鬼斬忍法帖

海星

文字の大きさ
上 下
12 / 43

料理

しおりを挟む
    「速水もこみちと言えば?」聡子さんが俺に問う。

    「オリーブオイル?」と俺。

    「そうだ、料理だ!」

    「いや、オリーブオイ・・・」

    「つまり料理の出来る男はモテると言う事だ!」

    「いや、速水もこみちって今はそこまでモテモテのタレントじゃ・・・」

    「今日は早に料理をしてもらおうと思う!(本当は悠子様に『早ちゃんに料理教えて』って言われただけだけど)」

    「料理をするのは良いんですけど、何でこんなにヒラヒラな格好なんですか?」

    「それはエプロンドレスと言って悠子様が『早ちゃんにコレ着せてね!』って・・・

    いや、何でもない。

    男の防熱装備だ!

    もし早が悠子様と一緒に無人島に漂流したらどうする?」

    「えーと・・・二人とも死ぬ?」

    「諦めが良すぎるぞ!悠子様は類い稀な身体能力を持っていなさる。

    食材は悠子様が集めてきなさるだろう。

    でも誰が料理をするんだ?

    悠子様は壊滅的料理音痴だぞ!」

    「漂流時に贅沢は言ってられないから、てきとーに集めて来た食材を興した火であぶります」

    「そうだ!早、お前が料理をするんだ!」

    「いや、火を・・・」

 「と言う訳で料理を覚えるぞ!」

 「いや、まあ良いんですけどね。

 で、どんな料理をするんですか?」

 「今回覚える料理はビーフストロガノフだ!」

 「いや、漂流した時の料理じゃないんすか?

 サバイバル料理の「サ」の字もないっすね。

 どうやって決めたんですか?」

 「悠子様が『今夜ビーフストロガノフが食べたいわ』とおっしゃられたのだ」

 「なんで俺に対する教育と主人の要望くっつけちゃうんですか!?

 ビーフストロガノフって無茶苦茶サバイバルと相性悪い料理っすよ!?

 キャンプの料理でビーフストロガノフって聞いた事、ありそうでないっすよ」

 「ビーフストロガノフはカレーっぽい料理だろう?」

 「だったらカレー作れって話でしょ。

 まあキャンプ料理とサバイバル料理は違うと思いますけど」







 「何を騒いでいるのかしら?」

 俺と聡子さんが「あーでもないこーでもない」と言っているとそこに来たのは悠子さんだった。

 「まあ良いわ。

 聡子さん、今日の料理はあなたが作りなさい。

 ここであなたたちがおしゃべりをしていても食事の時間が遅れてしまうわ。

 早ちゃん、今日は良いけどあなたもお料理を覚えるようにね」と悠子さんは言った。

 「そんな事はどうでも良いけど早ちゃん、学校が終わって下宿に帰ってきたらすぐアルバイト開始よ?

 すぐにユニフォームに着替えなさい。

 あとユニフォームが汚れないように今しているエプロンを忘れずにつけてね」と悠子さん。

 そうだった。

 仕事着に何の意味があるかと言えば、汚れても良い格好になるとか、ゲストに不快感を与えないようにするとか色々あるが、気持ちが仕事モードに切り替わるというのが一番大きいだろう。

 しかしメイドの仕事モードの気持ちというのは具体的にどんな物なんだろう?

 




 とりあえず抵抗はあるものの、指定されたメイド服を着る。

 俺のために作られたメイド服と思うと複雑な気持ちだ。

 メイド服というのは着方が複雑だ。

 腰回りのコルセットは慣れないと一人では付けられない。

 背中のホックも慣れるまでは自分でははめられない。

 結局メイド服を着る手伝いを聡子さんにしてもらった。

 聡子さんは細かく悠子さんに指定されているらしく、厳しく俺の恰好を監修した。

 「このメイド服は肩が出ているタイプなのでブラ紐は見えないほうがベストです。

 スポーツブラを着用しましょう。

 スポーツブラは淡い色にして下さい。

 透けて見えてしまいます」

 何でメイド服を着るのに下着も全て取り換えて素っ裸にならなくてはならないのか?

 最後に黒いストッキングとメイドカチューシャをつけ、エプロンを付けて鏡を見て俺は思った。

    「こりゃ、近侍の・・・忍者の格好じゃねーな」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

処理中です...