【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

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『はい、もしもし』
店内は客がまばらで閑散としてはいたが、一応声のトーンを落とす。

『清春君、ご両親はもう来られたのかな?』哲也に問われる。

『はい、かなり早い時間に到着しまして…無事に二人は真由と対面できました』
その後、何か続けて言うべきだったのかもしれないが、哲也と話す時のある種の緊張からか、気の利いた言葉は一切出てこなかった。

『そうか…俺はもうそっちへ行く準備が整っているんで、良かったら家族水入らずで食事でも行ってきたらどうかなと思って連絡したんだが…』

『あ、ありがとうございます…』

確かに、俺が哲也の立場でもそう考えるだろうが、俺からの昼食の誘いはあっさり断られたのだ…もはや、隠す必要もない…既に両親は立ち去ったことを告げて、哲也と交代するか…
 
そう思い、言葉を続ける。

『せっかくですが、実はもう二人は病院を出ていまして…』

『そう…か… もう帰られたのか…挨拶をし損ねてしまったな…もう少し早く連絡するべきだったか…』

いつになく哲也が少ししょげたような声を出す…
もはや、哲也に対して…恐怖めいた感情と不信感しかない俺は、哲也のその態度に少し意外だなと感じつつも慌ててフォローを入れる。

『いえ、とんでもない…時間もまだあったので、実は俺から食事でもと誘ってはみたのですが、遠慮すると言われて…まあ、両親の目的は俺ではなく、あくまで真由の見舞いでしたから…真由抜きで三人、顔を突き合わせたところでうちの両親からしたら何も楽しくないというかなんというか…とにかく、俺のことはそっちのけで真由のことを好きでしたから、うちの親は… はは…』
少し、自虐的だったろうか… 気付けばそう口にしていた。

『それも、そうだな…』哲也の肯定…ほぼ、即答だ。
『はい… そう、なんですよ…』俺の声のトーンが下がる。

そこは… 
いや、そんなことはないだろう…真由がいなくても…君が…などと、フォローしてくれても…いいのでは…?
自分で言ったこととはいえ、そしてそれが事実だとはいえ、一切否定もされずにそれもそうだと哲也にあっさり言われてしまった…
やはりこの男は駄目だ…
気遣いがなく、やはり好きになれないと再認識をしながらも、通話が続く。






















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