私は何の繋がりも無くなった。
もう会う必要も無い。」

「ですけど・・・。」

私はにっこり笑ってリリィちゃんに優しく諭す。

「私は、第二王子の事、好きでは無くなったの。
あちらも元々不本意だったから、お互い好都合だったの。
ね。お願いね。」


「・・・分かりました。」


渋々了承するリリィちゃん。


「さて、とお昼ご飯何~?」

すたすたと食堂へ向かう私。

あれだけ言ったんだから、もう私の事は諦めるだろう。
上機嫌な私は、あのイケメン達の諦めの悪さを甘く見ていた。


そして、彼等の性格さえも変えてしまった事も知らなかった。
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