4 / 13
彼氏
しおりを挟む
「お待たせ、ごめんね、遅くなって…」
「お疲れ。俺も今来たとこ、全然待ってないよ。」
長身の彼が、笑って私に手を振るのを見て、嬉しくなる…。
年齢の割に、服装が少し派手な…
少し、チャラチャラした見た目ではあるが、とても優しい人…。
恥ずかしながら、25歳にして人生で初めてできた彼氏…。
友人の企画した飲み会で初めて会ってから、彼の方から連絡先を聞かれ…
トントン拍子に、何度かデートを重ねている。
彼は27歳…友人にも、彼氏が2歳位年上って、理想的じゃないと喜ばれた。
今日でまともなデートはやっと4回目…
最初はガチガチだった私も、少しずつ、緊張が解けて来たところだ…。
「じゃあ… このコースをお願いします。」
「かしこまりました。しばらくお待ちくださいませ」
料理のオーダーを終え、彼がおもむろに口を開いた。
「そうそう…前に言ってたよね。美優ちゃんって…親戚のおじさんと2人きりで暮らしてるって。」
ギクリとした…。
親戚のおじさんではない。
私達に血の繋がりはない。
全くの赤の他人と、子供の時から…10年以上も前から、暮らしている…。
ただ、そのことを説明するのには覚悟がいる…。
言えば、きっと驚くに違いないし…なぜと、理由を聞かれるのはわかっているからだ…。
私にはまだ、彼にその理由を…事実を伝える勇気がなかった。
「うん…そうなの…色々あって…」今の私には、内容をぼかすしかなかった。
「ご両親は早くに亡くなられてて…おじさんがずっと、育ててくれたってこと…?」
その通りだ…
でも、… 両親のことは言いたくない…
まだ、言えないことが多すぎる私は、違和感のない答えを必死に絞り出す。
「そうなの…他に、身寄りがなくて…まだ当時は20代後半だった親戚のおじさんが仕方なく…私を引き取ってくれたみたいで…」
仕方なくは、言わなくても良かったなと思ったが、勝手に口から出ていた。
「…そっか…でも、なんかさ…」
彼氏が何か言いにくそうに、口をもごもごさせているのに気付く…。
「え…?」
「こんなこと言いたくないけど…年頃の美優ちゃんがさ…おっさん…いや、親戚であっても男であるおじさんと子供の頃からずっと、二人で暮らしてるってのはなんか…ね…」
「え… それって、どういう…」
「いや…その…おじさん、彼女とかいなかったのかなって…ほら、今までの人生で…でも家にはずっと君がいるわけだしさ…」
「… … … 」思わず、無言になる…。
それは…私も前から気になっている事だった。
おじさんに、そういう人はいないのだろうかと、何度か考えたことがある。
ひょっとして、私なんかがいるせいで、おじさんの出会いの機会を奪っているのではないかと…。
でも、おじさんに聞いた時に帰ってくる言葉は、いつも同じだった…。
「お疲れ。俺も今来たとこ、全然待ってないよ。」
長身の彼が、笑って私に手を振るのを見て、嬉しくなる…。
年齢の割に、服装が少し派手な…
少し、チャラチャラした見た目ではあるが、とても優しい人…。
恥ずかしながら、25歳にして人生で初めてできた彼氏…。
友人の企画した飲み会で初めて会ってから、彼の方から連絡先を聞かれ…
トントン拍子に、何度かデートを重ねている。
彼は27歳…友人にも、彼氏が2歳位年上って、理想的じゃないと喜ばれた。
今日でまともなデートはやっと4回目…
最初はガチガチだった私も、少しずつ、緊張が解けて来たところだ…。
「じゃあ… このコースをお願いします。」
「かしこまりました。しばらくお待ちくださいませ」
料理のオーダーを終え、彼がおもむろに口を開いた。
「そうそう…前に言ってたよね。美優ちゃんって…親戚のおじさんと2人きりで暮らしてるって。」
ギクリとした…。
親戚のおじさんではない。
私達に血の繋がりはない。
全くの赤の他人と、子供の時から…10年以上も前から、暮らしている…。
ただ、そのことを説明するのには覚悟がいる…。
言えば、きっと驚くに違いないし…なぜと、理由を聞かれるのはわかっているからだ…。
私にはまだ、彼にその理由を…事実を伝える勇気がなかった。
「うん…そうなの…色々あって…」今の私には、内容をぼかすしかなかった。
「ご両親は早くに亡くなられてて…おじさんがずっと、育ててくれたってこと…?」
その通りだ…
でも、… 両親のことは言いたくない…
まだ、言えないことが多すぎる私は、違和感のない答えを必死に絞り出す。
「そうなの…他に、身寄りがなくて…まだ当時は20代後半だった親戚のおじさんが仕方なく…私を引き取ってくれたみたいで…」
仕方なくは、言わなくても良かったなと思ったが、勝手に口から出ていた。
「…そっか…でも、なんかさ…」
彼氏が何か言いにくそうに、口をもごもごさせているのに気付く…。
「え…?」
「こんなこと言いたくないけど…年頃の美優ちゃんがさ…おっさん…いや、親戚であっても男であるおじさんと子供の頃からずっと、二人で暮らしてるってのはなんか…ね…」
「え… それって、どういう…」
「いや…その…おじさん、彼女とかいなかったのかなって…ほら、今までの人生で…でも家にはずっと君がいるわけだしさ…」
「… … … 」思わず、無言になる…。
それは…私も前から気になっている事だった。
おじさんに、そういう人はいないのだろうかと、何度か考えたことがある。
ひょっとして、私なんかがいるせいで、おじさんの出会いの機会を奪っているのではないかと…。
でも、おじさんに聞いた時に帰ってくる言葉は、いつも同じだった…。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる