アドベンチャーワールド

海星

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少女

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    「何か勘違いをしているようなので一応言っておく」俺は頭の中で謎の女に言った。

    「俺はホモではない」

    「またまたご冗談を」

    「いや、本当にホモじゃないんだ。逆に俺をホモだと思った理由が知りたい」

    「えっと・・・王に壁ドンしたり、一晩中男漁りしたりする人はホモと言われてもしょうがないと思います」

    「アンタが俺に強制的にやらせたんだろうが!・・・とにかく俺はホモではない。シナリオには干渉しないが、普通の男と認識して欲しい」

    「そうですか・・・、困りました」

    「俺を普通の男として扱うだけで何が困るんだ?」

    「私、ホモじゃない男性のシナリオを書きたいと思わないんです」

    「何で俺がアンタの性癖に忖度してホモとして振る舞わなきゃいけないんだよ!」

    「あなたがホモとして振る舞うだけで全てが丸く収まるんです!逆に聞かせて下さい。ホモの何がイヤなんですか?」  

    「全てだ!」

    「即答しましたね!?意味がわかりません!ホモほど素晴らしいモノはないのに・・・所詮私とあなたは相容れない関係なんですね。光と影、水と油、ホモとノンケ・・・」

    「そういう宿命みたいに話を収束させようとしてるみたいだけど宿命でも何でもないからな。アンタがホモ好きな腐女子なだけだからな」

    「意見は決裂ですね、残念です」

    「ちょっと待て!決裂するとどうなるんだよ?」

    「どうもなりません。何も変わりません。今まで通りです」

     「そっか、良かった・・・って何も良くねえ!」





    と、王城に向かう最中に俺は頭の中で謎の女と会議していた・・・が、時間のムダだった。

    その時突然すがりついてくる少女がいた。

    「勇者様!お助け下さい!兄が東の森で行方不明になりました!」

    例によって選択肢があらわれる。




                          「残念だな。俺は女の願いは聞かないんだ」と願いを無視する。

                          「うるせえ!俺は女の声を聞くと頭が痛くなるんだ」と少女を斬る。

                           「で、どれくらい金を払うんだ?当たり前だろう?俺が女の言う事を聞いても得などないのだから」と金銭を要求する。

                      →「助け出す男は美形なのか?」と確認する。







    なんだこの俺がホモが前提の選択肢は。 
    それより、これじゃあ俺はホモってだけじゃなくて人間のクズじゃねえか!

    つーか相変わらず「ひのきのぼう」で斬りかかるんだな。どんだけ俺アホなんだよ。この選択肢いっぺん選んでやろうか?
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