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何故何故どうして?
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「やった!愛良、同じクラスだよ!」
萌香が私の手を握って喜ぶ。
「そうね、一緒のクラスね。」
私も知っていたが、本当に同じクラスになれたので安心した。
無意識に笑みが溢れたのか、萌香が可愛い!と言って私の手をぶんぶん縦に振る。
「愛良、僕も同じだよ、嬉しい?」
萌香の握っていた手を奪うように、私の手を蘇芳は握る。
もう片方の手で握り込むようにして、
首を傾げながら私に問い掛ける。
「う、嬉しいです・・・。」
イケメンの首傾げは反則でしょうが!
私がイケメンに弱いと分かってやってるから、
罪深い。
「あ!愛良ちゃーん!」
この軽薄な声は。
振り返ると手を上げて冷泉が緩やかな笑顔を浮かべて、此方へやって来る。
隣には鷺宮も居る。
「俺達も同じクラスだよ~。」
「鼻は大丈夫なのか?西園寺。」
「冷泉君もですか・・・。鷺宮君、大丈夫です。ハンカチありがとうございました。
また新しいハンカチをお持ちします。」
二人に向き直る。
「ちょっと!?俺の扱いぞんざいじゃない?」
「西園寺、気にしなくて良い。」
「いいえ、もう使い物にならない程汚れてしまったので、弁償しなくては。」
冷泉が何か言っているが、スルーして鷺宮と話す。
「愛良ちゃん?もしもーし。」
「弁償される程の物では無いから、大丈夫だ。」
「いえ!これは絶対にお返しします。」
「・・・蘇芳~、愛良ちゃんが無視するぅ~。」
冷泉が蘇芳に泣きついた。
「ちょっと、触らないでくれるかな?」
「酷い!!」
更に蘇芳に縋りつく。
何だ、このカオス。
「ぷっ・・・。」
萌香が吹き出す。
それに冷泉と鷺宮が反応する。
「あ~君はさっきの、草薙萌香ちゃん、だっけ?」
「あ、そうです。」
「俺は冷泉東矢だよ~。よろしくね~。」
「俺は鷺宮宗近だ。」
「よろしくお願いします。」
三人は自己紹介する。
私はその光景をじっと眺めている。
・・・・う~ん。三人の間にも色めいた雰囲気を感じない。
やっぱり、萌香は幼馴染の『たっくん』の事が好きだから、そういう気持ちが起きないのか。
「愛良、どうかした?」
「いいえ、何も。」
蘇芳が私の顔を覗き込む。
はぁ、イケメンのドアップ心臓に悪い。
「そ?早く教室に入ろう?」
手を引かれて教室に入った。
今日は入園式の後、自己紹介をして終わった。
さぁ、家に帰ろう。
荷物を纏めて帰り支度をする。
「愛良、帰ろう。」
蘇芳が私の机までやって来る。
「はい。」
蘇芳は中等部時代も毎日私の送り迎えをする。
今日は何か用事があったみたいだが、毎日だ。
ゲームでは一度も無かった。
何でだろうな。
じっと蘇芳の顔を見た。
私の視線に気付き、ニコリと微笑む。
「どうかした?」
王子様の微笑み。
悪役令嬢に向けられる事は無かった微笑み。
「蘇芳君は王子様の様だと皆さんが言っていましたが、本当に王子様みたいに優しいですね。」
「い、いきなりどうしたの!?」
顔を真っ赤にさせて蘇芳が動揺する。
「私の様な変な女と婚約して、破棄もせずに親切です。」
「何回も言ってるけど、破棄なんてしないからね?
婚約者に優しいのは当たり前でしょう?
