【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

愛

今度は哲也が口を開く。

「往生際が悪いというか、なんというか…まあ、今回俺の話をすぐに鵜呑みにしなかった点では、君にしては上出来なのかもしれない…前よりは少し成長したな、清春君…ふふ…」

成長…　　…　　完全に、馬鹿にされている…
そもそも、この男の、話の真偽がわからない…　　嘘なのか…本当なのか…　

真由に限ってあり得ないと、頭では考えているのに、こんな風に聞かされた以上、やはり俺は困惑する。

「まあ、いい…君がどう考えようと俺と真由だけがわかっていれば良い話だ…君には関係ない。」

そう話した後、突然俺の顎をぐいと掴む男…いきなり手荒に男の方を向かされ、ゾクリとする。

「くっ…　な、にする…！」冷えた…男の視線とぶつかる。

「だが、これだけは言える…言っておく…。」

「…　な…　ん…　」

「俺は、真由を愛している…確かに血を分けた妹だが…そんなことは俺にとって、どうでもいいことだ…」

「は…　？そん、な　…」
言いかけたが、すぐさま言葉を被せられる…

「黙れ…俺と真由の問題だと、言っただろう…？俺は…貴様の何倍も、真由を愛している…いや…何倍どころの話ではない…真由が結婚してからもずっと…ずっと真由を…。真由は俺のものだ…最初から、俺だけのもの…なのに、俺がうっかり君みたいな男を信用し、真由の普通の幸せを願ってしまったばっかりに…真由はこんなことに…。
真由をこんな目に遭わせ不幸にしたのはおまえなんだよ…おまえがわけのわからない女に現うつつを抜かしたせいで真由は傷付き…その結果、こんなことに…」

「はっ…　そ、…　それは…」

「許さない…許せないんだよ、俺は君を…。
ああ…しまった…珈琲が冷めてしまったな…さすがに、喉が渇いたろう…？さあ、飲むといい…何ならケーキも…もう、あまり時間が、ない…」

　　　珈琲…　　を飲めと…？　

　　　　　　ケーキ…　？　　時間…　

この状況で…　　男は何を言ってるんだ…　今、それどころではないのに…　
まさか、先ほどの…最初の物騒な発言と、関係が…　？

　　　俺は困惑しつつも、男を見つめた…。