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三すくみ
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スポーツ入学枠がある高校にはスポーツ選手を目指す高校生が全国から集まる。
同じように忍者入学枠がある焼蛤高校には全国から忍者が集まってきていたのだ。
というか、桑名自体が忍者が多い街だったのだが。
なので高校にいる忍者は伊賀者だけではない。
甲賀はもちろん、東北の伊達政宗が創設したと言われる忍者集団「黒脛巾組」の子孫なども多くいた。
しかし忍術と武術の境い目は曖昧で「手裏剣投げは武術の一環で武士の嗜みだ」という見方もある。
逆に黒脛巾組の竹永隼人兼次は柳生新陰流の一派「柳生心眼流」の開祖といわれている。
忍術は武術の一環という見方もあれば、忍術は暗殺術の一環という見方をする者も多く、「忍術は隠密の術である」という見方も根強い。
どの考え方も間違いではない。
忍術に形などないのだ。
石川家のようなコソ泥も忍者なら、この世界のフィクサーである百地家もまた忍者なのである。
高校の中に様々な忍者がいるように見え群雄が割拠しているように見えるが、ほとんどが「百地」「藤林」「服部」の三家に従っている。
中でも精力的に動いている「服部」は高校の中では最大勢力だ。
「百地」も勢力としては小さくはないが悠子が生徒会長に推薦され、生徒会長になって自分の派閥だけでなく全体のために動かなくてはならなくなってからは「服部」が勢力を伸ばし「百地」はそれを静観していた。
ちなみに悠子さんを生徒会長に推薦したのは服部有紀である。
「藤林」は名目上、争いには加わらない事になっている。
当然生徒同士の争いに教師である伊吹が加わる事は出来ない。
三つの勢力の中で最小勢力である「藤林」の党首、伊吹はほんわかしており男子生徒に絶対的人気があり『徳の人』と言われている。
だが何故か一部女子生徒には蛇蠍のように嫌われている。
「天下三分の計」「三すくみ」ではないが、三つの家はお互いけん制し合いながら大きな動きを見せずにここまで微妙な均衡を保っていた。
なのにここに来て三つの陣営が激しく動き出す。
三つの陣営が動き始めたきっかけはいずれも「石川早」。
某所某日
「有紀様、百地悠子が側近の石川早という少女を雇いその者と暮らすために引っ越したようです」
「悠子さんの事だから、体術と美貌を兼ね備えた少女なのでしょう?
悠子さんは男は絶対に側近にはしないし、年齢の高い者も絶対に側近としては雇わないし、美人でない人はどれだけ体術がすぐれていても頭脳が明晰でも絶対に側近にはしないからね」
「・・・いや、体術は見たところ苦手のようです。側近の山田聡子が忍術の基礎を座学で教えている最中・・・との事ですが・・・」
「じゃあ飛び抜けて頭脳が優秀なの?」
「いや・・・その座学をスパイした者が見た感じではありますが頭脳はどれだけ贔屓目に見ても下の中との事です」
「解せないわね・・・。
何かその少女に優れているところがあるのかしら?」
「スパイした男によると『百地悠子は思わず靴を舐めそうになる美少女だが、石川早は思わず食べたくなるような美少女』だそうです」
「舐めたくなる美少女と食べたくなる美少女ってどう違うのよ!?
もう良いわ。
私が直接この目でその少女を見定めます」
同じように忍者入学枠がある焼蛤高校には全国から忍者が集まってきていたのだ。
というか、桑名自体が忍者が多い街だったのだが。
なので高校にいる忍者は伊賀者だけではない。
甲賀はもちろん、東北の伊達政宗が創設したと言われる忍者集団「黒脛巾組」の子孫なども多くいた。
しかし忍術と武術の境い目は曖昧で「手裏剣投げは武術の一環で武士の嗜みだ」という見方もある。
逆に黒脛巾組の竹永隼人兼次は柳生新陰流の一派「柳生心眼流」の開祖といわれている。
忍術は武術の一環という見方もあれば、忍術は暗殺術の一環という見方をする者も多く、「忍術は隠密の術である」という見方も根強い。
どの考え方も間違いではない。
忍術に形などないのだ。
石川家のようなコソ泥も忍者なら、この世界のフィクサーである百地家もまた忍者なのである。
高校の中に様々な忍者がいるように見え群雄が割拠しているように見えるが、ほとんどが「百地」「藤林」「服部」の三家に従っている。
中でも精力的に動いている「服部」は高校の中では最大勢力だ。
「百地」も勢力としては小さくはないが悠子が生徒会長に推薦され、生徒会長になって自分の派閥だけでなく全体のために動かなくてはならなくなってからは「服部」が勢力を伸ばし「百地」はそれを静観していた。
ちなみに悠子さんを生徒会長に推薦したのは服部有紀である。
「藤林」は名目上、争いには加わらない事になっている。
当然生徒同士の争いに教師である伊吹が加わる事は出来ない。
三つの勢力の中で最小勢力である「藤林」の党首、伊吹はほんわかしており男子生徒に絶対的人気があり『徳の人』と言われている。
だが何故か一部女子生徒には蛇蠍のように嫌われている。
「天下三分の計」「三すくみ」ではないが、三つの家はお互いけん制し合いながら大きな動きを見せずにここまで微妙な均衡を保っていた。
なのにここに来て三つの陣営が激しく動き出す。
三つの陣営が動き始めたきっかけはいずれも「石川早」。
某所某日
「有紀様、百地悠子が側近の石川早という少女を雇いその者と暮らすために引っ越したようです」
「悠子さんの事だから、体術と美貌を兼ね備えた少女なのでしょう?
悠子さんは男は絶対に側近にはしないし、年齢の高い者も絶対に側近としては雇わないし、美人でない人はどれだけ体術がすぐれていても頭脳が明晰でも絶対に側近にはしないからね」
「・・・いや、体術は見たところ苦手のようです。側近の山田聡子が忍術の基礎を座学で教えている最中・・・との事ですが・・・」
「じゃあ飛び抜けて頭脳が優秀なの?」
「いや・・・その座学をスパイした者が見た感じではありますが頭脳はどれだけ贔屓目に見ても下の中との事です」
「解せないわね・・・。
何かその少女に優れているところがあるのかしら?」
「スパイした男によると『百地悠子は思わず靴を舐めそうになる美少女だが、石川早は思わず食べたくなるような美少女』だそうです」
「舐めたくなる美少女と食べたくなる美少女ってどう違うのよ!?
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私が直接この目でその少女を見定めます」
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