【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

根暗

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「…坂下さんの奥様は、どんな方…なんですか…?」不意に聞かれる。
「真由… は… 」
「…は… ?」
「あ…そうか…すみません、妻は真由といいまして… あ、石塚さんとは違う字なんですがね…
真由はとても明るく朗らかな性格です。細かいことはあまり気にしないというか、悪く言えば大雑把な感じですね…」
「そうなんですか…いいですね、ご家庭が明るいのが一番ですよ」茉優子は笑う。
「そう…ですね… 明るいのは明るい… ですがね…はは…」
部屋は片付けられない… 食器も… そのままだ… と、内心でだけ、思う。

さすがに茉優子に…他人に…妻の愚痴は話せない…話しては、いけない…
俺はいつもそんな風に、自分の中にある不満を自分の中にだけ飲み込んで生きて来た…。
仕事のことも、家庭のことも… 

だから飲み会の席などで、酒に酔ってワーワー他人に愚痴ることが出来る奴はいいなって、
いつもそんな風に思っていたのだ。

「明るいのは、本当にいいことですよ…私なんていつも、根暗で何考えてるかわからないだなんて、言われますし…」

「え… ?」 誰にそんなことを…と、ふと思った。
「あ…そろそろ行きましょうか…」茉優子は俺を見る。
「あ… ああ…行きましょう…」

テーブルの上にある伝票に手を伸ばすと、同じように手を伸ばした茉優子の白い手にちょんと、触れる…。

「あっ…すみません!」
「あ…ごめんなさい…」   
お互いに、小さく声を発し手を離す…。

ビリ…  まただ… また、電流…
まるで… これは… 恋、のようだ… 
手が触れただけで、トクンと心臓が高鳴る…。

俺は小さくため息をつきながら、
 その夜も、茉優子と手を振って別れた。


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