439 / 544
清春編
フォロー
しおりを挟む
『はい、もしもし』
店内は客がまばらで閑散としてはいたが、一応声のトーンを落とす。
『清春君、ご両親はもう来られたのかな?』哲也に問われる。
『はい、かなり早い時間に到着しまして…無事に二人は真由と対面できました』
その後、何か続けて言うべきだったのかもしれないが、哲也と話す時のある種の緊張からか、気の利いた言葉は一切出てこなかった。
『そうか…俺はもうそっちへ行く準備が整っているんで、良かったら家族水入らずで食事でも行ってきたらどうかなと思って連絡したんだが…』
『あ、ありがとうございます…』
確かに、俺が哲也の立場でもそう考えるだろうが、俺からの昼食の誘いはあっさり断られたのだ…もはや、隠す必要もない…既に両親は立ち去ったことを告げて、哲也と交代するか…
そう思い、言葉を続ける。
『せっかくですが、実はもう二人は病院を出ていまして…』
『そう…か… もう帰られたのか…挨拶をし損ねてしまったな…もう少し早く連絡するべきだったか…』
いつになく哲也が少ししょげたような声を出す…
もはや、哲也に対して…恐怖めいた感情と不信感しかない俺は、哲也のその態度に少し意外だなと感じつつも慌ててフォローを入れる。
『いえ、とんでもない…時間もまだあったので、実は俺から食事でもと誘ってはみたのですが、遠慮すると言われて…まあ、両親の目的は俺ではなく、あくまで真由の見舞いでしたから…真由抜きで三人、顔を突き合わせたところでうちの両親からしたら何も楽しくないというかなんというか…とにかく、俺のことはそっちのけで真由のことを好きでしたから、うちの親は… はは…』
少し、自虐的だったろうか… 気付けばそう口にしていた。
『それも、そうだな…』哲也の肯定…ほぼ、即答だ。
『はい… そう、なんですよ…』俺の声のトーンが下がる。
そこは…
いや、そんなことはないだろう…真由がいなくても…君が…などと、フォローしてくれても…いいのでは…?
自分で言ったこととはいえ、そしてそれが事実だとはいえ、一切否定もされずにそれもそうだと哲也にあっさり言われてしまった…
やはりこの男は駄目だ…
気遣いがなく、やはり好きになれないと再認識をしながらも、通話が続く。
店内は客がまばらで閑散としてはいたが、一応声のトーンを落とす。
『清春君、ご両親はもう来られたのかな?』哲也に問われる。
『はい、かなり早い時間に到着しまして…無事に二人は真由と対面できました』
その後、何か続けて言うべきだったのかもしれないが、哲也と話す時のある種の緊張からか、気の利いた言葉は一切出てこなかった。
『そうか…俺はもうそっちへ行く準備が整っているんで、良かったら家族水入らずで食事でも行ってきたらどうかなと思って連絡したんだが…』
『あ、ありがとうございます…』
確かに、俺が哲也の立場でもそう考えるだろうが、俺からの昼食の誘いはあっさり断られたのだ…もはや、隠す必要もない…既に両親は立ち去ったことを告げて、哲也と交代するか…
そう思い、言葉を続ける。
『せっかくですが、実はもう二人は病院を出ていまして…』
『そう…か… もう帰られたのか…挨拶をし損ねてしまったな…もう少し早く連絡するべきだったか…』
いつになく哲也が少ししょげたような声を出す…
もはや、哲也に対して…恐怖めいた感情と不信感しかない俺は、哲也のその態度に少し意外だなと感じつつも慌ててフォローを入れる。
『いえ、とんでもない…時間もまだあったので、実は俺から食事でもと誘ってはみたのですが、遠慮すると言われて…まあ、両親の目的は俺ではなく、あくまで真由の見舞いでしたから…真由抜きで三人、顔を突き合わせたところでうちの両親からしたら何も楽しくないというかなんというか…とにかく、俺のことはそっちのけで真由のことを好きでしたから、うちの親は… はは…』
少し、自虐的だったろうか… 気付けばそう口にしていた。
『それも、そうだな…』哲也の肯定…ほぼ、即答だ。
『はい… そう、なんですよ…』俺の声のトーンが下がる。
そこは…
いや、そんなことはないだろう…真由がいなくても…君が…などと、フォローしてくれても…いいのでは…?
自分で言ったこととはいえ、そしてそれが事実だとはいえ、一切否定もされずにそれもそうだと哲也にあっさり言われてしまった…
やはりこの男は駄目だ…
気遣いがなく、やはり好きになれないと再認識をしながらも、通話が続く。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる