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遭遇
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「私には購買で焼きそばパンに人気がある理由がわからない。
正直、美味しくないでしょう?
パンに焼きそばって炭水化物に炭水化物で意味不明だし、すごい味が濃くないと焼きそばの塩分がパンで薄まって糖尿病食みたいに薄味になるし、パンは所詮コッペパンだし・・・。
希少性を煽って価値があるように見せているだけだと思わない?
焼きそばパンを買ってパン屋に騙されたらダメ!」
何の話をしていたんだっけ?
そうだ、最初は学友達と「振り込め詐欺」の話をしてたんだった。
それがいつの間にか「購買で焼きそばパンを買ってはダメ!」という話に変わったんだ。
最近クラスに友達が出来た。
最初周りと話さず悠子さん達とつるんでいたから、周囲から「深窓の令嬢」と思われていたらしい。
私は持論として「男女に友情はない」という考え方だったが、自分から話しかけたら沢山女友達が出来たし、今みたいなバカ話が出来た。
主にバカ話をしているのは私だが。
逆に一人も男友達が出来なかった。
友人達にとって男は恋愛の対象らしい。
俗に言う「恋バナ」に花を咲かせる事も多い。
そういった場合私は聞き役に徹している。
女が男に恋をするのは極自然な感情だ。
だったら私の恋愛対象ってどっちなのだろう?
・・・どっちでも構わない。
私は恋愛する前に男に戻る。
言ってみれば「恋愛しているヒマはない」
そんな日常を送っているとある事件が起きた。
授業が終わり、購買で昼食を調達しようとしていた時だった。
料理を聡子さんから教わり、弁当を持参してきた時期もあった。
だが食べる量が少なすぎて時期的に作った分がほとんど傷んでしまう。
なので冷凍冷蔵庫を買うまで自炊は一旦お休みという事になったのだ。
「今日は何を食べようか?焼きそばパンだけはないな」などと呟いていた時だった。
学友に「廊下に早のお客さんが来てるわよ」と言われた。
「誰だろう?聡子さんかな?」と思いながら廊下に出たが、そこにいたのは知らない上級生であった。
「あなたが石川早ね。
私は服部有紀、風紀委員長をやっているわ」有紀は握手のため右手を差し出した。
「私、宗教上の理由で握手は出来ないんです」私は慌てて言った。
もちろん浄土真宗に「握手してはいけない」などという掟はない。
・・・というか祖母の葬式まで自分の家が浄土真宗である事も知らなかった。
握手しなかったのは、悠子さんに散々世話になっておきながら、対立している敵の大将と握手して良いかわからなかったからだ。
「大丈夫よ。
取って食ったりしないから。
そんな小動物の威嚇みたいな態度を取らないで。
今日はあなたと友達になるために来たのよ。
あなたのラインアドレスは・・・ごめんなさい。
あなたスマホ持ってないって話だから、ラインも知らないわね」有紀さんはまるで何も知らない原始人と対しているようだ。
「私を和歌山の山奥からきた何も知らない田舎者だと思ってバカにしてませんか?
確かに私はスマホもガラケーも持っていません。
以前悠子さんからスマホを借りていましたけれど、もう返して手元にはありません。
たしかに私が住んでいたところはアンテナは立った事がないから携帯だって見た事ないし、スマホだって見た事はなかったけど聞いた事はありました!」私はカチンときて有紀さんに言い返した。
「バカにしてないわよ。
でもあなたが何も知らないと思ってたのは本当の話よ、ごめんなさい。
じゃああなたがどの程度今どきの知識があるか確認させてちょうだい。
SNSって聞いた事ある?何の略?」
「SNSくらい知ってますよ!え、えーっと・・・シミつき、においつき・・・シミつき・・・でしょ!?」
「何で半ギレ気味なのかしら?
どうしてブルセラチックなのかしら?
勝手にあなたが変な事を言ったクセにあなたに卑猥な事を言わせたような淫靡な気持ちになって軽く興奮するのは気のせいかしら?
『シミつき』が二つあった気がするのは気のせいかしら?」有紀さんは一つ一つ丁寧にツッコんだ、意外と良い人かも知れない。
「二つじゃ足りなかったですか?四つくらい『シミつき』が必要でしたか?」私は自信を失い小声で囁いた。
「いや・・・そういう意味じゃないわ・・・。
結局あなたとあなたと直接話をしても何一つわからなかったわ。
いや、一つ理解出来た事があるわ。
『食べちゃいたいほど可愛い』ってあなたみたいな女の子の事を言うのね」有紀さんは笑いながら言った。
「また会いましょう。
私、あなたの事、気にいっちゃったみたい」有紀さんは去って行った。
「何だったんだろう?
