【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

再会

ほどなくして、茉優子から返事が来た。
『はい、喜んで』と…食事を快く了承する内容で俺は心から嬉しくなった。

お茶などしたとしても、本当にいっときの時間に過ぎない。
会えたとしても、話していたらあっという間に別れの時間が来てしまう。

食事なら、落ち着いた店を選びさえすれば、ゆっくり茉優子の顔を見て話をしながら、料理の味を楽しむことができる。

俺は即座に、茉優子と何度か利用している個室がある店に予約の連絡を入れ、
待ち合わせ時間前までは、カフェラテを飲みながら久々にゆっくりとした一人の時間を過ごした。

茉優子と会えなかった期間はおよそ2週間少し…　
教室の回数で言うと、4回ほどだ…。

真由のことで突然哲也から連絡を受け、あのような形でホテルに茉優子を取り残したあの夜…
あの夜のことが、今は何故だか、ものすごく昔のことのように思えてくる。

ああ…本当に久しぶりに、茉優子に会える…
俺は少し緊張しながらも、茉優子より先に店の個室へ足を踏み入れた。

茉優子は…変わらず、元気だろうか…　？
真由のこと…哲也のこと…この２週間は、自分の周りのことばかり考えていたが、
茉優子は…　例の夫にまた、酷いことをされたりは、していないだろうか…

見たことも会ったこともない旦那だが、
茉優子はどうして、そんな乱暴な男と結婚したのだろうか…

いや…俺がそんなことを考えて、どうなる…　どうなるものでもない…
そもそも、会ったこともない男だ。
夫婦の営みにおいて、乱暴なことも…行為として、あるようだが、
普段は優しい男…なのかも、しれないのだ。

茉優子が多くは語らない以上、俺にはわかりようもないのだが…　どうしても気に…

　　　　　コンコンコン…　

　　　　　　　　　　ハッとする。

「お客様…お連れ様がお見えになりました」店の者の、小さな声…。

スススと…　襖がゆっくりと開く…

「坂下さん、お待たせしました…　ご無沙汰しています…」
「こんばんは、…　石塚さん…」

俺は…　茉優子の…
細く華奢な脚の先から上の方へ…　ゆっくりと視線を動かした…。

茉優子だ…　　ああ…　　茉優子　…　　　　

変わらぬ茉優子の白い顔を見て、
　　　　　　　なぜだか…心からホッとした自分が、そこにいた