誰彼構わず優しくないしね、僕は。」
顔が一瞬で真顔になる蘇芳。
「婚約破棄したら、俺と婚約しようね~。」
両肩にポンと手を置かれる。
冷泉がにこにこして言ってくる。
「丁重にお断りします。」
「早いな!」
「東矢、愛良の体に気軽に触れないでって言ったよね?」
「あいたたたた!痛い、蘇芳!ガチで痛いって!!」
東矢の手を思い切り抓る蘇芳。
こういう諍いを起こしているけど、実は二人は仲が良い。
冷泉が私に絡まなければ、蘇芳は普通に冷泉とよく行動している。
冷泉が私にちょっかいを掛けてくるのは、蘇芳に構って欲しいのかと私は思っている。
蘇芳が感情を出すのがこういう時だから、冷泉は楽しくて堪らないのだろう。
「本当に懲りないな、お前は。」
そうこうしていたら、鷺宮も来た。
鷺宮は結構一人で居るのが多い。
仲が悪い訳では無い。
文武両道な彼は空いている時間、鍛練やら勉強やらをしている真面目さんなのだ。
好青年とは彼の事を言うのだろう。
私が鷺宮を見ていたのに気づいて、鷺宮が首を傾げる。
「どうした、西園寺。」
「鷺宮君は紳士だなぁと思って。」
「・・・・。いきなりどうした。」
少しだけ頬を赤らめて顔を反らす。
「先程も私の鼻血に何の迷いも無くハンカチを渡して下さいましたし、
女生徒の方もよく噂しているのを耳にしました。」
この三人がモテるのは周知の事実だが、蘇芳には一応私という婚約者が居る。
冷泉は見た目通り、チャラい。
好青年の鷺宮はお手付きのいない優良物件。
放っておくわけがない。
だから、萌香が好きになるのなら鷺宮かと思ったけれど、
「愛良?何、公然と浮気してるの?
本当に油断も隙も無いな。」
「へ、え!?う、浮気?ど、どうして!?私、何もしてないですよ!?」
酷い言いがかりだ。
「宗近、愛良はこういう性格だから、」
「・・・分かっている、蘇芳。西園寺はこういう奴だ。」
「え?え?どういう事ですか!?」
「さ、帰ろう、愛良。行くよ。」
「え、ちょ、説明してください!」
蘇芳に強引に引っ張られて私は教室を出る。
「愛良!また明日ね!」
私達の横を颯爽と通り過ぎる萌香。
「萌香!さよなら!」
萌香は走りながら手を振る。
「愛良、今日、帰りに愛良の家にお邪魔するからね?」
「え、あ、はい。分かりました。」
何だか慌ただしい一日だったな。
私は蘇芳に引きずられる様に車に乗せられた。
はぁ、明日からどうなる事だろう。
流れる風景を窓越しにぼーっと眺めながら、
明日への不安を募らせるだけだった。
萌香が私の手を握って喜ぶ。
「そうね、一緒のクラスね。」
私も知っていたが、本当に同じクラスになれたので安心した。
無意識に笑みが溢れたのか、萌香が可愛い!と言って私の手をぶんぶん縦に振る。
「愛良、僕も同じだよ、嬉しい?」
萌香の握っていた手を奪うように、私の手を蘇芳は握る。
もう片方の手で握り込むようにして、
首を傾げながら私に問い掛ける。
「う、嬉しいです・・・。」
イケメンの首傾げは反則でしょうが!
私がイケメンに弱いと分かってやってるから、
罪深い。
「あ!愛良ちゃーん!」
この軽薄な声は。
振り返ると手を上げて冷泉が緩やかな笑顔を浮かべて、此方へやって来る。
隣には鷺宮も居る。
「俺達も同じクラスだよ~。」
「鼻は大丈夫なのか?西園寺。」
「冷泉君もですか・・・。鷺宮君、大丈夫です。ハンカチありがとうございました。
また新しいハンカチをお持ちします。」
二人に向き直る。
「ちょっと!?俺の扱いぞんざいじゃない?」
「西園寺、気にしなくて良い。」
「いいえ、もう使い物にならない程汚れてしまったので、弁償しなくては。」
冷泉が何か言っているが、スルーして鷺宮と話す。
「愛良ちゃん?もしもーし。」
「弁償される程の物では無いから、大丈夫だ。」
「いえ!これは絶対にお返しします。」
「・・・蘇芳~、愛良ちゃんが無視するぅ~。」
冷泉が蘇芳に泣きついた。
「ちょっと、触らないでくれるかな?」
「酷い!!」
更に蘇芳に縋りつく。
何だ、このカオス。
「ぷっ・・・。」
