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~答え~

疼き

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恋をして、胸が痛いとか…
胸がズキズキするというような表現が使われるたびに、どこか他人事のように思っていた…。
学生時代、この引っ込み思案な性格のせいで、好きな人に告白すらできず、その結果として、フラれて泣いたこともなければ…恋愛で、右往左往したり苦しむようなこともなかった。

高校時代の友人が彼氏にフラれて、ものすごく泣きながら話聞いてよと、私にすがってきた時だって、そうだ…
恋愛でここまで泣けるって、本当にすごい…よほど、好きなんだな…私は仮に拓海にフラれたとしても、絶対こうはなれない…
友人を大丈夫だよと慰めながらも、私の内心はそんな風に冷めきっていたように思う。

でも本当のところ、拓海の方から別れてくれと本気で言われれば、その時初めて、こんな私でも、友人の抱くような胸の痛みを知ることが出来るのかもしれないなどと、勝手に自分の中だけで想像はしていた…。

そんな風にこれまできてしまったせいで、遠距離恋愛が辛くないかと人に聞かれるたびに、正直に辛くないと答えていた私は、いつもドライだと言われていた…。

だけど…  だけど、 やっぱり、今は… 胸が、痛い…
言葉で表現するのは難しいが、この、なんともいえない胸の痛みが…  
もしかして、皆が言っていたそれなの…? これが、ひょっとして…恋の…胸の、痛み…

もしかして、これは、嫉妬… なのだろうか…
  

そう…なのかも、しれない…

「水無月さん…あの… 本当に、…どうかした… ?」

「あっ… えっと… 」
 
ハッとした。

杉崎さんの優しい瞳が、私を心配そうに覗き込んでいた。大きな手が、私の肩を抱き寄せ、ふんわりと身体全体を包み込む…
密着する、肌と肌… 杉崎さんの体が、熱い…  

「…いつまで、待てばいいかな… そろそろ、いい…?」

杉崎さんの心臓の音が、胸に伝わりそうなくらいに近い… 
ドクンドクンと伝わってくる、彼の鼓動…
そこに、私の鼓動も加わる…。

あの女性のことは、今はもういい…考えない…考えたって仕方ない…

私は杉崎さんの問いに、無言のままで…コクリと頷いた…。












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