あ、今から購買部に行っても、もうアンパンとクリームパンくらいしか残ってない・・・」
正直、美味しくないでしょう?
パンに焼きそばって炭水化物に炭水化物で意味不明だし、すごい味が濃くないと焼きそばの塩分がパンで薄まって糖尿病食みたいに薄味になるし、パンは所詮コッペパンだし・・・。
希少性を煽って価値があるように見せているだけだと思わない?
焼きそばパンを買ってパン屋に騙されたらダメ!」
何の話をしていたんだっけ?
そうだ、最初は学友達と「振り込め詐欺」の話をしてたんだった。
それがいつの間にか「購買で焼きそばパンを買ってはダメ!」という話に変わったんだ。
最近クラスに友達が出来た。
最初周りと話さず悠子さん達とつるんでいたから、周囲から「深窓の令嬢」と思われていたらしい。
私は持論として「男女に友情はない」という考え方だったが、自分から話しかけたら沢山女友達が出来たし、今みたいなバカ話が出来た。
主にバカ話をしているのは私だが。
逆に一人も男友達が出来なかった。
友人達にとって男は恋愛の対象らしい。
俗に言う「恋バナ」に花を咲かせる事も多い。
そういった場合私は聞き役に徹している。
女が男に恋をするのは極自然な感情だ。
だったら私の恋愛対象ってどっちなのだろう?
・・・どっちでも構わない。
私は恋愛する前に男に戻る。
言ってみれば「恋愛しているヒマはない」
そんな日常を送っているとある事件が起きた。
授業が終わり、購買で昼食を調達しようとしていた時だった。
料理を聡子さんから教わり、弁当を持参してきた時期もあった。
だが食べる量が少なすぎて時期的に作った分がほとんど傷んでしまう。
なので冷凍冷蔵庫を買うまで自炊は一旦お休みという事になったのだ。
「今日は何を食べようか?焼きそばパンだけはないな」などと呟いていた時だった。
学友に「廊下に早のお客さんが来てるわよ」と言われた。
「誰だろう?聡子さんかな?」と思いながら廊下に出たが、そこにいたのは知らない上級生であった。
「あなたが石川早ね。
私は服部有紀、風紀委員長をやっているわ」有紀は握手のため右手を差し出した。
「私、宗教上の理由で握手は出来ないんです」私は慌てて言った。
もちろん浄土真宗に「握手してはいけない」などという掟はない。
・・・というか祖母の葬式まで自分の家が浄土真宗である事も知らなかった。
握手しなかったのは、悠子さんに散々世話になっておきながら、対立している敵の大将と握手して良いかわからなかったからだ。
「大丈夫よ。
取って食ったりしないから。
そんな小動物の威嚇みたいな態度を取らないで。
今日はあなたと友達になるために来たのよ。
あなたのラインアドレスは・・・ごめんなさい。
あなたスマホ持ってないって話だから、ラインも知らないわね」有紀さんはまるで何も知らない原始人と対しているようだ。
「私を和歌山の山奥からきた何も知らない田舎者だと思ってバカにしてませんか?
確かに私はスマホもガラケーも持っていません。
以前悠子さんからスマホを借りていましたけれど、もう返して手元にはありません。
たしかに私が住んでいたところはアンテナは立った事がないから携帯だって見た事ないし、スマホだって見た事はなかったけど聞いた事はありました!」私はカチンときて有紀さんに言い返した。
「バカにしてないわよ。
でもあなたが何も知らないと思ってたのは本当の話よ、ごめんなさい。
じゃああなたがどの程度今どきの知識があるか確認させてちょうだい。
SNSって聞いた事ある?何の略?」
「SNSくらい知ってますよ!え、えーっと・・・シミつき、においつき・・・シミつき・・・でしょ!?」
「何で半ギレ気味なのかしら?
どうしてブルセラチックなのかしら?
勝手にあなたが変な事を言ったクセにあなたに卑猥な事を言わせたような淫靡な気持ちになって軽く興奮するのは気のせいかしら?
『シミつき』が二つあった気がするのは気のせいかしら?」有紀さんは一つ一つ丁寧にツッコんだ、意外と良い人かも知れない。
「二つじゃ足りなかったですか?四つくらい『シミつき』が必要でしたか?」私は自信を失い小声で囁いた。
「いや・・・そういう意味じゃないわ・・・。
結局あなたとあなたと直接話をしても何一つわからなかったわ。
いや、一つ理解出来た事があるわ。
『食べちゃいたいほど可愛い』ってあなたみたいな女の子の事を言うのね」有紀さんは笑いながら言った。
「また会いましょう。
私、あなたの事、気にいっちゃったみたい」有紀さんは去って行った。
「何だったんだろう?
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