アドベンチャーワールド

海星

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禁則事項

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 「一つ言っておく事があります」頭の中の声が語りかけて来た。

 「あなたは私に選択肢を要求する事は出来ます。私はその要求に従ってあなたに選択肢を提供しなくてはなりません。・・・ですがあなたに出来ない事、禁じられている事があります。それが『選択肢の内容を操る事』です。つまりあなたは選択肢を要求する事は出来ますが『こういった内容の選択肢が欲しい』と要求する事は禁則事項となっています。なのであなたが望み選択肢が出現したとしても、あなたが望んだ選択肢ではないかも知れません。ですがその選択肢をあなたは選ばねばなりません」声は説明した。

 「痛いほどわかってるよ。選択肢を要求しなきゃ『ゴンザレス』なんて名乗らなくて良かったからな。選択肢は諸刃の剣ってわけだ。良い事も悪い事も起こる事が『諸刃の剣』なら良い事が起こる気がしないから、そういうのが正しい気はしないがな」俺はヤケクソで脳内で言った。

 王に聞きたい事は沢山ある。

 「俺は何でこの世界に呼び出されたのか?」とか。

 だが王に質問しようと選択肢をアイツに準備させようにも、見当はずれで俺を追い込むような選択肢しか提示されないだろう。

 つーか、隙あらば王と俺を恋仲にさせようとするか、王を殺そうとするかどちらかだ。

    アイツは王を嫌っているのだろうか?なぜアイツは王を殺そうとしているのか?・・・いや、特に意味はなさそうだ。

    例えば王が親の仇だったとして、仇のラブロマンスを見ようと思うだろうか?
    つーか、王のラブロマンスの相手をなぜ俺にしようとするのだろうか?これは確信に近い決め付けだが、アイツはきっと何も考えていない。

    王がなぜ俺を召喚したのか、など今日のところは知らなくても良いだろう。

    「さてこの後どうしよう?」

    ・・・アレ?俺もしかして無意識に選択肢を欲してしまった?

     頭の中に選択肢が浮かび上がる。






                世を儚んで死ぬ
                浴びるほど酒を飲んで急性アル中で死ぬ
                夕暮れの川に飛び込み入水自殺する
            →男漁りをする






    こんなもん一択じゃん。

    つーか、一番下選ばないと俺間違いなく死ぬじゃん。

    何でアイツは俺をホモに仕立てあげようとするんだろう?

    俺は半泣きになりながら「男漁りをする」を選んだ。

    俺は頭の中に「もう少し身のある選択肢は作れないのか?」と不満を言った。

    「選択肢の内容に注文を出す行為は禁則事項です。違反にあたります」アイツは真面目に答えた。

    真面目に答える頭があるなら、真面目に選択肢作ってくれよ!何が悲しくて俺が男漁りしなきゃならないんだよ!

    その夜街角に立ち、片っ端から男に声をかける男がいたと噂になった。幸か不幸か俺の男漁りは失敗に終わった。

    しかし「勇者にナンパされた」というオッサンが沢山あらわれたせいで「勇者はホモ。しかも年増好き」という噂が国中に広まった。
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