【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

別れ

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「茉優子さん。ちょっと所用で今日はもう帰ろうと思います、すみません…急で…あの良かったら残り時間、ここでゆっくりされてから出てください」

俺は、気を利かせてそっと洗面所に消えた茉優子を追い、背後からそう、声を掛ける。
もはや、一刻も争う事態だ…すぐ、病院に向かわねば…
俺は茉優子に詳細は伝えず、シンプルにそう告げる。

電話では、哲也の話を聞くのが中心で、俺はほとんど発話していない。
会話の内容は恐らく、茉優子には伝わっていない… 
茉優子に今の段階でおかしなことを口走り、いらぬ心配をかけるわけにはいかない…

「わかりました。では…すみません、出るにも時間がかかりそうなのでお言葉に甘えて、私はそうさせていただきます」

茉優子は頷き、手早く身支度をした俺を、ドアの前で見送る。

「では、茉優子さん、また…連絡しますね…おやすみなさい。」

「おやすみなさい、清春さん」

茉優子といつになく短い言葉を交わし、俺は足早にホテルを出て、すぐにタクシーを拾う。

「笹川中央病院まで…すみませんが、出来るだけ急いでもらえますか…?」

タクシーに乗り込み、目を閉じる…。

一体何が… 起きたんだ…
真由が、今にも死にそう、などと…  普段交流のない哲也が俺に電話をしてくるなど、よほどのことだ…。

真由が、

     死…?


いややはり、そんなことがある筈はない… どうしたって、結び付かない…

今朝まで元気に笑っていた真由が…朝食と弁当を作ってくれた真由が…
今…死にそう…だなんて…
きっと、何かの間違いだ…
俺は疲れていた…きっと、耳が…変なのだ…   聞き間違いだ…

俺はそう…自分になんとか思いこませながら
俺の要望を受けてか、
少し荒々しい運転のタクシーに、身を委ねた…






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