萌香が吹き出す。
それに冷泉と鷺宮が反応する。
「あ~君はさっきの、草薙萌香ちゃん、だっけ?」
「あ、そうです。」
「俺は冷泉東矢だよ~。よろしくね~。」
「俺は鷺宮宗近だ。」
「よろしくお願いします。」
三人は自己紹介する。
私はその光景をじっと眺めている。
・・・・う~ん。三人の間にも色めいた雰囲気を感じない。
やっぱり、萌香は幼馴染の『たっくん』の事が好きだから、そういう気持ちが起きないのか。
「愛良、どうかした?」
「いいえ、何も。」
蘇芳が私の顔を覗き込む。
はぁ、イケメンのドアップ心臓に悪い。
「そ?早く教室に入ろう?」
手を引かれて教室に入った。
今日は入園式の後、自己紹介をして終わった。
さぁ、家に帰ろう。
荷物を纏めて帰り支度をする。
「愛良、帰ろう。」
蘇芳が私の机までやって来る。
「はい。」
蘇芳は中等部時代も毎日私の送り迎えをする。
今日は何か用事があったみたいだが、毎日だ。
ゲームでは一度も無かった。
何でだろうな。
じっと蘇芳の顔を見た。
私の視線に気付き、ニコリと微笑む。
「どうかした?」
王子様の微笑み。
悪役令嬢に向けられる事は無かった微笑み。
「蘇芳君は王子様の様だと皆さんが言っていましたが、本当に王子様みたいに優しいですね。」
「い、いきなりどうしたの!?」
顔を真っ赤にさせて蘇芳が動揺する。
「私の様な変な女と婚約して、破棄もせずに親切です。」
「何回も言ってるけど、破棄なんてしないからね?
婚約者に優しいのは当たり前でしょう?
誰彼構わず優しくないしね、僕は。」
顔が一瞬で真顔になる蘇芳。
「婚約破棄したら、俺と婚約しようね~。」
両肩にポンと手を置かれる。
冷泉がにこにこして言ってくる。
「丁重にお断りします。」
「早いな!」
「東矢、愛良の体に気軽に触れないでって言ったよね?」
「あいたたたた!痛い、蘇芳!ガチで痛いって!!」
東矢の手を思い切り抓る蘇芳。
こういう諍いを起こしているけど、実は二人は仲が良い。
冷泉が私に絡まなければ、蘇芳は普通に冷泉とよく行動している。
冷泉が私にちょっかいを掛けてくるのは、蘇芳に構って欲しいのかと私は思っている。
蘇芳が感情を出すのがこういう時だから、冷泉は楽しくて堪らないのだろう。
「本当に懲りないな、お前は。」
そうこうしていたら、鷺宮も来た。
鷺宮は結構一人で居るのが多い。
仲が悪い訳では無い。
文武両道な彼は空いている時間、鍛練やら勉強やらをしている真面目さんなのだ。
好青年とは彼の事を言うのだろう。
私が鷺宮を見ていたのに気づいて、鷺宮が首を傾げる。
「どうした、西園寺。」
「鷺宮君は紳士だなぁと思って。」
「・・・・。いきなりどうした。」
少しだけ頬を赤らめて顔を反らす。
「先程も私の鼻血に何の迷いも無くハンカチを渡して下さいましたし、
女生徒の方もよく噂しているのを耳にしました。」
この三人がモテるのは周知の事実だが、蘇芳には一応私という婚約者が居る。
冷泉は見た目通り、チャラい。
好青年の鷺宮はお手付きのいない優良物件。
放っておくわけがない。
だから、萌香が好きになるのなら鷺宮かと思ったけれど、
「愛良?何、公然と浮気してるの?
本当に油断も隙も無いな。」
「へ、え!?う、浮気?ど、どうして!?私、何もしてないですよ!?」
酷い言いがかりだ。
「宗近、愛良はこういう性格だから、」
「・・・分かっている、蘇芳。西園寺はこういう奴だ。」
「え?え?どういう事ですか!?」
「さ、帰ろう、愛良。行くよ。」
「え、ちょ、説明してください!」
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「萌香!さよなら!」
萌香は走りながら手を振る。
「愛良、今日、帰りに愛良の家にお邪魔するからね?」
「え、あ、はい。分かりました。」
何だか慌ただしい一日だったな。
私は蘇芳に引きずられる様に車に乗せられた。
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