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ナツ・side

爽の心配

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「爽…あのさ、明日の夜、バイト先で飲み会に参加することになったから、夕飯はいらないよ。」
俺は風呂から上がったばかりの爽に、ビールを渡しながら報告する。

「…は…?飲み会…?」爽が目を真丸くして俺を見る…。

「う… ん… なんかさ、俺一回も顔出したことないから先輩に行こう行こうって、前から言われてて…」

「… へえ… まあ…たまにはいいんじゃないか…ちなみにその先輩って…男…?それとも女…??飲み会って二人きりとかじゃないんだろうな…?」

「え… ?」爽がそんなことを気にするのは珍しかったので思わず声に出てしまう…。

「いや…だってさ…おまえ、見た目はどうあれ、犬だしさ…そもそも酒なんて飲んだことないだろう…?ちょっと心配になってさ…」

そんなことを気にしてくれている爽…

嬉しさに顔がにやけそうになるのをなんとか抑えつつも俺は冷静に答える。
「あ…もちろん、2人きりじゃないし…その先輩は女性…バツイチで、二度と結婚なんてしたくないっていつもぼやいてる楽しい女性だよ。」

「…ふーん…そっか…まあ、いいんじゃね…?でもさ…酒には特に気を付けとけよ…強い酒、間違っても飲むんじゃないぞ…人間界ではさ、急性アルコール中毒っていって下手したらぶっ倒れたりする奴もいるくらいだから…。」

「…そうなんだ…わかった…気を付けるよ…」

本当は、単なるバイト先のメンバーでの飲み会と言うより…
南さんが企画する男女数名同士の合コンってっやつ…らしいんだけど…
なんとなく言いそびれてしまう俺…。

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