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清春編
珈琲
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ギッ…
ドアが、小さな音を立てる。
カードキーを入口のホルダーに差し込むと、ぽうっと、部屋に淡い照明が点いた。
「… … …」
茉優子の気配…存在を背後にひしひしと感じながらも…
俺は情けないことに、なかなか言葉を発することができずにいた。
でも、俺から誘っていながら、無言でいるとは何事かと自分を奮い立たせ…意を決して、口を開いた。
「石塚さん…半身、本当にびしょ濡れです…あの、洗面台のドライヤーで乾かせば何とかなると思います…。
俺は珈琲の準備…注文、なのかな…そっちをやってますんで、お先にどうぞ…」
馬鹿すぎる…
自分でも嫌になるほど真面目な俺は… 茉優子をこの場所に誘った口実…
それに全くたがわぬ形で、茉優子にそう、声をかける。
「… あ… はい… でも、先で良いのですか…?坂下さんもかなり、濡れてらっしゃいますけど…」
これまた俺と同じくらいに真面目な茉優子が、俺に正面から尋ねてくる。
「あ…ああ…俺は全然…。お先にどうぞ…」
「ありがとう、ございます…では、お先に…」
茉優子が洗面所に消える…。
俺と茉優子はホテルの入室、第一声で、そんな言葉を交わした…。
部屋を見渡すと、最近よく見るカブセルホルダ式のコーヒーマシンが備え付けられている。
わざわざルームサービスを注文せずともまずはこれで良さそうだ…。
俺はそのカプセルをマシンにセットし、一杯目を抽出する…。
ブオーーー… … … 洗面所から響く、茉優子のドライヤーの音…
ブシューーーン… … マシンから響く、珈琲の抽出の音…
俺は一体、こんな場所で…
こんな風に冷静に珈琲をセットして… 茉優子を紳士的に洗面所へ促し…
一体、何をやっているんだろう…
誰かに見られるかもしれない… 見られたら、誤解どころでは済まないこの状況…
なのに、至って健全に…
茉優子に服を乾かすのを勧め、自分自身はいそいそと珈琲を準備しているとは…。
不意に、笑いたくなった…。
ドアが、小さな音を立てる。
カードキーを入口のホルダーに差し込むと、ぽうっと、部屋に淡い照明が点いた。
「… … …」
茉優子の気配…存在を背後にひしひしと感じながらも…
俺は情けないことに、なかなか言葉を発することができずにいた。
でも、俺から誘っていながら、無言でいるとは何事かと自分を奮い立たせ…意を決して、口を開いた。
「石塚さん…半身、本当にびしょ濡れです…あの、洗面台のドライヤーで乾かせば何とかなると思います…。
俺は珈琲の準備…注文、なのかな…そっちをやってますんで、お先にどうぞ…」
馬鹿すぎる…
自分でも嫌になるほど真面目な俺は… 茉優子をこの場所に誘った口実…
それに全くたがわぬ形で、茉優子にそう、声をかける。
「… あ… はい… でも、先で良いのですか…?坂下さんもかなり、濡れてらっしゃいますけど…」
これまた俺と同じくらいに真面目な茉優子が、俺に正面から尋ねてくる。
「あ…ああ…俺は全然…。お先にどうぞ…」
「ありがとう、ございます…では、お先に…」
茉優子が洗面所に消える…。
俺と茉優子はホテルの入室、第一声で、そんな言葉を交わした…。
部屋を見渡すと、最近よく見るカブセルホルダ式のコーヒーマシンが備え付けられている。
わざわざルームサービスを注文せずともまずはこれで良さそうだ…。
俺はそのカプセルをマシンにセットし、一杯目を抽出する…。
ブオーーー… … … 洗面所から響く、茉優子のドライヤーの音…
ブシューーーン… … マシンから響く、珈琲の抽出の音…
俺は一体、こんな場所で…
こんな風に冷静に珈琲をセットして… 茉優子を紳士的に洗面所へ促し…
一体、何をやっているんだろう…
誰かに見られるかもしれない… 見られたら、誤解どころでは済まないこの状況…
なのに、至って健全に…
茉優子に服を乾かすのを勧め、自分自身はいそいそと珈琲を準備しているとは…。
不意に、笑いたくなった…。
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