ある女の苦悩

もえこ

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外の世界

移動

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私はただ、その男の後をついていった。

男は車に乗り込んだ後、「どうぞ、お乗りください」と私を助手席に促した。
「はい」私は言葉少なに男の横に腰をかけた。

もともと、そういうアプリなのだ…
目的はわかっている。
これは互いが了承している大人と大人の付き合いだ…

動揺するわけにはいかない…
私は自身の心臓の音に気づかないふりをして静かに目を閉じた。

「着きました、どうぞ」
15分ほど走らせたところで声をかけられ、車を降り立って上を見上げる。
行き先はごく普通のホテルだった。

いわゆるそういうホテルではなく、ごく普通のビジネスホテルのような外観。

一番に、自分自身の普段の生活圏ではないことに胸を撫で下ろす。

家の近場で男とウロウロしているところを見つかるわけにはいかない…
それでも、私は背の高い男の陰に隠れるようにして、なるべく人目を避けるように歩いた。

男は慣れているのか、受付を済ませ「7階です、行きましょう」と私に向かってふんわりと微笑んだ。

私は息を飲む。
もう、ここまで来てしまった…。
後には引けない…

ここからは明らかに、単なるお茶でなはい…
食事でもなく、このホテルにわざわざ雑談をしにきたわけでもない…

私は、自ら男に抱かれにきた…
夫ではない若い男に、この体を… 

さきほどから心臓の音が鳴り止まない…

こんなことをしようとしている私は悪い女だろうか…

いや、違う…

そもそも、私を抱かなくなった夫が、悪い…
不倫をした方ばかりを責めるのは間違っている…
私は悪くない…

私はいつしかそのような思考回路で無理矢理に自分自身の罪悪感を振り払いながら、男に続いた。

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