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清春編
無害
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俺が、逃げたのだ…
真由との、直接対決を。
ずっと避けて来たのは、真由との会話…対話だ。
真由にはっきり言えばよかったのだ。
自分の希望を…自分の本当の気持ちを…
ちゃんと、言葉にすれば良かった。
朝ご飯はできれば和食がいいな、とか…
片付け、少しはしてくれないかな、とか…
ゴミは、ゴミ箱に入れて…とか…
飲みかけの飲み物が入ったグラスを冷蔵庫に数日間も放置しないでほしい…とか…
歯磨き粉の蓋はきちんと閉めてほしいとか…
結婚してから気付いた真由のだらしなく見える行動に対して…
きちんと意見すれば良かったのだ。
真由への要望を…
真由の生活態度への不満を…きっと、真っ直ぐに言えばよかったのだ…シンプルに、きちんと口に出して…
素直な真由のことだ…
そっか、わかった、今度から気をつける…などと言いながら笑ってくれたかも知れない…のに…
なのに俺は、何一つ言えなかった…
真由に言ったところできっと何一つ改善しないと勝手に思い込み…そして何より、俺自身の気質から、人に意見するというある種ストレスのかかる行為を…自ら、放棄した。
結果、
思ったことを何一つ、外に発信せずに…
嫌ごとを…真由の行動に対する苦情など、言いづらくて…言った時の真由の反応が怖くて…何一つ言えずにここまで来てしまった…
内心、少し、ムカついていても…
本当はかなり、イラついていても…
真由に直接言うくらいなら…
人に対して苦情を述べるというある種のストレスを自身で抱えるぐらいなら…もういっそ、できることは俺がやればいいかと…
俺がやることで、真由と喧嘩せずに夫婦という関係を維持できるなら…家庭を維持できるなら、まあいいかと、諦めていた…
思えば俺は、職場でも同じだ…
頼まれた仕事を拒否してその相手に嫌な顔をされるくらいなら… 俺が断ったことで、誰か他の人が微妙な立場に追いやられるくらいなら…
いっそ、俺がやればいいかと…
反対意見を述べずに淡々と、俺がその仕事を被れば、一応は丸くおさまる…
いつもいつも…
俺はそうやってその場をやり過ごしてきた。
いわば、沈黙と、忍耐… そして諦め。
人との争いを避け、誰にでも良い顔をする八方美人のような… 性質…
無害な人間を、演じたのだ。
だが今思えば、それが…
大きな間違いだった
そんな気がしてならない…
真由との、直接対決を。
ずっと避けて来たのは、真由との会話…対話だ。
真由にはっきり言えばよかったのだ。
自分の希望を…自分の本当の気持ちを…
ちゃんと、言葉にすれば良かった。
朝ご飯はできれば和食がいいな、とか…
片付け、少しはしてくれないかな、とか…
ゴミは、ゴミ箱に入れて…とか…
飲みかけの飲み物が入ったグラスを冷蔵庫に数日間も放置しないでほしい…とか…
歯磨き粉の蓋はきちんと閉めてほしいとか…
結婚してから気付いた真由のだらしなく見える行動に対して…
きちんと意見すれば良かったのだ。
真由への要望を…
真由の生活態度への不満を…きっと、真っ直ぐに言えばよかったのだ…シンプルに、きちんと口に出して…
素直な真由のことだ…
そっか、わかった、今度から気をつける…などと言いながら笑ってくれたかも知れない…のに…
なのに俺は、何一つ言えなかった…
真由に言ったところできっと何一つ改善しないと勝手に思い込み…そして何より、俺自身の気質から、人に意見するというある種ストレスのかかる行為を…自ら、放棄した。
結果、
思ったことを何一つ、外に発信せずに…
嫌ごとを…真由の行動に対する苦情など、言いづらくて…言った時の真由の反応が怖くて…何一つ言えずにここまで来てしまった…
内心、少し、ムカついていても…
本当はかなり、イラついていても…
真由に直接言うくらいなら…
人に対して苦情を述べるというある種のストレスを自身で抱えるぐらいなら…もういっそ、できることは俺がやればいいかと…
俺がやることで、真由と喧嘩せずに夫婦という関係を維持できるなら…家庭を維持できるなら、まあいいかと、諦めていた…
思えば俺は、職場でも同じだ…
頼まれた仕事を拒否してその相手に嫌な顔をされるくらいなら… 俺が断ったことで、誰か他の人が微妙な立場に追いやられるくらいなら…
いっそ、俺がやればいいかと…
反対意見を述べずに淡々と、俺がその仕事を被れば、一応は丸くおさまる…
いつもいつも…
俺はそうやってその場をやり過ごしてきた。
いわば、沈黙と、忍耐… そして諦め。
人との争いを避け、誰にでも良い顔をする八方美人のような… 性質…
無害な人間を、演じたのだ。
だが今思えば、それが…
大きな間違いだった
そんな気がしてならない…
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